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ダイワレーヌ、仕切り直しで阪神デビュー(2012年度最終回)

  • 2012年12月17日(月) 18時00分
【栗東】
◆ストームジャガー(牡、父After Market、母Travelator、栗東・安田隆行厩舎)
安田師期待のストームジャガー

安田師期待のストームジャガー

 入厩する前から、安田隆行調教師が「凄く迫力ある馬体をしていて、いかにもダート短距離という筋肉量ですよ」と話していた本馬。

 入厩してまもなく、ゲート試験に合格しているが、その時のラップが馬なりで12秒台。「新馬と一緒にゲート試験を受けましたが、こちらは馬なりで12秒台のラップ。ゲートはかなり速いですね」と師。この中間は坂路での調教が中心になっているが、時計自体は目立って速くない。「坂路だとあまり時計が出ないタイプなのかも知れません。レース週はトラック馬場で追い切ってみます」とのこと。デビュー戦は12月22日(土)中山ダート1200mを内田博幸騎手で予定している。

◆ダイワレーヌ(牝、父チチカステナンゴ、母ダイワスカーレット、栗東・松田国英厩舎)
仕切り直しの初陣、ダイワレーヌ(中)

仕切り直しの初陣、ダイワレーヌ(中)

 母は現役時代に12戦してパーフェクト連対。桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯の牝馬限定G1に加えて、2008年有馬記念も制した記録にも記憶にも残る名牝。その初仔ということで、ファンの間でも非常に注目度の高い存在になっている。

 京都開催でのデビューが予定されていたが、直前に熱発を発症して自重。「症状は軽かったので、すぐにデビューするための調教もできる状況でしたが、一旦リセットして、一からやり直すという過程を選択しました」とは松田国英調教師。坂路での15-15から再開し、CWでの併せ馬を積み重ねて、12月12日にはCWでワイルドフラッパーと併せて少し遅れる感じだったが、6F82.0〜1F12.1秒と時計は上々。母とは違った体型ではあるが、スピード能力は十分に素質を感じさせる。12月22日(土)阪神芝1600m(牝)を福永祐一騎手でデビューする予定。

◆アウォーディー(牡、父ジャングルポケット、母Heavenly Romance、栗東・松永幹夫厩舎)
 9月の阪神開催でのデビューを目標に、栗東で調教を積んでいたが、在厩中に捻挫したことでデビューを延期。その後は大山ヒルズで調整され、11月8日に栗東へ再入厩する形となった。

 以前から「上(コードゼットやウイニングサルート)と違って、素軽さがあって、芝向きのスピードがありますよ」と話していた松永幹夫調教師。この中間の調整過程でもその様子は変わらないようで、12月12日のCWでも全体の時計は遅かったものの、ラスト1Fは12.1秒と鋭い伸びを見せている。12月24日(月)阪神芝1800mを武豊騎手でデビューする予定となっている。

 なお、フラガラッハの半妹イリュミナンスは12月22日(土)阪神芝1600m(牝)をC.ルメール騎手でデビュー予定。「まだ幼い面や牝馬らしい繊細なところはありますが、素軽い動きで切れる脚を使えそうなタイプです」と松永幹夫調教師。

◆レッドフォーチュン(牝、父クロフネ、母スギノフォルモーザ、栗東・友道康夫厩舎)
ウイリアムズ騎手鞍上レッドフォーチュン

ウイリアムズ騎手鞍上レッドフォーチュン

 母はダート1800mで3勝を挙げているが、オークスにも出走し、シルクプリマドンナの10着(0.9秒差)と決して芝がこなせなかったわけではない。そのあたりは半兄ナンデヤネンが東京芝1800mで1勝を挙げているあたりからも納得できる。

 本馬はゲート試験に合格してから一旦放牧に出され、12月6日に再び栗東へ入厩している。「第一段階はゲート試験に合格させることを目標に入厩。それから成長を促す意味で放牧に出していましたが、逞しくなって帰ってきましたよ。体は小さいけど、全身を使って走る馬です」と友道康夫調教師。12月22日(土)阪神芝1600m(牝)をC.ウィリアムズ騎手でデビューする予定。

【美浦】
◆アンナチュラル(牝、父Proud Citizen、母Sahara Star、美浦・古賀慎明厩舎)
 Gone West産駒の父はケンタッキーダービーでウォーエンブレムの2着。Green Desert産駒の母は芝5Fの英G3(モールコムS)を勝っており、祖母も芝6Fの仏G1(ジュライC)で2着の戦歴を持つ。11月中旬に入厩してから順調に乗り込まれ、わりと仕上がりが早そうなタイプだ。「ゲートのセンスもあるし、すごく素直で手が掛からない。動きもいいし、この感じなら初戦から楽しみ」と厩舎サイド。12月24日、中山の芝1600mを内田博幸騎手で予定している。

 僚馬のタイキロマネスク(牝、父ジャングルポケット、母ゲイルマイラブ)は12月22日、中山の芝2000mを視野に入れている。こちらは「血統的にも長めの距離が良さそう」とのこと。

◆エグゼビア(牡、父ゼンノロブロイ、母エグジジェ、美浦・藤沢和雄厩舎)
 米国産の母はダートの短距離で3勝。その産駒は大物こそ出ていないが、現2勝のピーエムヘクターなどデビューした3頭とも勝ち上がっている。春に一度は入厩したものの、ソエの影響から牧場に戻して立て直しを図った。12月12日には坂路で4F50秒9の好時計をマーク。16日にも4F53秒4の時計を出しており、ここに来て上昇気配だ。

「無理せずに休ませたぶん、だいぶ馬がしっかりとした。ひと追いごとに反応が良くなってきたし、まだまだ変わってくると思います」と厩舎サイド。当初は年明けを目標にしていたが、態勢が整ってきたことから12月22日の中山・芝2000mでのデビューも視野に入れている。

◆ファイアマーシャル(牝、父ディープインパクト、母ブッシュファイヤー、美浦・国枝栄厩舎)
 母はエイコーンSなど米G1を3勝した。夏の札幌でデビューを目指していたが、軽い骨折で休養することに…。10月31日に再入厩してからはゲート試験に予想以上の時間がかかり、11月30日に3度目の受験で合格した。そこから調教のピッチを上げ、ここ2週は坂路で4F52秒台の時計をマーク。乗り込み自体は十分すぎるほど。今週はウッドチップコースで追い切る予定になっており、このひと追いで態勢が整いそうだ。

「その気になればもっと動けそうだけど、まずまずといったところ。ディープ産駒の牝馬らしい軽さがあるし、札幌にいた頃に比べれば馬自体は良くなっている。春先から期待していた馬だし、能力的にも楽しみにしています」と国枝栄調教師。12月24日、中山の芝1600mを蛯名正義騎手で予定している。

◆ワンダーロード(牡、父マンハッタンカフェ、母シルキーステラ、美浦・尾形充弘厩舎)
 11月8日に入厩して以来、じっくりと乗り込まれてきた。先週の12月12日には坂路で4F52秒0―37秒0―24秒1―11秒7と素軽い動きを披露。陣営のトーンも急上昇している。「古馬と併せても反応よく動けるし、いいモノを持っている。当初はダートを考えていたけど、この動きなら芝から行ってみます。かかる気性ではないし、距離もこなせるはず。いい形で送り出せると思います」と尾形充弘調教師。12月22日、中山の芝2000mを吉田隼人騎手で予定している。

【お知らせ】
2012年度の更新は今回で終了となります。次回更新は2013年度の新馬戦開始週からとなります。本年度もご愛顧の程、ありがとうございました。

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栗東担当:井内利彰 「競馬予想TV!」に出演中の調教捜査官。調教主体や厩舎取材の予想を提供中。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」など。

美浦担当:竹之内元 大学に通うため、東京競馬場から徒歩3分のアパートに住んだことで転落人生を歩み出した38歳ライター。POGでは中山大障害勝ちのメルシータカオー指名が自慢。

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