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交流重賞出走馬の選定で進歩

  • 2014年12月19日(金) 18時00分


◆JRAの若い馬や連勝馬が有利に

 今年も残りわずかとなり、地方競馬で行われるダートグレードも、23日の名古屋グランプリ、24日の兵庫ゴールドトロフィー、そして29日の東京大賞典の3レースとなった。

 名古屋グランプリの枠順は20日に発表される予定だが、JRAの選定馬5頭はいずれも7歳以上で、そのうち3頭が昨年と同じという顔ぶれ。また11月19日に行われた浦和記念もJRA4頭中3頭が前年と同じで、そのうち2頭が今回の名古屋グランプリに出走してきた。というように、古馬中長距離のダートグレード路線はメンバーがかなり固定化している。

 これは、JRA所属の若い活躍馬には不利ともいえる選定方法になっているため……ということは、だいぶ以前にこのコラムでも指摘していた。

 ちなみに現行の出走馬決定方法は…

[通算の収得賞金]+[過去1年の収得賞金]+[過去2年のGI競走の収得賞金]

 という賞金の計算で、上から順に出走馬が選ばれている。これでは、どうしても過去に栄光を積み重ねた高齢馬が有利になることが多かった。

 ところが11月21日にJRAからリリースされた『地方交流重賞競走の出走馬決定方法について』で、出走馬決定方法の若干の変更が発表になった。

 来年からは、古馬のJpnIIおよびJpnIIIに限り、JRA出走枠内上位3頭までは従来通り上記の方法で決定されるが、残りの枠については…

[過去1年の収得賞金]+[過去2年のGI競走の収得賞金]

 という、通算の収得賞金は加算せず、近走の賞金だけで選ばれることになった。

 たしかにこれなら、3歳の前半で活躍した馬が秋になって古馬との対戦になるときに選定されやすくなるし、また何らかの原因で出世が遅れ、4歳や5歳になって重賞を2連勝、3連勝したという馬が今までよりは選ばれやすくなる。

 能力差のわりにJRA所属馬の枠が少ないということでは変わりないが、若馬や急激に力をつけた馬にチャンスが与えられるということでは進歩といっていいだろう。

 その反面、ダート路線では脚元への負担が少ないことから長く元気に走り続けている馬も少なくなく、そうした高齢馬にとっては除外の可能性が高くなることもたしか。ただそういう馬は地方に移籍すればほぼ間違いなく交流重賞にも出走できるはずなので、ぜひとも地方への移籍を考えていただき、ダート交流路線を盛り上げてほしい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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