▲カデナで挑んだダービー、自身の騎乗と勝ったルメール騎手の騎乗を分析
なぜ、クリストフはあそこから動けたのか
カデナで挑んだダービーは、後方から伸び切れずに11着に終わった。攻めたクリストフと攻めなかった自分──正直、騎手としての技量の差を痛感した一戦だった。
カデナ自身は、これまで乗ってきたなかで一番といえるコンディションだった。精神的にも落ち着いていたし、体も増えていて、中間で食べていたぶん、筋肉の質が違っていた。それだけに、なんとかいい結果を出したかったのだが…。
振り返ってみて、自分とカデナにとってのポイントは2つあった。まずは1コーナーの入り。スタートはいつも通りというべきか、半馬身ほど遅れ、結果、周りから寄られてやや後ろのポジションに。内にスワーヴリチャード、斜め外前方にレイデオロ、斜め外後方にアドミラブルという隊列で、内外どちらに進路を取るか、一瞬の逡巡の末、自分は外を選択。あのとき内を選んでスワーヴの後ろをついていけば、もう少しロスのない形で直線に向けたのでは──結果論ではあるが、レース後にVTRを見て、ひとつの反省点としてその思いは残った。
レイデオロを斜め前に見る形で進み、向正面に入ったところでクリストフが動いた。ここが2つめのポイント。次の瞬間、ミルコも動く気配を見せたが、すぐにストップをかけたように見えた。自分も、レイデオロを追いかけるべきか、ミルコが上がっていくなら後ろを付いて行こうかなど迷いはあったが、結果、動かないことを選択。いや、正直に言えば、動けなかったのだ。