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宝塚記念

  • 2008年06月30日(月) 12時59分
 不良馬場にも近いタフな重馬場の中、底力の問われる極めてきびしいレースになった。結果、上位を占めたのはタフなレース経験で上回る5歳以上の古馬。かわいそうなことに4歳ロックドゥカンブは「けいじん帯断裂」。おそらく現役復帰は非常に苦しい。アルナスラインはバランスを崩して大きく後退。アサクサキングスは激しく内にヨレたあと外にも斜行し、ペナルティーの過怠金を科せられることになった。

 逃げ切ったエイシンデピュティは6歳の今年になってこれで重賞3勝目。とうとうGIホースに輝くまでパワーアップした。ハナを切ってからはずっとハロン平均12秒台のラップを最後まで持続し、粘り強くしのぎ切ってみせた。予想された通りの単騎逃げに持ち込めたとはいえ、ずっとプレッシャーをかけられ目標になる立場。この馬場だから後続の追い上げも早かった。苦しくなってからもぎりぎり我慢させた内田博騎手、さらには主戦の岩田騎手にぴったりの追わせるタイプといえる。今年は左回りの秋の天皇賞でも能力全開が期待できそうだ。

 フレンチデピュティ産駒の最近の大活躍はまた一段と目立つが、このエイシンデピュティ、天皇賞・春のアドマイヤジュピタ、ピンクカメオ、サンアディユ、ブライトトゥモロー…。そして最初のころのクロフネ、ノボジャックなどは当然だが、サンデーサイレンス牝馬との配合ではなくGI級を送り続けているから素晴らしい。

 メイショウサムソンはアサクサキングスに寄られる不利はあったが、エンジン全開のスパート体勢に入ったところで少しもたついて一気に加速できなかった。また、一度は伸びが止まったように見えるなど、同じオペラハウス産駒のテイエムオペラオーが苦戦しながら勝った有馬記念を思わせる反応の鈍さが見られた。それでももう一度伸びてゴール前はほとんどあと一歩。研ぎ澄まされてきた体つきは以前よりずっとシャープに映る。メイショウサムソンの評価は、負けはしたものの再び高めていい。展望していた凱旋門賞挑戦はぜひ実現してほしい。案外こういうタイプが合うレースでもある。

 インティライミはGIでは苦しいかと思えたが、追い込みにくい馬場を考え一変の先行策。4コーナーを回ってエイシンデピュティに並びかけようとスパートしたところで、アサクサキングスが苦しくなりヨレてきたのは不運だった。ブレーキを踏んで立ち上がっている。アタマ、クビの着差からして、まともだったら勝っていたかもしれない…とさえいえる。全兄のサンバレンティンと同様、重馬場など平気なファミリーの真価発揮だった。あと一歩だっただけに、佐藤哲騎手だけでなく陣営も無念だったろう。

 同じくGIでは底力不足と思えたサクラメガワンダーも、うまく進路が開いていたならもっと接戦だったと思えるゴール前だった。今回は状態の良さも光っていたが、遠征なしの地元のレースならトップグループと大きな差はない。

 大きく斜行してしまった4歳アサクサキングス、馬場を気にして止まってしまったアルナスライン。おそらく馬場に脚を取られてバランスを崩したときに脚部不安を発症してしまったロックドゥカンブ。若い4歳馬や、こういう馬場がまったく合わない馬にとってはちょっと厳しい梅雨どきの重馬場だったかもしれない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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