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高松宮記念

  • 2009年03月30日(月) 17時48分
 5歳ローレルゲレイロ(父キングヘイロー)が好スタートからフルにスピード能力を生かし、1分08秒0(33.1-34.9秒)で快勝。2000年の父キングヘイローに続き「高松宮記念父子制覇」を達成した。

 ステップレースの阪急杯1400mであっさりビービーガルダンにかわされるなど、父キングヘイローと同じようにあと一歩の詰めの甘さがあり、ここまでの通算成績は[3-7-2-10]。どうにも勝ち切れないレースが多かったが、内ラチ沿いに進路をとった馬が圧倒的に有利な馬場コンディションを意識し、今回は最初から先手を譲らない構え。同タイプが少なかったこともあり、単騎逃げに近い形の前半3F「33.1秒」は数字が示す通り厳しくはなかった。1200mのGIとすれば楽なマイペースだったろう。

 直線半ば、一度はスリープレスナイトにかわされるシーンもあったが、1400m、1600mでも好走してきた強みと、前半にそう無理がなかったため鮮やかに差し返す形になった。1分08秒0は決して速くはないが、快速スプリンターというタイプではなく、このあとは1600mの「安田記念」が目標。相手の出方に合わせ、自分でレースを作れる自信が加わったのは大きい。このあとの路線を考えると、1分07秒台前半の「高速決着の1200mだから勝てた」のではないところが、逆に展望拡大につながる。

 スリープレスナイトは直線で一旦先頭。スプリンターズSを制したころのデキがあればあのまま押し切れたかもしれない。好スタートから好位のインに収まり少しの隙もないレース運び。最後に差し返される形になったのは、相手ローレルゲレイロの総合力強化とみることもできると同時に、やはり休養明けの不利だろう。単なる休養ではなく多型性紅斑じんましん明け。急ピッチの調整ながら、そこはGIホース。そういう仕上げで、レース運びも満点だったが、半信半疑の陣営が心配した通り、数字とは別に体つきが少し細く映ったあたりが100%のデキではなかった。それを考慮すればこの2着は負けたとはいえさすが。地力はフルに示した。

 先手を奪ってインコースに進路を変えることができたローレルゲレイロ以外、上位を占めたのは馬番ひと桁の馬ばかり。12月、1月にも開催された中京だが、最内のAコースはずっと使用されていなかった。そのためこの開催は内枠有利が続いていたが、このレースもそんな芝コンディションが味方した馬、伸びないのを承知で外を回らざるをえない不利が重なったグループにはっきり分かれた。

 中でも、人気のファリダット(母ビリーヴ)と、快走に期待したアポロドルチェはダッシュつかずの後方追走。ペースうんぬん以前に中京1200mではこれは致命的。ファリダットは仕方なく外に回り、アポロドルチェは最後方からインの馬群の中へ。それぞれ6〜7着に差を詰めただけに終わった。ファリダットは見栄えのする素晴らしい馬体だが、どことなく硬く見えるあたりが死角。まだ本格化途上なのか、それとも母とはだいぶ特徴が異なって本当は1200m向きではないのではないか? と思わせた。1600m級の方が合っている気がする。アポロドルチェは内枠の利を生かせなかったのだから、仕方がない。

 キンシャサノキセキは、行きたがるのを懸命になだめながら進んでいたのが好成績を残していた当時のレース運び。当日の気配は悪くなかったが、いまになって逆効果さえもたらしかねないブリンカーというあたりが、スランプの深刻さを物語っている。残念ながら、今回はプラスをもたらさなかった。ファイングレインとともにまだまだ衰える歳でもなく、スランプ脱出を待ちたい。アーバニティは外枠の不利大。連闘の後というきついローテーションもあっただろうが、外で流れに乗れないでいるところに他馬に進路を塞がれるような場面も重なってしまった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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