波乱大歓迎。伏兵の台頭が連続するGIIIのハンデ重賞は、今年もまた7番人気マイネルファルケ、12番人気マヤノライジンが2、3着する難しいレースが展開された。
レースの流れは前後半の800m「46.8-46.9秒」。1600mにしては珍しくバランスを保つ典型的な平均ペースになった。他場のレースの流れとすれば波乱を呼び寄せるややこしいものではないが、こと中山1600mのオープンランクのレースとすると、1000m通過「58.7秒」はスローにも近い流れ。
その結果、ずっと馬群が固まったままになり、最後の直線では進路の狭くなる馬、前が壁になって追うのをあきらめた馬も多かった。今年の波乱は落ち着きすぎた流れが主原因だろう。
中で、勝ったタケミカヅチはいつもより積極的に、強気に出たのが正解だった。そのため不利を受けるシーンもなく、また、一定のペースで総合力がモノをいう形になり、なんとこれが新馬戦以来の2勝目。初重賞制覇につながった。
1年前の皐月賞2着馬はここで賞金加算がないと、狙いの重賞出走はほとんど絶望的になるところだった。この相手なら…の読みと、さらにこのままでは重賞に出走もできなくなるとあって、ようやく陣営も今回はさすがにもう「強気に行こう」。そんな作戦が成功したといえる。ここまでは勝ちみに遅い善戦マンの物足りなさがあったが、これでひと皮むける可能性がある。
レース全体とすると、いかにもハンデ戦のGIIIランクレベルだった印象は否定できないが、中でタケミカヅチの展望は広がった。そう切れるタイプでもない。あまり控えずにこのあとも積極的に「勝ち」に出るような戦法を取りたい。
馬群が固まった直線、まだ脚があった印象が強かったのは4着キャプテンベガ、8着ショウワモダンあたり。リザーブカードは小回りだといつもこんな不完全燃焼は不器用だから仕方がない。レッツゴーキリシマはいつもと違って珍しく外枠。最初から流れに乗れなかった。
ショウナンアルバはもしバラけてくれればインに入りたかったが、外枠でかかった時点でアウト。勝ったタケミカヅチ、4着キャプテンベガ。それに全体にパワーアップのマイネルファルケ。この3頭以外はあまり大きな収穫はなかった印象を残した。
注目の「大阪杯」は、ウオッカやカジノドライヴの翌週だけに、4歳ディープスカイに対する期待は大きく高まった。一気に斤量増の59kgでも、内回りでも押し切って欲しかったが、負けたとはいえ期待に反するような内容ではなかったろう。マークされるのは承知、正攻法のレース運びで自分から動いて1分59秒7(上がり34.2秒)。4歳の始動戦とすると上々の滑り出しだったと考えたい。
阪神2000m内回りは、勝ったドリームジャーニーの舞台だった。こちらも以前とは違って最初からディープスカイをマークする正攻法。珍しく2週に渡って直前もビシッと追い、馬体重よりずっと大きくみせる体つきはまさに絶好調。ディープスカイと同時にスパートして直線はマッチレース。短い直線向きは知られるところだが、大跳びのディープスカイのストライドが1回転するうちに、こちらはピッチ走法でもうとっくに次のサイクルに入っているぐらい走法が異なる。鋭さでディープスカイを上回った。
ディープスカイは同じ阪神なら外回り向き。次に予定する広い東京コースの「安田記念」で今度はあふれるスケールを爆発させたい。3着カワカミプリンセスは、注文を付けて離れた後方からこれまでとは違った「切れ」を引き出す作戦。6歳牝馬ながらヴィクトリアマイルに向け、まだまだ衰えなどないところを示した。
追い切りでかかってしまったマツリダゴッホは、レースでもアクセントの乏しい走り方で、このあとがちょっと心配になってしまった。
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