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フローラS

  • 2009年04月27日(月) 13時50分
 桜花賞を回避し、オークスに目標を定めたディアジーナ(父メジロマックイーン)が流れに乗って抜け出して完勝。まだ抜け出しかかる瞬間に手前を変えるとヨレたりするなど、荒削りな面はみせたが、抜け出してからのフットワークは力強かった。陣営の描いた展望通り、オークスに向けて上々のトライアル快勝だった。

 レース全体の流れは前後半の1000m「60.6-61.6秒」=2分02秒2。直前の8レースに組まれていた古馬500万条件の2000mが「61.1-60.4秒」=2分01秒5(稍重)だったことを考えると、レースレベルには疑問も大きく、勝ち時計の「2分02秒2」は最近10年では8番目だった。力強く映った最後の1Fも数字をみると「12.5秒」。稍重から良に回復したばかりの馬場状態を考慮しても、ちょっと走破時計には物足りなさは残った。でも、逆に言うと勝ったディアジーナにとっては負担のかからない楽な直前のステップレースだったともいえる。

 馬体重は増えていたが、全体にゆるく見せていた春先の前回よりだいぶ引き締まって見えたこと。本来が平均ペース型なのだろう。距離が2000mになってきわめてスムーズに流れに乗れたこと。今週の天皇賞・春に出走予定のホクトスルタンと同じメジロマックイーン産駒で、3代母は1969年のオークス馬シヤダイターキン(父ガーサント)。距離延長には死角が少ない。ブエナビスタ、レッドディザイア相手にどんな勝負に持ち込めるのか。

 まあ、正直かなり苦しいかもしれない。そんな印象はぬぐえないが、みんな未知の距離2400m。もう勝負付けの済んだグループ以外から浮上の、渋いオークス候補にはなった。本番オークスがもし「稍重」の馬場になったりすると侮れない。全体に時計がかかってスタミナ発揮がディアジーナだろう。

 2馬身差の2〜3着で出走権を確保したのがワイドサファイア、ハシッテホシーノ。前述のようにレース全体のレベルに疑問が大きいとすると、最大のテーマだった権利は確保したもののこの「2馬身差」は大きい。ディアジーナはまだ楽だったのに対し、ワイドサファイアもハシッテホシーノも必死。今回のこの2000mに限ってのことだが、精いっぱいの印象が濃かった。ワイドサファイアは「エルフィンS」でレッドディザイアと微差とはいえ、オークス直前にはまた再三VTRが流れるだろうが、いかんともしがたい迫力の差があった。改めて平均ペースの中距離型ははっきりしたものの、だからといって2400mでさらに大きな前進があるかとなると疑問大だろう。

 ハシッテホシーノは今回の休養明けでもまた馬体重減。さすがにもうギリギリに映った。出走権確保のこのあとは、多少とも余裕を持たせる調整は可能になるだろうし、東京2400mはすでにこなしている強みも大きいが、候補の1頭に浮上とまでは難しく、このあと直前の急上昇があったときの伏兵だろう。

 巻き返しの期待されたミクロコスモス(父ネオユニヴァース)は、14着に惨敗。秘めているはずの切れを引き出すための控える作戦は予定通りだったと思えるが、ずっと折り合いを欠き、手綱をゆるめた3コーナー過ぎから一気に脚を使って一応の形作りだけ。ずっと1番人気に支持されての凡走の連続。残念だが、とりあえず春は終わった。立て直しての再出発に注目したい。

 同じネオユニヴァース産駒というだけで、ほかに特に共通点はないのだが、皐月賞のロジユニヴァースの突然の変調(大凡走14着)といい、ひょっとするとネオユニヴァース産駒は期待を上回るような大物に急成長したりする一方で、これは…と思わせながら伸び悩んだり、突然のスランプに陥ったりする難しい産駒も多いのかもしれない。まあ、そのくらいの種牡馬でないと産駒が初年度からGIは勝てないのだが。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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