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関屋記念

  • 2009年08月10日(月) 17時46分
 朝から小雨が降り続いたが、新潟の芝とあってそう悪化することなく「稍重」。例年と変わりない1分32秒7の好時計が記録された。レースの流れは前後半の800mずつが[46.9-45.8秒]。新潟の1600mはめったにハイペースにはならないが、全体のバランスとするとやはりスローに近い流れだろう。この流れだから、とくに脚質による有利・不利は生じなかったが、芝コンディションからして明らかに外を回り、なおかつ直線は外に持ち出した馬有利。

 勝ったスマイルジャック(父タニノギムレット)は2歳の新馬戦以来、久しぶりの新潟コース。新馬1600mの鮮やかな勝ちっぷり(上がり33.4秒)からしてコース巧者、さらには平坦巧者であることが予測されたが、思われていた以上に高いコース適性があり、さらには期待以上に1600mも合っていた。

 GI・安田記念では直線で大きな不利があり9着にとどまったが、それでもさして大きな差はなく、また4月のマイラーズC・1600mでもあと一歩に粘っていたから「本当はマイラーとしての高い資質をもつ」ことが予測されたが、期待以上。と同時に、様々なレースに挑戦してきたことにより、全体にパワーアップしたのも明らかだった。現4歳勢、一連の重賞路線でやや不振に近く、秋に向けての盛り返しが期待されたが、スマイルジャックのこの1勝は4歳牡馬陣のレベルうんぬんをくつがえすキッカケになるかもしれない。

 同時に、皐月賞馬キャプテントゥーレの復活の手応えも4歳勢にとり、秋に向けて強気になれる善戦の好内容といえる。1000m通過にすると「59.0秒」の楽な流れにすんなり乗れたことも、この馬も実は隠れた平坦巧者であることもあり、なおかつ本質マイラーであることも加わるが、16か月ぶり(骨折休養明け)を考えると、1分33秒2で粘った内容は悪くない。真価は中央場所で問われる。

 ヒカルオオゾラは長い直線を考慮し、また一度行きだしてしまうと抑えが利かなくなるような難しい気性を考え、あえて抑える作戦。結果、追い比べで2着にとどまったとはいえ、意識的に差す形での好走は大きい。

 重賞ではあと一歩足りずの2着が続くが、5歳とはいえまだキャリアは浅く、このあともうひと回りの成長が望める。キャプテンベガは早め早めに動いたが、追い比べであとワンパンチが不足。この馬は、もう少し時計のかかるコンディション向きか。人気の1頭マルカシェンクは悪癖の出遅れ。まったく流れに乗れず、勝負どころをつかめなかった。

 1〜2着馬の好走は、秋のマイル路線に続くと思える。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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