5年間も連続して万馬券が飛び出しているとあっては、馬単の導入も重なって売り上げはレコードだった。人気も割れに割れ、最後に1番人気になったメイショウラムセスのオッズが6.0倍。伏兵までほとんど横一線に並び、10番人気のエアギャングスターでさえ、オッズ14.6倍だった。
結果として今年は大波乱はなく中波乱にとどまったのだが、1番人気のメイショウラムセスは差のある6着。2番人気ロードクロノスは11着に惨敗しているのだから、難しいハンデ重賞の伝統は守られた。3連複の結果が117倍だったことにより、万馬券の伝説も一応は連続したことになる。
勝ったヤマニンリスペクト(父サンデーサイレンス)は、大跳びのストライドで今季の函館の芝向きとはいえないタイプだったが、ピンチヒッターの横山賀一騎手はあわてることなく前半は後方に控え、うまく外をまくって出た。人気のメイショウラムセスや、この函館記念に1、2着の良績をもつクラフトマンシップをピタッとマークする位置にいたのも好判断だった。このヤマニンシャレードの一族はやや早熟で、期待のわりに大成できない産駒が多かったが、ここまで無理使いしていなかったのが正解。層の薄い現5歳馬だが、2着した同じ5歳のトップコマンダーとともに、この秋の重賞路線に大きく浮上してきたといえる。そのトップコマンダーは、57キロでこの馬場をこなしたのは、凡走のエアスマップ、ロードクロノスなどの案外なレースぶりに比べて立派なものだ。
3着の牝馬トーワトレジャーは、こういう馬場向きではなく、軽い良馬場向き。これも秋の牝馬G1の有力馬の1頭に加わった。期待したミヤギロドリゴはスパートできず、また人気の藤沢厩舎の2頭、伊藤雄厩舎の2頭ともにタフな芝コンディションの中、意外なほどモロかった。