競輪
安田記念
- 2011年06月06日(月) 18時00分
大接戦を切り抜けてきたのは９番人気の伏兵リアルインパクト(父ディープインパクト)だった。１９９６年から出走ＯＫとなった３歳馬の初勝利。それもキャリア５戦のリアルインパクトは、重賞２着があるとはいえわずか１勝馬である。騎乗した公営所属の戸崎圭太騎手(３０)にとってもＪＲＡ．ＧI初勝利の快挙だった。
レースの中身は、予測された通りシルポートが先手を主張し、２番手をジョーカプチーノ以下が追走する展開。スローもＯＫのシルポートだが、さすがにＧIとあって熱気を帯びた全体のムードが違う。後続のマークも厳しかった。前半「３３秒９−４５秒４−５７秒０…」はかなりきつい流れとなったが、高速の芝とあってレース全体のバランスは失われていない。前後半「４５秒４−４６秒６」＝１分３２秒０。いかにもマイルのＧIにふさわしい厳しい内容で、高いスピード能力と、それを持続できる総合力が求められた。流れの有利不利はどの馬にもなかったはずである。
この流れに自分から乗って、堂々、正攻法の先行抜け出しを決めたのが３歳リアルインパクトだから、これはもう驚くしかない。残った記録は文句なしの実力勝ちである。斤量５４はこの時期の３歳馬だから当然であり、決して恵まれての台頭ではなかった。距離区分の異なる宝塚記念や、英キングジョージなど５,０〜５,４�圓盧垢�ある。２４００ｍの日本ダービーではなくこちらに回った陣営の判断も見事なら、まだ全体に頼りなさそうに映る体つきで、いまのところ１６００ｍ級を理想とするディープインパクト産駒の真価ここにありでもある。戸崎圭太騎手の思い切りのいい、ケレンなしの騎乗もことのほか素晴らしかった。
同じ堀厩舎（美浦）の５歳の上がり馬ストロングリターン（父シンボリクリスエス）は惜しかった。最内１番枠とあって、難しいコース取りを求められたが、坂上からリアルインパクトの直後に進路があった。最後は猛然とムチを連打した印象ばかり残る石橋修騎手だが、人馬ともにバランスを崩すことなくグイグイ伸びているから、こういう渾身の追撃には鼓舞以上の叱咤が必要なのだろう。あと一歩だった。あっというまにＧIの主役級まで成長してきたから、ストロングリターンの上昇ぶりはすごい。
スマイルジャックは前２年と同じような内枠から、今年は直線で外に回った。接戦の１８頭立てとあって、サンカルロの外に出すまでちょっと苦労したあたりが、メンバー中最速の上がり「３３秒７」を記録しながら、惜しい３着にとどまった原因だろう。でも、逃げ馬ではないから前に他馬がいるのは仕方がない。素晴らしい仕上げで、持てる能力は出し切った。昨年と同様「０秒１」差は、また今年も少し運がなかったというしかない。
運がなかった印象があるのは、ずっと内ラチ沿いを衝いて０秒１差のクレバートウショウも同じ。ずっと巧みに最内を通ってきたから「０秒１」差に善戦できたともいえるが、ずっと前が詰まり通しで、スムーズではない状態が長く続いたのもたしかである。もったいない印象は残った。ストロングリターンと同様、５歳の今年になっての上がり馬。ＧII〜III重賞なら楽勝だろう。
ジョーカプチーノは予定通りの２番手から、京王杯ＳＣとは違って自分からシルポートを早めに捕まえに出る積極策。それには成功したが、自身も直後のリアルインパクトに早めに並ばれる形になって最後の１００ｍで苦しくなった。２年前のＮＨＫマイルＣとほとんど同じ内容で１分３２秒１だから、能力は出し切ったのだろう。
断然人気のアパパネは「１分３２秒２」で０秒２差の６着。上がり３４秒５。残った数字だけなら前回とほとんど同様の記録だが、もちろんそんなことはなく、明らかにマイル戦を快時計で激走の疲れ（反動）はあった。まして東京のマイルを１分３１秒９だったから、あれで平気なはずがない。でも食欲は失わないから、やや太めにも映るデビュー以来最高の４９８kg。さすがに調整が難しかったことが想像される。追い比べになって脱落した。２歳新馬時が４５２�圓如△い淕鵤毅娃�kg。これはかつてのオグリキャップとまったく同じ馬体重推移になる。オグリキャップは５００kgに達したとき、さすがにスランプに陥った。元気なアパパネも、さすがにもう大きくしない方がいい気がする。
ダノンヨーヨーは出遅れ２馬身。少しでも隙を見せてはならない厳しい内容の時計勝負のＧ１だけに、致命的だった。ウィリアムズ騎手ではないが、もう少し長い距離に挑戦してみる手はあるかもしれない。７着の４歳馬リディルは馬群にもまれてしまったが、ゴール寸前、脚を余したかのように伸びていた。夏の重賞なら確勝級だろう。
レースの中身は、予測された通りシルポートが先手を主張し、２番手をジョーカプチーノ以下が追走する展開。スローもＯＫのシルポートだが、さすがにＧIとあって熱気を帯びた全体のムードが違う。後続のマークも厳しかった。前半「３３秒９−４５秒４−５７秒０…」はかなりきつい流れとなったが、高速の芝とあってレース全体のバランスは失われていない。前後半「４５秒４−４６秒６」＝１分３２秒０。いかにもマイルのＧIにふさわしい厳しい内容で、高いスピード能力と、それを持続できる総合力が求められた。流れの有利不利はどの馬にもなかったはずである。
この流れに自分から乗って、堂々、正攻法の先行抜け出しを決めたのが３歳リアルインパクトだから、これはもう驚くしかない。残った記録は文句なしの実力勝ちである。斤量５４はこの時期の３歳馬だから当然であり、決して恵まれての台頭ではなかった。距離区分の異なる宝塚記念や、英キングジョージなど５,０〜５,４�圓盧垢�ある。２４００ｍの日本ダービーではなくこちらに回った陣営の判断も見事なら、まだ全体に頼りなさそうに映る体つきで、いまのところ１６００ｍ級を理想とするディープインパクト産駒の真価ここにありでもある。戸崎圭太騎手の思い切りのいい、ケレンなしの騎乗もことのほか素晴らしかった。
同じ堀厩舎（美浦）の５歳の上がり馬ストロングリターン（父シンボリクリスエス）は惜しかった。最内１番枠とあって、難しいコース取りを求められたが、坂上からリアルインパクトの直後に進路があった。最後は猛然とムチを連打した印象ばかり残る石橋修騎手だが、人馬ともにバランスを崩すことなくグイグイ伸びているから、こういう渾身の追撃には鼓舞以上の叱咤が必要なのだろう。あと一歩だった。あっというまにＧIの主役級まで成長してきたから、ストロングリターンの上昇ぶりはすごい。
スマイルジャックは前２年と同じような内枠から、今年は直線で外に回った。接戦の１８頭立てとあって、サンカルロの外に出すまでちょっと苦労したあたりが、メンバー中最速の上がり「３３秒７」を記録しながら、惜しい３着にとどまった原因だろう。でも、逃げ馬ではないから前に他馬がいるのは仕方がない。素晴らしい仕上げで、持てる能力は出し切った。昨年と同様「０秒１」差は、また今年も少し運がなかったというしかない。
運がなかった印象があるのは、ずっと内ラチ沿いを衝いて０秒１差のクレバートウショウも同じ。ずっと巧みに最内を通ってきたから「０秒１」差に善戦できたともいえるが、ずっと前が詰まり通しで、スムーズではない状態が長く続いたのもたしかである。もったいない印象は残った。ストロングリターンと同様、５歳の今年になっての上がり馬。ＧII〜III重賞なら楽勝だろう。
ジョーカプチーノは予定通りの２番手から、京王杯ＳＣとは違って自分からシルポートを早めに捕まえに出る積極策。それには成功したが、自身も直後のリアルインパクトに早めに並ばれる形になって最後の１００ｍで苦しくなった。２年前のＮＨＫマイルＣとほとんど同じ内容で１分３２秒１だから、能力は出し切ったのだろう。
断然人気のアパパネは「１分３２秒２」で０秒２差の６着。上がり３４秒５。残った数字だけなら前回とほとんど同様の記録だが、もちろんそんなことはなく、明らかにマイル戦を快時計で激走の疲れ（反動）はあった。まして東京のマイルを１分３１秒９だったから、あれで平気なはずがない。でも食欲は失わないから、やや太めにも映るデビュー以来最高の４９８kg。さすがに調整が難しかったことが想像される。追い比べになって脱落した。２歳新馬時が４５２�圓如△い淕鵤毅娃�kg。これはかつてのオグリキャップとまったく同じ馬体重推移になる。オグリキャップは５００kgに達したとき、さすがにスランプに陥った。元気なアパパネも、さすがにもう大きくしない方がいい気がする。
ダノンヨーヨーは出遅れ２馬身。少しでも隙を見せてはならない厳しい内容の時計勝負のＧ１だけに、致命的だった。ウィリアムズ騎手ではないが、もう少し長い距離に挑戦してみる手はあるかもしれない。７着の４歳馬リディルは馬群にもまれてしまったが、ゴール寸前、脚を余したかのように伸びていた。夏の重賞なら確勝級だろう。
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
