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きさらぎ賞

  • 2003年02月17日(月) 12時10分
 重馬場の中、人気上位の3頭が順当に上位3着までを独占した。それぞれの人気馬にはただ好勝負や勝ち負けしたいというだけでなく、路線に乗っていくためのテーマがあった。

 まず、勝ったネオユニヴァース。すでに2勝していたが、ややサンデー産駒にしては詰めの甘いところがある。早めに抜けて粘るだけでなく、心もち控えて追っての味(切れ)を確かめたかった。前3戦よりスパートを遅らせると、重馬場にもかかわらず今回がもっとも力強く伸びた。ハデな面はなく、またスケールも感じさせないが、体が絞れるごとに少し鋭さが出てきた。外に振られつつ伸びたから立派。着差以上に後続がきてもしぶとく伸びている。重をこなした点も大きい。

 2着サイレントディール。前回は一応は折り合ったが、まだ行きたがる面は残り、馬群に入れたかった。今回、インを通ってタメが利いたのは大きい。サンデー産駒は総じて重はマイナスだが、直線はちょっと反応が鈍く苦しまぎれの一面はあったにせよ、外に回ることなく馬群を割って伸びた。有力3頭の中ではもっとも苦しい形になりながら、一応は答えを出せた。もうステップレースと割り切ってもいい立場にいるだけに、重での負担を最小限にとどめたとも言える。

 1番人気で3着にとどまったマッキーマックスは、前走は出負けして流れに乗れなかったから、同じ差す形でも少し早めに動きたかった。外にいったあたり手ごたえは十分だったが、追っての伸び一歩。大跳びでもっとも重がこたえたのは確かだが、ちょっと期待外れ。まだまだ完成度が低く若い印象も大きかった。このあと少しきついローテーションになる危険が生じてしまった。

 3頭ともに一応は合格だが、路線の中で一歩リードして最有力馬に位置するほどの迫力はもう一歩だったかもしれない。牡馬陣はますます能力接近の上位グループができつつあると考えたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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