米国・ケンタッキー州のキーンランド競馬場で9月中旬、恒例の1歳セールが行われた。
ご存じの方も多いだろうが、このセールの規模はものすごい。10日に始まり、終わったのが21日。セッション1からセッション10まで区切って行われ、セッション10の最後の1頭のヒップナンバー(上場番号)は「3387」。当然セッション1の最初は「1」なのだから、カタログには3387頭の血統がビッシリと書かれていたことになる。
手元にはセッション1、2のカタログ(2つのセッションがまとめて1冊になっている)があるのだが、辞書と間違えるほどの分厚さ。網羅しようとすれば頑丈な本棚が必要となりそう。「とにかくスケールが違うよね。競馬の裾野も日本とは比べものにならないくらい広い」とは、今回のセールに参加した中尾調教師。
違うのは規模だけではない。「今回は1歳のセリだったけど、日本の1歳馬とは全然違う。生まれが極端に早いわけでもないのに、すぐにでも競馬ができそうな体の馬ばかりだもの。このあたりは環境とか土壌の違いなんだろうね」(中尾師)と発育状況の違いにも言及した。
セールでは見栄えの良さと優れた血統を兼ね備えた馬から名簿に名を連ねていく。つまりセッション1は、そこに名前があるだけで“名誉”なことなのだ。「どの馬もいいから大オーナーはこのセッションを目安にしている。なかなか買いたいと思う馬が買えない」とは某調教師。今年はセッション1の落札者に日本人と思われる名前もちらほら。これらの馬が来年日本で走ると思うと、今から来年のドラフトリストを作るのが待ち遠しい。
しかし忘れてはならないのは、セリ値が必ずしも結果に比例しないことだ。同セール出身の今年の米2冠馬アイルハヴアナザーは下位セッションで取り扱われた馬。大事なのはやはり成長力なのだ。
成長力といえば、松田博調教師の思惑通りに良化して入厩してきたのがラカ(牝=父キングカメハメハ、母ダンスパートナー)。
「最初に見た時は本当にいい馬だった。ただ見に行くたびに馬が変わっていってな」と5月の段階では不安そうな口ぶりだったが、それも育ちゆく過程で見せたものだったのだろう。
母をひと回り大きくした馬体はバランスが良く、顔つきも幼さが残りながらも気品にあふれる。「思った通りの馬に成長してくれた。バランスがいいし、気性もおとなしい。これは走るやろ」(松田博師)
牡馬ではラウンドワールドが順調に賞金を積み上げている同厩舎だが、ラカが牝馬の大将格となるか。その伸びゆく姿を追いかけていきたい。
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