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佐賀の帝王・山口勲騎手、激戦勝ち抜きWSJS初出場!

  • 2012年11月20日(火) 18時00分
 今週末に東京競馬場で行われる、世界の名手たちの競演・ワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)。地方競馬からのたった1つの出場権は、佐賀の山口勲騎手が勝ち取りました! 地元では連対率49%を誇り、『Mr.ほとんどパーフェクト』の異名を持つ山口騎手。初の府中参戦を前に心境をお聞きしました。

佐賀の帝王・山口勲騎手

佐賀の帝王・山口勲騎手

赤見 :WSJSを今週末に控えて、今のお気持ちはいかがですか?

山口 :「今はまだ緊張感ないね。佐賀から府中に遠征するなんてほとんどないやろ。周りに聞いても府中がどこにあるかわからんて言うくらいみんな知らんけんね。左回りはちょっと気になるっちゃけど、ずっと乗ってみたかった競馬場やけん、今年東京開催で良かった」

赤見 :かなり直線が長いですが、その辺り意識されますか?

山口 :「するやろね。大井でも違うけん、広いコース、長い直線はかなり意識するやろ。今までは小倉と阪神に行ったことあるっちゃけど、まだ中央で勝ったことないけんね。府中はもっと大きいけん、今はとにかく楽しみよ」

赤見 :さらに世界中のスーパージョッキーに混じって戦うわけですもんね。

山口 :「外国の方の中にも短期免許で乗ってる方が何人かおって、今の中央のレースに慣れとるでしょう。それで腕も一流やし、その中で戦えるのは本当にいい経験やね」

SJT第1ステージ(大井)

SJT第1ステージ(大井)

赤見 :WSJSへの地方枠を賭けて、全国のリーディングジョッキーたちで戦ったSJT(スーパージョッキーズトライアル)。第1ステージ(大井)2戦、第2ステージ(佐賀)2戦の計4戦戦って、優勝した瞬間はどんなお気持ちでした?

山口 :「去年は全然ダメで第2ステージまで進めんかったけん、今年はなんとか佐賀まで行きたいと思っとった。第1戦で3着なったけん、かなりホッとしたのが良かったね。第2戦で勝った馬は去年の第1ステージで乗せてもらった馬やったけん覚えとったよ。今年はよう頑張って勝ってくれたばい。馬のお陰やね。

佐賀では5着8着とあまりいい結果やなかったけん、優勝は無理と思ったね。最終レースを勝ったのが2位の戸崎くんやったし。まさか1ポイント差で優勝出来ると思わんかった。優勝した瞬間は、これで府中へ行ける! 大舞台に立てるって喜びが大きかったね」

赤見 :1位山口騎手47ポイント、2位の戸崎圭太騎手、3位の三村展久騎手ともに46ポイントという大激戦でしたね。

SJT2012優勝 山口勲騎手

SJT2012優勝 山口勲騎手

山口 :「1ポイントが本当に大きかった。地元で決められたんで、ファンの方々も喜んでくれとったし。先週の土日の開催で、ファンの方たちが横断幕に寄せ書きしてくれて。俺はまだ見てないんやけど、たくさん書いてくれたって聞いたけん、本当にありがたいね。府中のパドックに張られるけん、その気持ちを大切に乗りよう思う」

赤見 :優勝して反響は大きかったんじゃないですか?

山口 :「たくさんお祝いの電話もらったね。(杉村)一樹もくれたし。引退された荒尾の平山良一調教師も東京まで応援に来てくれる言うとった。

こないだは厩舎関係者30人くらい集めてわいわいやったっちゃけん、お祝いっていうかみんなで楽しくお酒飲んだだけやけど(笑)」

赤見 :十八番の郷ひろみさんの歌は熱唱したんですか? やっぱりフリつきで?

山口 :「それ絶対聞かれると思いよった(笑)。今回は歌っとらん。いつも歌うってね、それオーバーに言いよるんよ。たまにしか歌わんけんね(照)」

赤見 :いつか佐賀競馬場で披露して欲しいです。佐賀といえば、2001年のWSJSに鮫島克也騎手が参戦して優勝してますよね。

山口 :「あの時はみんなそうやったと思うけど、本当に羨ましかった。万年2位て言われてて、なかなか鮫島さんを越えることが出来んかった時期やけん、余計やね」
 
赤見 :でも2006年に初のリーディングに輝くと、そこからは毎年1位独走ですよね。あっという間に3000勝も達成して。

山口 :「まさかここまで勝てるようになるとは思ってなかったけん。やっぱり鮫島さんが大きな存在なんで、その成績を越えられたことが自信になったっちゃなかかな。1回リーディングになってからは精神的に強くなったと思いよう。ただ、腕で鮫島さんに勝ってるとは思えへんよ。どこがどうってわけやないけど、まだ越えてなかね。だからこそ頑張れるってとこもあるっちゃけん」

キングシャークこと鮫島克也騎手

キングシャークこと鮫島克也騎手

赤見 :九州の二枚看板として、鮫島さんは『キングシャーク』、山口さんは『Mr.ほとんどパーフェクト』って言われてますけど、ご自身ではこのネーミングいかがですか?

山口 :「それ、俺に聞きよう?(笑)。実況の中島英峰さんが言うんやけど、自分自身はレース乗ってるから最初聞こえんやろ。周りから言われて、聞いた時は「へ?」と思うたよ。「ほとんど」は余分やろって(苦笑)。鮫島さんのはインパクトあるし、よう考えたな〜と思う。俺のもまた違うの出来んかなと思っとる(笑)」

赤見 :新たなネーミング楽しみにしてます。では、WSJS参戦に向けて決意表明をお願いします!

山口 :「今は楽しみと不安が半々やけど、東京競馬場で乗れるなんてなかなかないチャンスやけん、今の自分の精一杯で乗るばい。今回はWSJSの4レースとも佐賀競馬場でも売るけんね、GI以外のレースを売ることはなかなかないけん、地元のファンにも楽しんでもらいたい。それで結果がついてくれば最高やね」 

 一見コワモテの山口騎手ですが、温かみのある九州の言葉と、たまにこぼれる笑顔に人柄が滲み出ています。世界の名手相手にどんなレースを見せてくれるのか…週末が待ち遠しいですね![取材:赤見千尋/美浦]

◆次回予告
次週の「競馬の職人」、ゲストは坂口正大元調教師。マヤノトップガンやデュランダルなど多くの名馬を育てた同師は、現在全国リーディングをひた走る若武者・浜中俊騎手の師匠でもあります。トップクラスの人馬共を育て上げた名伯楽の手腕とは。常石勝義さんが迫ります。公開は11/27(火)18時、ご期待ください。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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