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祝JRA騎手デビュー!福山のサムライ岡田祥嗣

  • 2013年03月05日(火) 18時00分
 いよいよJRA騎手として再スタートを切った岡田騎手。9度目の挑戦で見事合格を果たした今、さらなる挑戦へ向かって第一歩を踏み出しました。再デビューを終えての気持ちや、岩田康誠騎手との友情など、たっぷりとお聞きしました!

岡田騎手、デビュー戦を終えて

岡田騎手、デビュー戦を終えて

赤見 :まずは初日の騎乗を終えて、今どんなお気持ちですか?

岡田「とりあえず、ホっとした部分はありますね。緊張するかもしれないなと思ってたけど、1Rのパドックで騎乗した時、ファンの方々の顔をしっかりと見られたし、知り合いが応援してくれてるのも確認出来たんで、『意外と緊張してないな』と。『岡田頑張れー』とか、『よっちゃん頑張れー』と声が聞こえて、嬉しかったですね」

赤見 :レースに関してはいかがでしたか?

岡田「芝だからとかダートだからとか、特に意識はしていません。初めての阪神競馬場なので、『コーナーがゆったりしてるな』とか『直線長いな』ということは感じましたけど、例えば馬を真っ直ぐ走らせるとか、そういう基本的なことは一緒じゃないですか。だから、レースは同じなんだなと思いました。

 なるべく先入観を持たないようにしているし、今まで自分自身がこうだったから、というこだわりも持たないようにしてます。実際に乗せてもらう中で、自分の経験の引き出しから引っぱり出して行けたらなと。今は覚えることがとにかく多いので、なるべく頭の中を簡単にしたいと思ってます」

赤見 :これまではスポットでの騎乗でしたが、やはりJRA所属となると違いますか?

岡田「基本的なことは同じですけど、僕の場合早めにトレセンに入らせてもらって、調教とかもさせてもらってたんでね。最初のレースまでのサイクルも周りの人たちとやり取りしながらコミュニケーションを取らせてもらってたんで、そういう意味ではスポットの時とは違いますね」

赤見 :金曜日は初めて阪神の調整ルームに入ったんですよね?

岩田騎手仕様のジャンパーで紹介式へ

岩田騎手仕様のジャンパーで紹介式へ

岡田「そうです。岩田(康誠騎手)くんと一緒に来て、土曜日の朝も競馬場の案内をしてくれました。僕の荷物を持ってくれてたんでね、周りで見てた人たちはびっくりしたんじゃないですかね(笑)。

 岩田くんとは教養センターの頃からの付き合いで、騎手になってからも園田と福山で交流があったし、彼がJRAに行ってからも、遊びに行ったりご飯食べたりしてました」

赤見 :さっき岩田騎手に岡田さんのことをお聞きしたんですけど、『約10年色んなことを犠牲にして努力し続けて、本当に凄い』って仰ってました。その間、諦めようかなと思ったことはありますか?

岡田「長すぎたんでねぇ…。ないといったら嘘になります。必ず合格出来るとは限らないし、『もうダメだ』と思ったこともあります。でもね、そういう時アイツが大きいレースを勝つんですよ。あんまりね、言葉で言ってくるようなタイプではないんで、『俺の背中を見ろ』じゃないですけど。彼がそういう気持ちだったかはわかりませんが、活躍している姿とか、仕事に取り組む姿勢とかを見て、『俺も下向いてる暇ないな』って思えました。

 去年香港で勝った時も、僕は一次試験と二次試験の間でけっこうデリケートな時期だったんでね、やっぱりその時も感化されました」

赤見 :岡田さんと岩田さんて、キャラクターが全然違うように見えるんですけど、強い絆があるんですね。ちなみに、岡田さんは『福山のザ・サムライ』と呼ばれていましたが、ご自身でもそう思います?

岡田「サムライというか…ナルシストなんですよ(笑)。やっぱりファンの方に魅せるレースをするのがプロであって、一緒にレースをしている人たちはプロ集団ですからね。その中で負けたくないと思うし、僕自身も何か1つに固執するんじゃなくて、全体のレベルを常に上げたいと思ってます。そういう意味で、自覚のあるナルシストなのかなと。でも、変なニックネームは付けないでね(笑)」

赤見 :了解しました! 長年目標にしていた舞台に立ったわけですが、デビューを果たして感慨深いものがありましたか?

笑顔を作るのは苦手です…

笑顔を作るのは苦手です…

岡田「今はようやくスタートに立てたという感じですね。今日ここに立つために、今まで頑張って来たので。でも特に感慨はないです。だってここに立つことがゴールじゃなく、スタートなんですから。これから吸収しなきゃいけないこともたくさんありますし、1つでも多く騎乗して1つでも前の着順を目指します」

赤見 :地元福山は残念ながら3月24日で廃止が決まってしまいましたが、岡田さんとしても複雑な想いがあるんじゃないですか?

岡田「そうですねぇ…。地元が無くなるというのは一番辛いことです。出来れば最後まで乗りたいという気持ちももちろんありました。まぁ、こういう形になったんでね、1か月残して移籍というのは複雑というかなんというか…、そういう想いはあります。

 今日履いてるブーツや勝負ズボンは、福山の関係者の方々がお祝いにプレゼントしてくれたものなんですよ。後押ししてもらってるなと実感していますね。これからも福山競馬出身であることはずっと続きますし、競馬だけでなく福山生まれ福山育ちなんで、ここまで育ててもらった恩はずっと変わりません。そういう気持ちが変わるとしたら、それはダメ人間でしょうね。そこは絶対変わりたくないです」

 デビュー週の初勝利はお預けとなってしまいましたが、いつまでも変わらぬ福山のサムライ魂で、困難な道も必ず切り開いてくれると信じています!! [取材:赤見千尋/阪神競馬場]

◆次回予告
次回のゲストは幸英明騎手。2010年に史上初となるJRA年間騎乗1000回を達成。昨年2012年には、自身の持つ記録を1081回にまで更新。年間勝ち星も75勝をマークしました。好調・幸騎手を常石勝義さんが直撃取材。さわやかな素顔に隠された真の姿をぐいぐい引き出します。公開は3/12(火)18時、お楽しみに。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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