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幸英明騎手ドバイ参戦「結果も出せるように頑張りたい」

  • 2013年03月12日(火) 18時00分
 幸騎手がドバイ参戦へ。3月30日に行われるUAEダービー(首GII)でケイアイレオーネ号に騎乗予定。「初めての貴重な経験なので、チャンスを思いっきり楽しむだけではなく、結果も出せるように頑張りたい!」と幸スマイル。

幸騎手(中)とビタミンSのお兄ちゃん(右)

幸騎手(中)とビタミンSのお兄ちゃん(右)

常石:ドバイへはいつ行かれるんですか?

:まだ日程は決まってないけど、向こうの競馬場もきちんと見てみたいですね。初めてだからいろいろ勉強することがいっぱいありますよ。お祭りみたいと聞いていますが、なかなか経験できないことだから楽しむだけではなく、良い結果も出せるように頑張ってきます。日本の馬のレベルも高くなっているので、良い評価をしてもらえるように頑張ります。

常石:応援に行きたいですね。楽しみにしています。ジェンティルドンナ号と一緒に行くんですよね。

:僕じゃないよ。馬だけね(爆笑)。

常石:あー、そうですよね(爆笑)。昨年は、年間騎乗回数が1081回と、幸先輩が持つ自己最多記録なんですよね。僕には想像も付かない数字です。デビューから通算で12000回騎乗は、JRA最年少で史上最速記録でしょう。レースにこれだけの数を乗るということは、調教も同じくらい乗ってるんでしょう。すごい記録ですね。是非秘訣を教えてください。

:いろんな方から声をかけていただいて、乗せてもらえることに感謝しています。特に何にもないけれど、これだけの数を乗せてもらえるんだから、もっと結果を出さないといけないと思います。

常石:幸先輩はシンプルできれいな騎乗スタイルでいつも乗ってるイメージがあります。フェアプレー賞も何回も頂いてるでしょう。

:そうだね。でも、それだけでは進歩がないでしょう。実は、年末くらいから騎乗スタイルを少し変えて、試しているんだけど…。今はまだ研究中ですが、お尻をトントンする「トントン追い」です。いつもやっているわけではないですが、3、4コーナー辺りで行きっぷりが悪かったりズブい馬の時は、トントンすると気合が入る馬もいるので、馬によってはやった方が良いのかなと思う。

中央競馬ではまだまだ浸透していなくて、僕がとってもお世話になっている調教師の先生方には、「どうしたの?」とか「止めといたら」など、騎乗フォームのことで心配もしていただいています。そんなに言ってくださる先生方の前でやるのは申し訳ないと思いながら、僕自身が少しでも成長したいと思っていて。馬によって変えたりいろいろと研究しながら、もう少しやってみようと思っています。でも勝負の世界なので、結果を出していかないとファンも納得しないと思うんですよね。難しいとこなんですね。

調教をつける幸英明騎手

調教をつける幸英明騎手

常石:今活躍している若手の騎手もやっているのを見ます。あの乗り方はヨーロッパの騎手に多いんでしょう。

:そうそう。ヨーロッパの競馬は、力がいる馬場なので腕の力だけでは追えないから、お尻で馬を追い出していく乗り方をするよね。逆にアメリカは、スピード競馬なのでまた違うね。レースで最後にヘタって来た馬を追うのは大変になってくるでしょう。そんなときにトントンで追った方がいい馬もいるのかなと、研究中です。僕自身も何かを学び向上していかないといけないと思うし、試さないで終わるのは嫌なので。馬によって違うけど最後までしっかりと追うことでファンの方にも納得してもらえるでしょう。

常石:幸先輩は沢山の騎乗依頼があリ信頼されていると思うんですが、それでもいろいろ思うのですか?

:満足することはないでしょう。少しでも良くなっていきたいと思い、騎乗技術を考えています。僕なんてまだまだ未熟ですよ。なー、つねちゃん。

常石:いやー、とんでもないです。でも、このままでいいっていうのはないですよね。常に上へですよね。他に体力作りもされているんですよね。そんなにいっぱい乗っていて、しんどくないですか。ゴルフの腕も一流ですし、何でも挑戦されているんですね。

:ゴルフは、ボールを80回くらいしか打たないですが、約6時間くらいカートには乗らないで歩いているでしょう。体力がいるんですよね。ゴルフを休むと体重が増えちゃうんです。そうするとサウナで体重を落とすことになるでしょう。サウナは無理があるからしんどいので、自分で体を動かして調整しています。ずっと乗っているので体の中でリズムができていますね。時間が空いた方がしんどいです。体を動かすのが大好きなんです。つねちゃんみたいに、最近走ってるんですよ。家の周りとか。レース前には馬場を走ることで馬場の状態も分かるからね。

常石:走るって楽しいでしょう。お家だと子供さんたちと一緒にトレーニングしているんですか?

:子供たちは行きたがるんだけど、自分のペースでトレーニングできないから一人でやっています。長い時間ゆっくり動かすことで体脂肪も落ちるでしょ。

常石:健康にも気をつけている幸先輩は、怪我って聞いたことないですね。僕の時はお世話になっていろいろ面倒を見てもらったんですが、余り覚えていないんですよ。恐縮です(ペコリ)。

:「幸先輩、見舞いに来てないって」言ってたでしょう(笑)? お見舞い、行ったのにな。男3人でお見舞いに行ったんだけど、一言二言しゃべったらそっぽ向いて手づかみでご飯食べてたな。かわいい子連れて行ってたらこっちを向いてくれたかもね。

あの時のつねちゃんは、ちょっとやばかったなー(笑)。元気になってこうして取材してくれるようになったから良かったよね。僕もデビューして2年目の時に肋骨の骨折と肺挫傷して約1か月くらい入院したことがあるんですよ。そんなとき兄弟弟子の田島良保調教師さんが夕食を持ってきてくださったりして、大変お世話になりました。他にも先輩方にお世話になりました。

常石:現役の騎手時代は勿論ですが、怪我の時もいっぱいお世話をかけていたんですね。ありがとうございました。幸先輩も怪我ってあったんですね。知らなくて失礼しました(ペコリ)。でも、僕の知る幸先輩は、記録がいっぱいあるでしょう。まずは、メジロラモーヌ以来史上2頭めの牝馬三冠を達成されたときはどんな感じだったんですか?

牝馬三冠を達成した秋華賞

牝馬三冠を達成した秋華賞

:スティルインラブに桜花賞で騎乗し勝った時は、(自分にとっても馬にとっても)初GIだったので、やっぱり嬉しかったですね。その後優駿牝馬を制し秋華賞までも勝つなんて夢の世界でした。この時は嬉しいと言うより勝たせることができて良かったと、「ほっと」した思いでしたね。牝馬はデリケートで扱いにくいでしょう。引退後は、ジューダという仔1頭産んでくれたんですが、急激な腹痛を起こして亡くなってしまって、とても残念です。

ブルーコンコルドとのコンビではダートのGIを7勝したんですが、中央のGIを獲らせてあげることができなくて、馬と関係者の方々に申し訳なかったです。いつも良い馬とめぐり合うことができ、感謝の気持ちでいっぱいですね。だからこそ今のままではいけないと思い、いろんなことにチャレンジしないといけないと思っています。

常石:僕が一番印象に残ってるのはヒコーキグモですね。僕がデビューした頃活躍していましたね。

:きさらぎ賞を勝ったんですが、その時は松永幹夫先生ですね。あの馬も乗りやすい良い馬でしたね。

常石:同期に渡辺薫彦先輩がいますよね。昨年引退し淋しくなりましたが、調教師を目指すとのことなので楽しみですよね。

:なべちゃんが調教師になるまでにしっかり腕を磨いておかなくては。そうしないと乗せてくれないでしょう(笑)。淋しいと言うより、真面目だし勉強もできるので、調教師誕生を楽しみにしています。

常石:最後にファンの皆さんに伝えたいことありますか?

:先日、油断騎乗と見られ騎乗停止になったんですが、1、2歩緩慢な動作になって、腰が浮いてしまったようです。自分ではそういういつもりはなかったのですが、ファンが納得する乗り方ではなかったのですね。超スローのパトロールビデオを見ると、自分が思ってるよりも動作が甘かったことが分かりました。大変迷惑をかけてしまいました。

常石JRAの裁決委員の方はすごいです。よく見ているんですね。

:そうだね。最後までファンの方が納得するような乗り方をしていかないといけないから、納得してもらえるように研究し、少しでも上を目指していきたいと思って頑張ります。いつも応援ありがとうございます。でも僕の馬券をあまり買わないでください(笑)。というのは、人気のない時に結構1着に来ていて。騎乗回数に見合うくらい勝たなきゃね。今、ホッコータルマエが調子良いんですよ。応援してください。日本の競馬のレベルがどんどん高くなっていると思います。世界レベルと並んでレースができるように頑張ります。つねちゃん、今日の話の中の僕のこだわりのことを忘れないでね(ニッコリ)。

常石:ハイ、大丈夫です(確認)!

関東から遠征中の内田博幸騎手と

関東から遠征中の内田博幸騎手と

 ちょうどお話をしていたら関東から内田博幸騎手が調教騎乗に来ていて、馬から降りたとたんレースのことをいろいろ話していました。取材の方々とも交流を大切にしておられます。内田騎手とのツーショットバッチリ。

 そしてうまンchu出演のビタミンSのお兄ちゃんもバッチリカメラに収めました(※本文上段右上)。お二人には許可をいただきましたのでこのコラムで公開します。お楽しみください。

 騎乗スタイルもゴルフスタイルもいつもさわやか紳士な幸騎手。今日も出会いを大切にされる幸スマイルが連発でした。貴重な時間をありがとうございました。常石勝義ことつねかつでした。[取材:常石勝義/栗東]

◆次回予告
日々春めいてくるこの季節。牧場では新しい命が続々と誕生しています。次回は赤見千尋さんが生産牧場に潜入。知られざる競走馬の出産をリポートします。公開は3/19(火)18時、ご期待下さい。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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