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セレクトセール2003、上場馬名簿

  • 2003年06月16日(月) 19時38分
 今年で6回目を迎える「セレクトセール2003」(日本競走馬協会主催)の上場馬名簿がこのほど届いた。300頭(途中2頭分、番号が飛んでいるようなので)の選ばれた当歳馬たちが一堂に会した感のあるセール。来る7月7日(月)8日(火)の両日、苫小牧市近郊のノーザンホースパークで開催される。

 今年の最大の関心事は昨年急死したサンデーサイレンス産駒の最後の世代が、いったいどのくらいの売れ行きを見せるか、に尽きるだろう。

 名簿の上では、計24頭が上場予定で、そのうち19頭が牡馬である。63番にはメイショウドドウの弟(新冠、パカパカファーム)が登場するし、124番にはフサイチゼノンやアグネスゴールドの弟(社台ファーム)も上場される。関係者のみならず、一般の競馬ファンにとっても、ひじょうに興味深いセールとなるだろう。

 ところで今年の名簿を見て感じたことの一つに、掲載されているカラー写真が格段に良くなっていることが挙げられる。これは、驚くべき進歩といっても決して過言ではない。セレクトセールが始まったのは1998年だが、上場馬のカラー写真を載せ始めた頃は、社台グループの牧場と非社台の牧場(その多くは日高の牧場ということになる)の写真の著しい落差が目立った。セールに申し込む際に「ポジフィルムで撮影して下さい」との指定が明記されていたものの、多くの生産者にとっては、ポジとネガの区別すら理解できていなかったのである。

 それが、届いた名簿に掲載された写真の出来栄えのあまりの違いに愕然とした人が日高にはたくさんいた。ほぼ一頭置きに並ぶ社台グループの生産馬はどれもこれも、ほとんど完璧にポーズを決めて写っているのに対し、社台以外の生産馬は、親子一緒に写っているものやら、反対を向いているものやら、「ありゃりゃ」と首を傾げてしまう出来栄えのものが多かったのだった。それに加えてネガフィルムを使用しているために、せっかくの写真がひどく発色の悪いものになっているものも少なくなかった。

 百聞は一見にしかず、ということわざがある。それだけの違いを見せつけられて、多くの生産者が発奮したのだろう。今年の名簿は、日高の各牧場の上場馬たちもかなり上出来の写真が並んでいる。あと一歩というレベルまで来ているのだ。もし、このコーナーを生産者の人が見ているのならば、来年のために簡単なワンポイントアドバイスをしておきたい。

 まず、当歳馬を立たせる場所は、できるだけ背景がごちゃついていない場所を選ぶこと。しかも、水平な刈り込んだ草地が理想だ。

 次に、カメラを構える位置は、馬の肩口あたりの高さがいい。上から見下ろすような撮り方だと、小さな当歳がよけい小さく貧弱に見えてしまう。

 レンズは、80ミリから135ミリあたりが使いやすい。絞りは開放寄りに設定する。背景をぼかすのにそうする必要があるのだ。

 フィルムは、なるべく発色を良くするために、ASA50のベルビアなどを使うと、仕上がりが綺麗になる。

 売れる売れないはセールに上場してみなければ分からないが、せめてカタログの段階では、社台に追いつく努力をしたいところだ。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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