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NHKマイルカップ初制覇へ!2頭出しで挑む斎藤誠厩舎

  • 2013年04月30日(火) 18時00分
 今週は、東京を舞台に5週連続で開催されるGIの第1弾『NHKマイルカップ』です。『桜花賞』から続く関東馬勝利の流れを汲んで、このレースも美浦から注目馬が多数参戦。その中から、ゴットフリート・ガイヤースヴェルトという2頭を出走させる斎藤誠厩舎に行って来ました!

NHKマイルC2頭出しの斎藤誠調教師

NHKマイルC2頭出しの斎藤誠調教師

 まずはゴットフリートのお話から、斎藤誠調教師に伺います。

赤見:前走の『ニュージーランドトロフィー』はスタートで躓いて残念な結果でしたね。

斎藤「もう本当に。2歩目で終わっちゃいましたから…。1枠で早めに枠入りした分、中で待たされてモゾモゾしてる時に扉が開いて。それに外々を回ったし、コーナーで他の馬とガンガンぶつかる場面もあったから。結果としては度外視だけど、相当キツイレースをしたことで今後には生きてくると思いますよ」

赤見:その後の様子はいかがですか?

斎藤「1週前はガイヤースヴェルトと併せて追い切りました。もともと攻め馬は動かない馬なんで相手にちぎられちゃったけど、大人になってズブさも出て来たし、今週しっかりやればいい状態で出走出来ると思います。

 この馬にとって、中山は少し忙しいかなという印象だし、左回りに替わる方がいいので。このレースが春の最大目標なんで、頑張って欲しいです!」

 続いては、ゴットフリートを担当する小原秀之持ち乗り調教助手。

赤見:前走は9着と悔しい結果だったんじゃないですか?

小原「そうですねぇ。何にも文句のつけようがない状態だったので、本当に悔しかったです。3、4コーナーで他の馬とぶつかったので、レース後には他の馬を怖がるような仕草を見せていたんですよ。賢い仔なんで、何日かしたらすぐに戻ってましたけど。肉体的というより精神的な部分を心配してましたが、もう全く問題ないですね」

赤見:デビュー前の印象というのはいかがでした?

小原「正直、普通の馬でした(笑)。ただ、ブレないというか、芯が通ってるなという印象はありました。もしかしたら走るかな〜と思ってたけど、まさかデビューから2連勝するとは…。実際に走ってみて、すごくセンスがいいなと感じましたね」

赤見:『朝日杯』の時とか、パドックでかなりやる気満々に歩いている印象が強いんですけど。厩舎で見ると、大人しくて可愛らしいですね。

ゴットフリートと小原助手

ゴットフリートと小原助手

小原「調教からそうなんですけど、歩いている時はグーっと引っ張り通しなんですよ。これでキャンター出たら、どれだけ引っ掛かって行っちゃうのかなと思うじゃないですか。でもいざキャンター出すと、全然落ち着いててフワーっと走ってくれるんですよね。その辺りは不思議というか面白い馬です。

 基本的にはとても扱いやすい仔ですよ。普段はね、何か噛んでないと気が済まないみたいで、僕のこともガブッと噛んで来るんですよ(苦笑)。そういう面はまだ子供っぽいんです。前はもっと大人しかったんですけど、だんだんとテンション上がって来たのかな。前は大人しすぎたんで、今がちょうどいいのかなと思います。ある程度気合入ってくれないとね」

赤見:『ニュージーランドトロフィー』の時は、これまでのパドックに比べるとすごく落ち着いていたように感じました。

小原「前走からメンコしたんですよ。『朝日杯』の時がけっこううるさかったので、落ち着かせるためにパドックだけメンコ着けました。その効果で落ち着いてくれていたし、状態も良かったので。負ける気しなかったんですよ。何にも不安がない状態でレースに挑めるって、なかなかないじゃないですか。それでスタートであれだったから。本当に悔しかったですね…」

赤見:同じローエングリン産駒のロゴタイプが『皐月賞』も制しましたけど。走り方がちょっと似てませんか? 力強く前脚を上げてガッと掻き込むところとか。

小原「じっくりとは見てないですけど、向うはクビの使い方が上手で、最後までグッと伸ばすんですよ。この仔はバテて来た時にまだ、その辺りがね。だからまだまだ成長する余地があるというか、伸びしろは大きいと思います。今状態はいいですし、前回悔しい想いをしたので巻き返したいですね!でも…人間があんまり力まないようにしてます(笑)」

 続いてはもう1頭の出走馬ガイヤースヴェルトについて、まずは斎藤調教師。

赤見:前走『毎日杯』は初の芝でしたが2着に頑張りましたね!

斎藤「もともと芝でデビューさせようと思ってたんですけど、まだ体が出来ていなかったのでダートデビューになりました。新馬戦は余裕のある体で結果を出してくれたし、使って体が締まって来て、どんどんいい体になってますよ」
 
赤見:今回はマイル戦になりますけれども。

斎藤「この仔は距離が延びていいタイプだと思っているので、正直マイルがどうかなとは思います。ただ東京は走りやすいと思うし、ここで賞金を加算してダービーへというプランもあるので。GIでどこまでやれるか楽しみですね!」

 担当しているのは、伊藤隆持ち乗り調教助手。馬房の前で話していると、ガイヤースヴェルトが『なに? なに?』という感じで顔を出して来ました。

ガイヤースヴェルトと伊藤助手

ガイヤースヴェルトと伊藤助手

赤見:(鼻をナデナデさせてくれて)ずいぶん人懐っこいですね!!

伊藤「可愛いんですよ、普段はね。可愛いんですけど…。実はけっこうやんちゃで、他の馬にちょっかい出すんです。最初の頃は、乗り運動してる時に曳き運動している馬を抜かさなくて…。グワーっと寄ってっちゃうんです。特に女馬がいるともう大変(笑)。女の子の方に行きたい! 行きたい! ってね。最近はちょっと大人になったけど、まだ全休明けの火曜日とかは元気いっぱいです」

赤見:デビューの頃はどんな仔でした?

伊藤「デビュー前はね、攻め馬で全然動かなくて、追い切りじゃない普段の調教でも肩ムチ入れながらやっと走る感じで。新馬戦の頃はだいぶ走れるようになったけど、まだ体が7、8分くらいだったから、正直使ってからだなと思ってたんです。レースの時はゲートに行ってたんで、バスの中で勝ったって聞いて『えー』ってビックリして、後で7馬身差だったって聞いてさらに『ええー!?』ってビックリしました」

赤見:斎藤先生は距離延びてさらに良さそうって言ってましたね。

伊藤「筋肉がすごく柔らかいんですけど、胴長でこういうタイプは、自分の中では珍しいなというか…初めてです。ダイワメジャー産駒なんですけど、1800mでもちょっと短いかなという印象で。追い切りに乗ってくれた柴山騎手も、『マイルじゃないよね』って言ってましたし。それでこれだけ結果を出してくれるというのは、ちょっと計り知れない能力を感じますね。

 この馬は変わった癖があって、鞍を付ける時に自分で脚を伸ばしてストレッチしてるんですよ。たまにね、寝起きで伸ばす馬はいますけど、この仔は馬装するとずっとやってますから。自分で入念に体をほぐしてるみたいなんです」

赤見:生まれながらのアスリートですね。レースを使った後はいかがですか?

伊藤「『毎日杯』の後はけっこうガクッと来ちゃって1週間くらい楽させたんですけど、今は調子上がって来ました。1週前の追い切りでもすごくいい動きだったし、今は調教でもシッカリ動いてくれるんです。昔全く動かなかったのは、精神的なものというか、まだよくわかっていなかったんだと思うんですよ。今は自分のやるべきことがわかってるみたいで。1月のデビューですが、本当に大きく成長してくれました。

 今回は同厩舎2頭で注目されて嬉しいですね。必ず勝敗がついてしまうのはちょっと複雑ですけど、いいライバルとして2頭とも頑張って欲しいです!!」[取材:赤見千尋/美浦]

◆次回予告
次回は常石勝義さんが栗東からレポート。アノ敏腕調教師の仕事に密着します。公開は5/7(火)18時、お楽しみに。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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