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移籍後も大活躍!新生・戸崎圭太騎手

  • 2013年05月28日(火) 18時00分
赤見:JRA所属になって約3か月ですけど、もう慣れましたか?

戸崎:「そうですね。レースに向けてのリズムみたいなものにはやっと慣れて来ました。南関東は毎日のようにレースに乗っていたけど、こっちは土日中心なんでね、体の維持とかが違ってきますから。あとは攻め馬が全然違う。今は通いなので朝車でトレセンに行くことからもう違うし、厩舎ごとに調整の仕方が全然違うじゃないですか。馬場もいくつもあるし、ダク(速脚)が短くてキャンターのペースが速かったり、今までの経験にはなかった調整がいろいろあって。勉強することがいっぱいです。ただ、今までは遠征に来てポンと乗せてもらっていたけど、先生や厩務員さんたちと相談しながら馬を仕上げていけるっていうのは楽しいですよ」

赤見:すでにかなりの活躍をしていますが、ご自身でも注目度が上がったなって感じますか?

戸崎:「しょっちゅう取材してもらってるんですけど、なんていうか…僕頭回らないから上手くコメントが言えないんですよ。言葉のボキャブラリーが少なくて(笑)。トレセンでちょっとしゃべったことが新聞にドーンと出たりするから、気を付けてはいるんだけど。なかなか上手くいかないですね。

 ファンの方からは、すごく温かい声援をもらってますよ。野次?それはね、地方の方が断然多い。人気で飛んだらガンガン文句言われてたから。でもJRAはあんまりないです。人がいっぱいいるし、広いから野次は言いづらいのかもしれないですね」

赤見:レースに関してはいかがですか?

戸崎:「たくさんいい馬に乗せてもらってて、感謝してます。本当はもっと結果を出さないと…特に重賞とか大きいレースが勝ててないんでね、勝ちたいですよ。2着は何度かあるんですけど勝ちきれなくて…申し訳ないです」

赤見:今は東京開催が続いてますけど、東京コースはGIも勝った相性のいいコースですよね。

戸崎:「そうですね。直線が長いし、坂もあってタフなコースです。ごまかしが利かないし、馬の力差がハッキリと出るなという印象です。僕は基本的にいつも自信を持って乗ってるんですけど、東京だとさらに自信満々に乗りますね。やっぱり仕掛けどころがけっこうゆっくりなので。直線向いて最初からいっぱいに追い出しちゃったら持たないし。自信持ってゆっくり追い出すようにしてます」

赤見:他の馬は意識してますか?例えば人気馬とか。

戸崎:「しないんですよ。というか、出来ないって言った方がいいかな。他の馬を意識しちゃうと、自分の馬のリズムが崩れちゃうんです。僕ね、単純なんですよ(笑)。展開もあんまり気にしてないし、とにかく自分の馬のリズムを大切にしてます。

 東京だと、基本的にみんな大事に乗る傾向があるからゆったりしたペースで流れる時も多いでしょ。我慢する時はもちろん我慢しますけど、馬が「行こう!」って言った時は行っちゃいますね。ペースを読んだり、他の騎手との駆け引きも必要なんだけど、やっぱり自分の馬が一番大事なので。馬って性格が一頭一頭違うから、その仔のペースをいかに理解してあげられるかだと思ってます」

赤見:今週はダークシャドウとのコンビで安田記念が待ってますね。

戸崎:「前走の大阪杯はいいポジションを取りに行った分、最後は伸びきれなかったのかなという印象でした。でもメンバー強かったし、負けたとはいえああいう積極的なレースが出来たのは、今回のレースにすごく繋がると思うんですよ。今回は初めてのマイルっていうところが気になる方も多いと思うんですけど。でも東京のマイルって、かなりパワーがいるでしょ。ガチのマイラーじゃなくても、少し距離が長い馬でも上手に走れるんでね。この馬は脚の使いところが難しいけど、ちゃんと生かしてあげられればすごくいい脚を持ってますから。中間も乗せてもらってて、いいイメージでレースに出れそうです」

大阪杯で安田記念に繋がるレースが出来たダークシャドウ

大阪杯で安田記念に繋がるレースが出来たダークシャドウ

赤見:一昨年の安田記念を制した時は、今のような状況になるって想像してました?

戸崎:「してませんよ!だいたいね、今振り返ってもよく勝てたなって思うんですよ。だってGIなんてなかなか勝てないじゃないですか。JRAに移籍してから重賞勝ってないんでね、つくづく思いますよ。あの時は、まず安田記念の日に遠征に行く南関東馬がいないとダメだし、リアルインパクトを最高の状態に仕上げてくれた関係者のみなさんのお蔭だし。とにかく色んな人の協力があってこそ勝つことが出来たので。そういう気持ちは、絶対に忘れちゃいけないって思いますね」

赤見:現在内田騎手に次ぐ関東リーディング2位!内田さんを倒せば1位ですよ。

戸崎:「いやいや、まだ5月だからね(笑)。年末になったら気になるかもしれないけど、今は全然。内田さんもそうだし、特に誰に勝つとかは意識してないです。そういうの意識しちゃうと、結局負けるから。だから、他の人じゃなくて『自分に勝つ!』。これが僕のポリシーです」

いつかはリーディングを獲ります、と明るく答える戸崎騎手

いつかはリーディングを獲ります、と明るく答える戸崎騎手

赤見:では、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

戸崎:「いつも応援ありがとうございます。今の目標は、1つ1つのレースを大事に乗って、重賞を勝って、GI勝って、いつかはリーディングを獲って…とにかくいっぱいあります(笑)。

 今でもしょっちゅう地方に乗りに行ってるし、中央・地方ともにファンのみなさんに楽しんでもらえるよう、精いっぱい乗ります!」

◆次回予告
次回の「競馬の職人」は、常石勝義さんが栗東からリポート。競馬界の旬な情報をお届けします。公開は6/4(火)18時です。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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