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二週連続の当歳市場

  • 2003年07月14日(月) 20時28分
 先週、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで開催された「セレクトセール2003」は、空前の売り上げを記録し、大いに盛り上がった。

 結果についてはすでにご存知のことと思うが、売却率、取引総額ともに昨年を大幅に上回る数字を残し、不況などどこの世界の話なのかと首を捻りたくなるほどの売れ行きを示した。

 総額約70億円、売却率76.4%は、いくらサンデーサイレンス産駒の上場が23頭あったにしても、出来過ぎと言わざるを得ないが、少なくともこのセールで当歳を購入することそのものが我が国で最高のステータスになっていることを再認識させられる思いだった。一方、日高からもたくさんの生産者が当歳を連れてセレクトセールに上場させていたが、社台グループの生産馬93%に対し日高を中心としたその他の牧場の生産馬も約60%が落札され、こちらも対前年比で約10%増。ますます「良い馬はセレクトセールを目指す」傾向が顕著になることだろう

 ところで、私たちにとっては、セレクトセールの翌週(7月14日)に開催される「セレクションセール、サラブレッド当歳」(HBA日高軽種馬農協主催)の方が気になるところだ。もっと言えば、その翌日(15日)に行われる1歳馬のセレクションセールを注目しているはず。

 この原稿を書いている時点では、まだ結果が出ていないためにコメントのしようもないのが残念なところだが、市場の振興と、売り上げ回復が最大の目標になっているHBA日高軽種馬農協は、今年、14日の当歳市場を比較展示午後2時、セリ開始を午後4時からとした。これは、もちろん主として道外から来訪する購買者の交通アクセスを考慮した結果で、千歳空港から至近距離にある千歳市のノーザンホースパークと静内の北海道市場とでは、所用時間がまるで異なるためである。購買者の利便性を考えて、というか優先させての措置とはいえ、この時間帯になると、今度は逆に上場馬を連れて行く生産者は、留守番を頼むなり、当日、他の馬の放牧を取りやめるなりの対応が求められる。午後2時から4時というのは、どこの牧場も午後の作業の真っ最中。朝から放牧していた馬たちを収容するのがだいたい午後5時前後だから、家族経営の牧場には辛いスケジュールと言える。

 しかし、今や、生産馬を売るために、そんなわがままは言っていられない。いつでも、どこへでも出かけて行くだけの準備をしておかねばビジネスチャンスはないのである。

 さて、ここまで書いて14日の当歳市場が終了した。申し込み96頭に対し、実際に上場されたのは83頭。内訳は牡60頭、牝23頭。落札されたのは、牡19頭、牝10頭で計29頭。売却率34.94%という。総額3億5448万円。昨年と比較すると、上場頭数で23頭増、売却頭数で17頭増、売り上げ総額で約三倍と、いずれも大幅アップだが、これはどのように分析すべきか。

 問題は、やはり主流を占める1歳馬の市場動向だろう。果して、いかなる結果となるものやら。

 ところでまったくの余談だが、14日の当歳市場に上場予定だった静内農業高校生産のラムタラ産駒が、日高ではずいぶん話題になっていたものだが、こちらは疾病のため欠場だったとか。残念…。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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