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雨に祟られたイベント

  • 2003年08月04日(月) 19時23分
 日高地方はこの時期、各地でイベントが盛んに行われる。わが「シンザンフェスティバル」も、8月2日と3日の両日にわたり、浦河町西舎のアエル特設会場で開催されたが、二日間とも雨に祟られるあいにくのコンディション。とりわけ、3日(日曜日)は、朝からずっと終日雨が降り続き、外での、晴天(もしくは曇天)を前提に組まれている様々なメニューが、いずれもこの雨のために大きな影響を受けた。

 「馬にこだわったお祭りを」というコンセプトに立ち戻り、最近このシンザンフェスティバルは、徐々に安易な(馬と無関係な)メニューからの脱皮を図っている。従来は、歌謡ショーで招聘するタレントの知名度一つでイベント全体の集客力が大きく変ったものだが、あまり歌謡ショーを重視していては、本来の目的や個性が失われかねない、と危惧する声が強くなってきたためだ。

 2日は午後6時より先導馬、儀礼馬車による場内パレードでフェスティバルが始まった。続いてミスシンザン二人の紹介。今年のミスシンザンは小原真実さん(20歳)と中山千春さん(22歳)。この二人は今後来年のフェスティバルまでの一年間、様々な行事に花を添えることになる。中でも、来年1月の京都競馬場で行われる「シンザン記念」で表彰式のプレゼンターを務める仕事が最も緊張する場面だろう。とはいえ、近年は、このミスシンザンの応募が多く、なかなか「狭き門」ではある。

 だが、さらに倍率の高いのが、「馬上結婚式」のカップルに当選すること。今年は、全国より60組の応募があり、その難関を勝ち抜いた二組が、この日、晴れて結婚式を挙げた。

 馬上結婚式が始まる頃には一時的に雨もやみ、儀礼馬車に乗って入場してきた二組のカップルが場内の観客から盛んな拍手を浴びて祝福される。今年は京都府の中川直樹さんと朱美さん、そして横浜市の中本雄さん、志穂さんが幸運の切符を手にした。中川さんは、御自身がその昔、浦河町内の牧場で働いた経験を持ち、その時の人々の暖かさが忘れられないと今回応募してきた。中川さん夫妻を祝福するために、そのK牧場の関係者もたくさん来場し、会場の一角に陣取ってバーベキューパーティーで盛り上がっていた。

 明けて3日。いよいよフェスティバルもこの日、クライマックスを迎えたが、冒頭で記したように朝からかなりひどい雨。キャラクターショー(爆竜戦隊アバレンジャー)が始まる午前10時20分には、それでも多くの家族連れが訪れ、ショーに歓声を上げていたのだが、その後のウルトラクイズやポニー競馬、無料乗馬や幌馬車など、観客にとってはやや辛い天候になってしまった。

 この日のメインは、「日高エンデュランス競技大会」。平たく言えば、これは乗馬によるマラソン大会である。距離は60キロから40キロ、20キロと3コース用意され、全国各地から乗馬の愛好家が70人以上も集まった。中にはかなり早いうちから馬を北海道に輸送し、コンディションを整えて参加する乗馬クラブなどもあり、今年で三回目を迎えるこの競技は、今後ますます盛り上がることが期待できそうだ。

 何より、コースが素晴らしい。JRA日高育成牧場の敷地を存分に利用した山あり谷ありの難コースだが、たぶん国内では、こんなロケーションのコース設定は難しいだろう。自馬と貸与馬により条件が異なるが、これこそ究極の北海道を満喫できる馬の楽しみ方かもしれない。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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