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サマーセール始まる

  • 2014年08月27日(水) 18時00分
サマーセール会場風景

サマーセール会場風景



1日当たり300頭前後が連日セリにかけられる。とにかく長丁場であり、販売者も購買者にとっても過酷な4日間だ

 今週月曜日より国内最大規模のサラブレッド市場である「サマーセール」が始まっている。4日間の日程のうち25日(月)、26日(火)とこれまで2日間を消化し、ちょうど半分が終わったところだが、連日とにかく数だけは売れている。日高を中心としたごく平均的なレベルの1歳馬が数多く登場することにより、このセールは実質的なサラブレッド市況を判断する上で、極めて重要な位置にある。生産者の立場からいうと、期待馬はセレクトかセレクションに上場し、それらの選考から漏れた馬や、多くを期待できないレベルの馬が、このセールに集中して出てくる。4日間で約1200頭。1日当たり300頭前後が連日セリにかけられる。とにかく長丁場であり、販売者も購買者にとっても過酷な4日間だ。

 初日は、朝からあいにくの雨であった。当初の予報では午後になると止むだろうと言われていたが、結局、終日降り続き、コンディションとしては最悪であった。比較展示は午前8時から始まり、11時20分まで7班に分割されて実施された。

 セリ開始は正午。激しくせり合う場面こそ多くないものの、購買者が鑑定人にサインを送り、次々に落札されて行く。活発なセリとは言い難いが、数だけはとにかく売れている。ただし、価格は高くない。一声で落札される上場馬も多く、またお台付け価格を大きく下回る価格で落札されるケースも目に付いた。

サマーセール展示風景

サマーセール展示風景



 いつものサマーセールの風景だが、生産者がやや売り急いでいるようにも感じる。まだオータムセールもこの後控えており、これがラストチャンスではないのに、「投げ売り」される上場馬が少なからずいた。牝馬や地味な血統馬ではこの先多くを期待できないと考え、価格は安くともここでさばいておきたいという生産者の苦しい台所事情が透けて見える。

 初日は、牡157頭、牝128頭の計285頭が上場されて、牡99頭、牝70頭の計169頭が落札された。売り上げは6億7178万1600円(税込)。売却率は59.29%。因みに昨年の初日と比較すると、上場頭数で10頭増、落札頭数で23頭増。売り上げで2645万円の増ということになる。売却率も6.2%上昇した。しかし、平均価格は397万5039円と昨年よりも44万5千円ほど下回った。

 最高価格馬は273番「エリモトゥディの2013」(父ジャングルポケット、母エリモトゥディ、母の父ワイルドラッシュ、牡青鹿)の1458万円(税込)。新ひだか町静内豊畑の前谷武志氏の生産馬で、落札者は竹園正継氏。

エリモトゥディの2013

「エリモトゥディの2013」の落札場面


エリモトゥディの2013

「エリモトゥディの2013」の立ち姿



 次いで2日目の26日は一転して好天に恵まれ、終日太陽光線が降り注ぐセリ日和となった。とはいえ、例年よりも気温は低めで、日陰にいると肌寒いほどだ。長袖や上着に身を包む人の姿も多かった。

 スケジュールは初日同様で、午前8時から展示開始、セリは正午からであった。あくまで馬本位のセリだから天候はあまり関係ないような気もするが、それでも好天であるに越したことはない。2日目は明らかに展示の段階から初日よりも活気が溢れているように感じた。

 この日は初日と比較すると高額馬が続出し、2000万円超えが2頭出た。その一方で、主取りになる上場馬も多く、牡153頭、牝157頭の計310頭が上場されたが、落札は牡104頭、牝72頭の計176頭、売却率は初日をやや下回り56.77%であった。売り上げは8億61万4800円。平均価格は454万8947円。上場頭数で11頭増、落札頭数で12頭増、売却率で2%弱の増加である。

 2日目の最高価格は399番「セーフアズロックの2013」(父ハーツクライ、母セーフアズロック、母の父ロックオブジブラルタル、牡栗)の2862万円(税込)。日高町・山際辰夫牧場の生産馬で、飼養管理者はオークツリーファーム。落札者は山岡良一氏。

「セーフアズロックの2013」

「セーフアズロックの2013」落札場面


「セーフアズロックの2013」

「セーフアズロックの2013」立ち姿



 2日目の次点は596番「ワイルドフラワーの2013」(父マンハッタンカフェ、母ワイルドフラワー、母の父Wild Again、牡青鹿)の2322万円(税込)。むかわ町・市川牧場生産で、西川光一氏が落札した。

「ワイルドフラワーの2013」

「ワイルドフラワーの2013」落札場面


「ワイルドフラワーの2013」

「ワイルドフラワーの2013」立ち姿



 2日間が終了した時点で、595頭が上場され、345頭が落札、14億7239万6400円の売り上げとなっている。昨年同期と比較すると1億6677万3900円の増加だが、以前にも触れたように、消費税増税に伴う偏差が生じており、本体価格で比較すると、昨年が2日目終了時には12億4345万円、今年が13億6333万円、したがって1億1988万円の増ということになる。平均価格は昨年が401万1129円だが、今年は395万1681円。わずかに昨年を下回っている。

 残り2日間でどうなるか。来週、改めてサマーセールを総括してみる。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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