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「こんな2歳馬記憶にない!」フィドゥーシア/吉田竜作マル秘週報

  • 2014年09月10日(水) 18時00分


◆父Medaglia d'Oroの産駒の傾向から「恐らくごつい馬なんだろう」というイメージがあったのだが…

 日曜(7日)小倉の芝1800メートル新馬戦はGIIIファンタジーS勝ち馬オディールの半弟にして、GI2着馬キュンティアを母に持つクレスト(父マンハッタンカフェ・橋口)が2番手から抜け出してデビュー勝ちを収めた。血統背景、所属厩舎からすれば妥当な勝利? いやいや、デビューの“裏事情”を聞いている身としては驚きを隠せなかった。

 話はちょっとだけさかのぼる。秋競馬突入で多忙になる前に、名スプリンター・ビリーヴにとって待望の長女となるフィドゥーシアを見ておこうと思い、足を運んだのは松元厩舎。母と同じ吉田厩務員が担当していた。「なんや、吉田が吉田を取材に来たんか」と先制パンチを食らったが、それよりも衝撃を受けたのはこの馬の姿。3日の坂路で4ハロン51.2-36.4-23.9-12.0秒の好タイムを叩き出していたこと、父Medaglia d'Oroの産駒の傾向から「恐らくごつい馬なんだろう」というイメージがあったのだが…。そこにいたのはビロードのような美しい毛並みを持ち、母によく似た顔をしたなんともシルエットの美しい牝馬。「えっ、この馬があの時計を?」と口に出そうなのを我慢しつつ、吉田厩務員にいろいろ聞いた際に、冒頭のクレストとの絡みが話題に上がったのだ。

「俺も長いことやっているが、2歳のこの時期に坂路ラスト2ハロンで23秒台が出たのなんか記憶にないよ。オーナーも期待しているんだろうな。橋口さんのところを前倒しして、ぶつからないようにしたみたいだ」

 もちろん、予定を急きょ繰り上げて勝ったクレストもすごいが、そんな芸当のできる馬を押しのけて14日の阪神芝外1600メートル新馬戦の出走を勝ち取った(?)フィドゥーシアのポテンシャルも相当なものと言わざるを得ない。母のかなわなかった牝馬クラシック出走に期待が膨らむ。

 一方で阪神開幕週のこの番組には他にも大物候補がスタンバイ。サトノフラム(牡=父マンハッタンカフェ、母タイキマドレーヌ・安田)は先月27日の坂路で馬なりのまま4ハロン52.4-12.3秒をマークすると、翌週3日にはウッドで年長馬と併せ馬を行い、3ハロン37.4-11.9秒の切れ味で先着してみせた。

「景一朗(安田調教師の実子にして調教助手を務める)が『これが走らなかったら何が走るのかわからない』と言ったくらい。ゴール前も手綱を緩めただけであっという間に突き放したからね。走ると思いますよ。松元さんのところの馬が評判になっているんでしょ? 人気は譲っても、何とか勝ってほしい」と安田調教師もいつになく鼻息が荒い。

 果たして軍配はどちらに上がるのか? それとも他にもダークホースが隠れているのか?秋の阪神開催開幕に向けて熱を帯びる今週の2歳馬の追い切りにはいつも以上の熱視線を送りたい。

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