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高い総合力を素直に評価/桜花賞

  • 2015年04月11日(土) 18時00分


総合能力の勝負となる桜花賞

 今年は1984年にグレード制が導入されて以降、初めて、3戦3勝以上の無敗馬が「3頭」も出走する。

 また、目下4連勝中のディープインパクト産駒が「6頭」も出走して5連覇を狙っている。過去、8世代でわずか3頭(2着、3着、16着)しか出走馬を送っていなかった種牡馬マンハッタンカフェが、3戦3勝のルージュバック、3戦3勝のクイーンズリングなど、今年は突然「3頭」もの出走馬を挑戦させるのも大きなポイント。

 毎年のように「男馬より強いのではないか」と思わせる名牝の出現が続いている。今年のルージュバックは、もうすでに、皐月賞で印がつきそうなベルーフ(京成杯)、ミュゼエイリアン(毎日杯)を完封して、東京2000mを2分00秒8(上がり33秒3)の快レコードで圧勝している。この高い総合力を素直に評価したい。

 坂のある新阪神コースになって以降、無理なハイペースがなくなったと同時に、桜花賞は総合能力の勝負に変わった。これと名牝の時代が重なり、いままた桜花賞の重要度は高まっている。

 1984年以降、G1を4勝以上もした歴史的な牝馬が6頭誕生している。ジェンティルドンナ【7-3-1-2】、ウオッカ【7-2-3-5】、ブエナビスタ【6-7-2-3】、メジロドーベル【5-1-0-3】、アパパネ【5-0-2-4】、ダイワスカーレット【4-2-0-0】である。メジロドーベルと、アパパネ以外は、男馬相手にジャパンC、有馬記念、天皇賞・秋、日本ダービー、安田記念などを制しているから、文字通り男勝りである。これらほとんどの名牝は、距離は1600mから、2500m級まで平気でこなしてみせた。

 注目は、この6頭の桜花賞成績である。順に「1、2、1、2、1、1」着だった。(ウオッカはダイワスカーレットの2着)。

 G1を3勝した牝馬は計7頭いるが、そのうちスティルインラブ、ニシノフラワー、ファレノプシス、テイエムオーシャン、メジロラモーヌの5頭は、桜花賞を勝っている。

 つまり、歴史に残るような牝馬は、適距離とか、短いとか、長いとかは関係なく、基本距離の桜花賞を勝ち負けできたから、名牝への道が開けたともいえる。

 ルージュバック陣営は、百日草特別をレコード勝ちしたことにより、この牝馬のテーマは、できるだけ活力を消耗することなく春のクラシックを切り抜け、さらに広がる未来展望となったように思える。桜トライアルは、桜花賞を狙う牝馬の1戦。きさらぎ賞は、世代のトップを目ざす牡馬の重要レース。

 後者を選んでの圧勝は、陣営に確信をもたらした。ルージュバックに桜花賞の距離1600mがどうかとかは、ほとんど重要ではない。マイルが心配なら、マイル戦に出走している。陣営のルージュバックへの展望は、そういう次元の期待ではないということである。

 マンハッタンカフェは、なぜ14-15歳前後(種牡馬としては多くの場合、そろそろピーク過ぎに近い)になってブレークしようとしているのか。

 同じサンデーのステイゴールドの代表産駒は、相手の牝馬の質の変化もあるが、オルフェーヴル、ゴールドシップなど、ほとんどが14-15歳になってである。だいたい、ディープインパクト、ハーツクライ、ネオユニヴァース、ダイワメジャーなどの大物は、サンデーサイレンスが、15歳に近くなっての産駒である。

 サンデー自身からして、父ヘイローが15歳前後になってからの代表産駒だった。他の著名父系よりやや遅咲きがサンデー系の隠れた特徴に近い。マンハッタンカフェ産駒のブレークも、ちょうどそういう年齢になってだから、偶然ではないかもしれない。

 誉め過ぎたかもしれないルージュバックの相手本線は、自在のココロノアイ、前回の切れが光ったアンドリエッテ、同じマンハッタンカフェの3戦3勝馬クイーンズリング

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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