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九州産にこだわりたい!熊本発のサラブレッド生産牧場

  • 2015年09月01日(火) 18時00分
本田土寿さん

九州の馬産を盛り上げている本田ステーブルの本田土寿さん



本田土寿さん「『九州にもいい馬がいる!』ということをファンの皆さんにお見せしたいですね」

 29日に小倉で行われた九州産馬限定のひまわり賞は、佐賀の鮫島克也騎手、長男・良太騎手、次男・克駿騎手の親子3人対決や、橋口弘次郎調教師VS弟の幸一郎さん(生産馬が参戦)の対決などで大きな注目を集めました。そこで今回は、ひまわり賞に5頭の生産馬を送り込み、九州の馬産を盛り上げている、本田ステーブルの本田土寿さんにお話を伺いました。

赤見:九州で生産牧場を始めた最初のきっかけは?

本田:実家が農家をしていたんですが、子供の頃は牛が4頭いました。近所に馬もいて、馬に乗るのがとにかく大好きで。小学校4年の時に父に「どうしても馬が欲しい!」って頼んだら、牛を処分して28万円で馬を買ってくれたんです。もう嬉しくて嬉しくて、馬小屋も自分で作って張り切っていました。でも実際に来た馬は中間種だったんですけど、乗れるような馬じゃなくて…。結局34万円で売りに出したんです。それが始まりでした。

赤見:かなり子供の頃から馬に携わって、しかも売り買いを間近で見て来たんですね。

本田:そうですね。実家は農家ですから馬に関しては全部自分でやってました。中学生の頃にはメルシャンというアラブの馬を金沢競馬から15万円で買って、生産を始めたんです。そこから金沢にツテができて、生産した馬を売るようになりました。高校生の頃には、1頭70万円で売れたこともありました。卒業してから本格的に生産牧場をやるようになって、当時はアラブが多かったんですけど、僕は早い段階からサラブレッドに切り替えました。

赤見:当時サラブレッドの生産にこだわったというのは、九州では珍しかったんじゃないですか?

本田:まだまだアラブ全盛の時代ですからね。でも、将来的なことを考えたらアラブは廃れていくだろうと思いましたし、サラブレッドのスピードには敵わないということはわかっていました。まだ若かったということもありますけど、人と同じことをしていてはダメだし、いいと思ったことはとことん追求したいと思ったんです。

赤見:日本の生産は北海道が主流で、種牡馬もほとんど北海道にいますけれども、種付けはどうやっているんですか?

本田:昔は地元にも種馬がいっぱいいたんですよ。ただ今はとにかく数が少なくなってしまって、九州の種馬だけで勝負するのは難しいんです。だから僕の場合は、北海道の種馬場に繁殖牝馬を連れていきますね。輸送代も掛かるし、必ず子供ができるという保証はないですけど、北海道で種付けして九州に戻るという方を選んでいます。

赤見:どのくらいの期間、北海道に滞在するんですか?

本田:牝馬の発情周期に合わせて種付けするわけですけど、一回で(種が)留まらない場合もありますから、長めに考えています。それに、北海道から九州への輸送は繁殖牝馬に負担にならないよう、お腹の子供を確認してから2〜3か月は待つことにしています。

赤見:種付けを北海道で行って、そのまま2〜3か月滞在するならば、輸送費も掛かるし、北海道で牧場をしようとは考えないですか?

本田:それはまったく考えないですね。自分が九州で生まれたということもありますし、ここまで九州産馬を生産して来た中で、九州の良さというものを誰よりも知っていますから。もちろん、土地の大きさやスタリオンの多さを考えると北海道は強いですけど、九州産馬にこだわりたいんです。

赤見:今年のサマーセール(北海道市場)には2頭上場しましたけれども、アドマイヤファインの2014(父ブラックホーク)は競り上がって710万円で落札されました。リザーブは400万円でしたから、高く評価されましたね!

アドマイヤファインの2014

2015年サマーセールにおいて710万で落札されたアドマイヤファインの2014



本田:本当に有難いですね。自信もあった馬ですが、ここまで評価していただけて本当に嬉しいです。輸送費に100万円掛かりますけど、それでも北海道市場に持って来て勝負した方が、たくさんの方に見てもらえますね。九州市場は頭数が少なすぎて、お客さんが全然集まらないですから。

赤見:今後の九州産馬については、どんなお考えですか?

本田:とにかく残っている牧場が少ないんです。でもその分、残っている人たちは本当に好きでやってる人が多いですね。九州産馬が消えてしまうのは寂しいですから、残っている人間で精一杯盛り上げていきたいです。さいわい、たくさんの方にご協力いただいていますし、例えばスマートの大川徹オーナーやコパノの小林祥晃オーナー、ショウナンの国本哲秀オーナーにもご協力いただいて、繁殖を九州に持って来てもらって生産するという流れもあります。自分たちだけの力では限界がありますが、オーナーさんたちにも協力していただいて、本当に感謝しています。

赤見:今後の目標を教えて下さい。

本田:すべての生産馬で1勝することです。1つ勝つというのは本当に大きいですから。簡単なことではないですが、地道な努力を続けることが、生産馬の質の向上に繋がると思っています。『九州にもいい馬がいる!』ということをファンの皆さんにお見せしたいですね。

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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

赤見千尋
1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミックシリーズ」の「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍中。

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