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大一番・天皇賞を前に“一変した”馬を見逃すな!

  • 2015年10月28日(水) 18時00分


ラブリーデイは春からの成長を感じさせる内容



 今週は天皇賞(秋)。イスラボニータやディサイファなど、今回は美浦所属馬にもnetkeiba.comの予想単勝オッズの上位馬がたくさんいるため、当欄に栗東所属馬だけを取り上げて大丈夫だろうかと心配していました。まして、トレセンニュースの方でエイシンヒカリをすでに取り上げましたし。

 ただ、実際に5頭取り上げてみると、ヴァンセンヌまで入ってちょうどいい感じ。というよりも、ラストインパクトが入らないくらいこんなに人気がないのだとちょっとびっくりしています。それだけ魅力的な馬が多いということではないでしょうか。個人的にはスピルバーグの一変を恐れていますが、栗東所属馬もそれに負けないくらいの変化を見せている馬がいますので注目です。

【天皇賞(秋)/ラブリーデイ】

 1週前追い切りを坂路で行って、終い重点の動き。中2週は宝塚記念と同じローテーションなのですが、当時は1週前追い切りを行っていなかったので、仕上げに関しては今回の方が入念ということになります。

 それもあったのでしょうか、28日のCWでの最終追い切りは決して無理をしない内容。浜中俊騎手が跨っていましたが、前のロードガルーダを追い抜くことなくゴール。4F時計は52.5秒と少し速くなったので、そのあたりも追い越さなかった理由かも知れません。個人的には併せ馬で遅れたことよりも、春には単走だった最終追い切りの内容が秋には併せ馬を行っているという攻め強化が成長だと感じています。

ラブリーデイ(10月27日撮影)

攻め強化が成長だと感じているラブリーデイ(10月27日撮影)



【天皇賞(秋)/ショウナンパンドラ】

 劇的に強かった前走のオールカマー。休み明けでもきっちりと追い切り本数を消化していたことがその理由だと思いますが、この馬の調教パターンである1週前追い切りできっちりと速い時計を出すことを崩さなかったのもよかったと思います。

 最終追い切りも1週前追い切りをしっかり。21日の坂路では4F54.2秒と全体は遅めでも、終い1F12.1秒としっかりやりました。これがあるので、最終追い切りは軽め。坂路4F54.1秒、1F12.7秒の馬なりもパターンに変わりなしという感じ。よって、この馬としては評価を下げる理由はありませんが、他に坂路馬場で追い切った馬との見た目の差でどうしても評価が低くなってしまいます。

ショウナンパンドラ(10月27日撮影)

最終追い切りのパターンに変わりなしという感じのショウナンパンドラ(10月27日撮影)



【天皇賞(秋)/アンビシャス】

 休み明けでも追い切りは標準量こなして、見た目には仕上げっていた前走。結果を出して不思議ない状況でしたが、ゲートを出て二完歩目に躓いてしまっては、勝ち負けに加わることすらできません。それでも4コーナーから直線に向く際の加速力は古馬重賞でも通用するスピードであると確認できました。

 上積みはないだろうと思っていましたが、レース後から馬体を毎週のように確認して思うのは、今回の方が張りがあって、ボリューム感があること。とにかく素晴らしい馬体だと思います。見映えする馬体であることは十分承知していますが、それを差し引いても、また古馬相手でもトップクラスの素晴らしい体。とはいっても、最終追い切りの動き次第と思っていましたが、こちらも文句のない動き。アクシデントさえなければ、勝って不思議ない状態にあります。

アンビシャス(10月27日撮影)

最終追い切りでは文句のない動きを見せたアンビシャス(10月27日撮影)



【天皇賞(秋)/ステファノス】

 海外遠征から帰ってきて初戦の前走。もともと休み明けは動かないタイプであったので、個人的にNo.1予想で◎を打ったことが間違いだったかと反省はしています。ただ、このレースで本命を打つのであれば、毎日王冠の時点で本命を打っておきたかったという勝手な判断もあったことはお許しください。

 それはともかく、この中間もかなり攻めている印象。これだけ攻めてもしぼむことがないんだと驚いています。最終追い切りもCWでトーホウストロングを追走して、最後はきっちり先着。朝一番の馬場とはいえ、ラスト1Fは11.8秒の伸びを見せていましたし、この状態で勝ち負けできないのであれば、今後の国内G1も苦しいかも、そう思えるくらいの状態だと思います。

ステファノス(10月28日撮影)

状態に関しては文句なしのステファノス(10月28日撮影)



【天皇賞(秋)/ヴァンセンヌ】

 前走は驚きの先行策。ただ、レース翌週に松永幹夫調教師に聞くと「夏場でひと息入れて、日数のない中での仕上げ。動いていましたが、中身が出来ていなかったということでしょう」と話していたので、力負けとか悲観する内容ではなかったということ。

 続けて「今回は攻めていくので」と同師。その言葉通り、坂路での追い切り開始が早く、28日までの時点で4本の追い切りを消化。普段は坂路をキャンターした後、CWも乗るというハード調教を行っていて、その分、馬体が素晴らしく良くなっています。引き続き手綱を握る横山典弘騎手も前走と違う状態を感じてくれるはずなので、今回はいつもの競馬で素晴らしい末脚を発揮してくれることでしょう。

ヴァンセンヌ(10月27日撮影)

馬体が素晴らしく良くなっているヴァンセンヌ(10月27日撮影)



◆次走要注意

・10/25 新潟 2歳未勝利【ショコラ】(3人/9着)

 大外枠という絶好条件を完全に殺してしまうレースぶり。最初に前が塞がっても、勝負どころまでじっとしておけばよいものを、右往左往して、結局なにもできないままに終わります。
 直線競馬の適性は十分にあったと思うので、次の機会があれば、必ず変わってくるでしょう。

[メモ登録用コメント] [芝直線]最終追い切りが坂路でラスト1F最速なら勝ち負け

・10/25 東京 2歳未勝利【シュペルミエール】(1人/1着)

 出遅れて、道中は大外動いて脚を使います。これでは直線は脚がないだろうと思っていたら、一瞬にして前を捕まえる脚。これはちょっとモノが違う感じ。
 この先もしっかり調教を積んでいけるようなら、重賞でも十分に勝ち負けでしょう。

[メモ登録用コメント] [芝中距離]調教タイプが追い切り本数多い併用系統ならなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・エリザベス女王杯【フーラブライド】
 昨年と同じローテーションですが、追い切り時計の出し始めは今年の方が早くなりました。その分というわけではないのでしょうが、28日のCWでの追い切りが絶品。
 向正面では速くなりすぎないように、武調教助手が懸命にコントロールしていましたが、そのあたりの技術はさすが。きっちり計算して、本番が最高潮になるような仕上げを見せてくれるでしょう。
フーラブライド(10月27日撮影)

本番が最高潮になるような仕上げを見せてくれるであろうフーラブライド(10月27日撮影)

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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