ディープインパクト産駒の変化
今年の男馬のクラシック路線のレベルは高く、層も厚い。注目馬が期待外れのレースを展開して、ほかの馬に注目が移るのではない。例えば、先週のきさらぎ賞の2着レプランシュ、3着ロイカバードは、凡走して差のある2着、3着にとどまったわけではなく、普通の年なら十分に勝ち馬の走破タイム(上がりタイムも)だった。だが、レースレコードで3馬身半も突き抜けたサトノダイヤモンドが素晴らし過ぎたのである。
少し前、12月のホープフルSのロードクエスト(新潟2歳S独走)もそうだった。少々強引なスパートだったが、休み明けで初距離2000mを2分02秒0なら少しも悪くない。これも勝ったハートレーが強烈過ぎた。
きさらぎ賞で上位を独占したディープインパクトの3頭は、みんな距離1800-2000mにしか出走していない馬だった。この共同通信杯にもそっくり同じ3頭が出走しているが、みんな2000mで勝ってきた馬だけである。
このことから判明するのは、なぜ、ディープインパクトは昨年、ダイワメジャーにトップを譲り、初産駒を登場させた2010年以降、5年も連続して1位だった「2歳種牡馬ランキング」部門で、2番手にとどまったかが推測できる。同じ社台SSにいる、同じサンデーサイレンスの後継馬ダイワメジャーが、自身最多の産駒数を送った勝負の世代だから、2歳後半の重賞にムキになって出走馬を送らなかったのではないか、という理由もあるが、ディープインパクト産駒は少し変化しているのである。
父サンデーサイレンスも、ノーザンテーストも、ルドルフなどの父パーソロンもそうだったが、種牡馬としての大成功がみえたら、2歳戦でも活躍するような産駒を生産しようというテーマは減少し、クラシックを中心とした中距離のビッグレース制覇を展望できるような牝馬との交配が圧倒的に多くなる。
3歳になり、春の展望を現実にしなければならない時期がきて、ディープインパクト産駒の猛チャージが始まった。2歳種牡馬ランキングの続きになる「世代別ランキング(13年生まれ)」では、ディープインパクトがたちまち首位に立ち、もう2位のダイワメジャーを1億円以上も離している。
サトノダイヤモンドに続き、クラシックの最有力馬の1頭に躍進するはずの
ハートレーに注目したい。上がり33秒8で快勝した新馬も勝負強かったが、ボウマン騎手に代わったホープフルSは強い。レース上がり35秒3のスケールを問われた2000mを一気に差し切り2分01秒8。自身の上がりは余裕を持って34秒3。たしかにロードクエストのスパートは少々強引だったが、坂を上ってもう一度伸びて1馬身ちょっとの差は、評判の注目馬ロードクエストを完封に映った。
バランス抜群の少し胴長に見える身体は、スピード系ではなく、明らかにクラシックディスタンス向き。全体バランスと、追い出しての力強さは、血統構成は異なるものの、サトノダイヤモンドに良く似たムードがある。
陣営が東京と京都に的を絞っている大跳びのストライドが持ち味の
リスペクトアース、切れ味に勝る
スマートオーディンが強敵だが、ここはハイレベル。続く伏兵も差はなく、ディープインパクト産駒の
ディーマジェスティは侮れない。