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パンドラの希望と欲望のR指定

  • 2016年05月12日(木) 12時00分


去年の出来事を引っ張るか、去年の出来事は忘れるか。
でも、一番スマートでスリックなのは去年の出来事をクールに受けとめて、クールに流すことかな。

去年の大荒れはヴィクトリアマイルの傾向から特にズレたものではなく、ただ走った馬の評価が例年以上に低かっただけさ。フッ。
なんて言ってみたいものだ。

#1そもそもヴィクトリアマイルは前走牡馬と重賞で闘った牝馬の成績がいい。
→1着したストレイトガールは前走高松宮記念だった。一昨年も3着してたから走って当然だった。フッ。

#2そもそもヴィクトリアマイルは逃げや番手馬にやさしいレースだ。
→2着ケイアイエレガントは道中2-2-2だった。3着ミナレットは逃げた。ケイアイエレガントは前走逃げて1着したからヴィクトリアマイルでも逃げる可能性のある馬だった。ミナレットは前走先行だったけど、2走前に逃げていた。そもそも先行と逃げを繰り返す馬でいつ逃げてもおかしくなかった。フッ。

結果を当て書きすると実に簡単だったように思えるから不思議だ。

でも実際はそんなに簡単じゃなかった。逃げそうな馬は見つかっても前走が牡牝混合の重賞を走った馬を絞り込むのは(自分には)簡単そうで難しかった。心配事もいっぱいあったからだ。

去年の前走牡牝混合重賞出走馬5頭
1人気ヌーヴォレコルト  中山記念1着
2人気ディアデラマドレ  マイラーズC7着
5人気ストレイトガール  高松宮13着
7人気ショウナンパンドラ 大阪杯9着
15人気リトルゲルダ    高松宮16着

1人気ヌーヴォレコルトは外枠が心配だった。
2人気ディアデラマドレは最後方から追い込んで届かないのが心配だった。
5人気ストレイトガールは一昨年の3着馬だから注目したかったけれど、一昨年は前走の高松宮を3着していた。去年は13着で馬に走る気がないと思い込んでナイガシロにした。
7人気ショウナンパンドラは、前走の大阪杯が不良馬場だったのが心配だった。大阪杯を走った馬がその後のきなみ凡走していたからだ。
15人気リトルゲルダは特に考えることもせずナイガシロにした。

そう、去年は前走牡牝混合重賞に出走した馬がみんな心配だったのだ。ちなみにこれは結果を見ての当て書きではない。去年のここで記したことだ。

結果は、
1人気ヌーヴォレコルト  6着
2人気ディアデラマドレ  7着
5人気ストレイトガール  1着
7人気ショウナンパンドラ 8着
15人気リトルゲルダ    11着

人気以上に走って、しかも好走したのはストレイトガール1頭だけだった。
1人気ヌーヴォレコルトは7枠15番に入って、6着に負けた。
2人気ディアデラマドレは最速で追い込んだものの7着までだった。
7人気ショウナンパンドラは上がり3位以内で走れる馬だけど、前走の反動があったのか、このときは上がり6位で8着に負けた。
リトルゲルダは人気を考えれば頑張ったほうだけど、11着だった。

このレースは前走大敗した馬をナイガシロにしてはならないと自分も重々承知していたけれど、ストレイトガールをナイガイシロにしてしまった。
そういえば、一昨年も前走牡馬牝馬混合重賞出走馬を大切にしながら(ディープインパクト産も大切にした)、馬券はかすりもしなかった。

一昨年
1着ヴィルシーナ  11人気 父ディープインパクト
2着メイショウマンボ 3人気 前走大阪杯7着
3着ストレイトガール 6人気 前走高松宮3着

定石どおりのはずなのに、ちょっと淫らなR指定な結末だった。淫らなことは大好きなのに、その淫らに翻弄されて終わった。

その反省を糧に挑んだ去年だけど、いっそうR指定、いやX指定な結末で、やっぱり翻弄されて終わった。
今年こそ翻弄されることなく、クールに仕留めたいものだ。フッ。

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ショウナンパンドラの春の目標は安田記念であってほしい。
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前走牡牝混合重賞を走った馬

予想人気順
2人気 ショウナンパンドラ 前走大阪杯3着
5人気 マジックタイム   前走ダービー卿1着
8人気 レッツゴードンキ  前走高松宮8着
14人気 ウリウリ      前走高松宮9着
15人気 ウキヨノカゼ    前走高松宮13着

ショウナンパンドラは去年の大阪杯より順調そうだ。去年ナイガシロにしたのは不良の大阪杯での反動を心配したからだ(あとになって、大阪杯後に反動が出たと陣営も語っていた)。今年は大阪杯2着のキタサンブラックが天皇賞春を勝った。去年とは違う大阪杯だったように見える。ならば今年もナイガシロにする理由はない。

1600向きではないと言われているのは知っている。
でもウオッカはジャパンカップもヴィクトリアマイルも勝った。ブエナビスタもジャパンカップとヴィクトリアマイルを勝った。ほんまもんの牝馬なら1600でも大丈夫なはず。少なくとも東京1600は大丈夫なはず。

そもそもショウナンパンドラ陣営が今年も宝塚記念を狙っているとは思っていない。「目標は宝塚記念」という記事は読んだけれど、あまり信じていない。今年はヴィクトリアマイルと安田記念を狙っているのではと思っている。

そもそも、ショウナンパンドラ陣営がマイルを苦手だと思っているとも思っていない。陣営の「1600が合うタイプではない」というコメントも読んだけれど、それが本音とは思えない。
去年の天皇賞秋の手応えから東京マイルでも闘えると思っているのでは?そう思っているくらいだ。

「状態はすごくよかったです。出して行っているのですが、枠順の差で2コーナーでは後ろになってしまいました。リズムよく走ってくれましたが、外々を回らされました。力は見せてくれているのですが……。悔しいです」

これは天皇賞秋の池添騎手のレース後コメントだ。2000Mを距離不足で負けたコメントではない。むしろ不利の中よく走った、不利がなければ勝てたと言っているように感じる、そんな悔しさにまみれたコメントだ。

次走でジャパンカップを勝ったから、1600距離不足説の信憑性が高まるのはわかるけれど、ほんまもんだから天皇賞秋、ジャパンカップを連続で好走できたとも言えないか。そしてほんまもんの牝馬なら、東京1600・東京2000・東京2400は同じように走れるはず。そのことは過去のほんまもんの牝馬たちが証明している。

むしろ安田記念でモーリスと本気でぶつかりたいと思っているのでは?
っていうか、ここで勝ち負けして、堂々と(本質的には合わないなどと言わずに)モーリスに挑戦状を叩きつけて欲しいと思うくらいだ。

大阪杯での走りっぷり。
天皇賞秋、ジャパンカップの連続好走。
ショウナンパンドラはほんまもんになっている可能性あり。
ほんまもんならば、東京の1600は克服可能。
そんな観察。
そして陣営は密かに安田記念を狙っている。
そんな妄想。

かくて、ショウナンパンドラをナイガシロにできなくなった。

ショウナンの馬を買うときは、マフラータオルに湘南之◯◯と馬名を入れて、湘南乃風方式で、タオルをクルクルと回しながら応援するのはどうか?そう書いたのは今から2年前、ショウナンパンドラが秋華賞を勝った翌週の菊花賞週だ。

ショウナンパンドラはパンドラだから「湘南乃箱」、ショウナンラグーンは「湘南乃遠浅」でどうか?そんなことを書いた。しかし湘南乃遠浅は菊花賞で着外に負けた。根多に走り過ぎたことを反省して、阪神JFのショウナンアデラを◎に推奨したときは、そのことに触れなかった。したらばアデラは1着した。

それ以来、湘南乃◯◯は封印した。パンドラの箱を開けてしまったような気になったからだ。でも今回は久しぶりに封印した箱を開けたくなった。
先週は、破滅から不滅が生まれるカタルシスを味わおうとして、イモータルを狙って、消滅した(なんとか破滅せずにすんだ。かしわ記念の蓄えと引き換えることで、消滅ですんだのだった)。
この焦燥をどうしたもんだろう。そうだ!長らく封印していたパンドラの箱に手をかけてみよう!うは。なんだか今週も返り討ちにあいそうだ。でも、パンドラの箱には最後に「希望」が残っていたと言われている。そこにすがろう。

パンドラに希望を見いだす。悪くない流れだ。
でもショウナンパンドラは予想2人気。もうちょっと下がって欲しいところだ。できるならば、週末にかけてもっともっと1600距離不足論が巻き起こって、単勝人気が下がって欲しい。なんなら2着つづきの池添騎手とセットで「単勝買いにくいムーブメント」が巻き起こってほしい。うむ、我ながら、そしていつもながらゲスな、いやR指定な希望、いや欲望だ。

マジックタイムは久しぶりにダービー卿を勝った牝馬だ(2000年のフサイチエアデール以来)。ダービー卿を2着したコイウタが07年にヴィクトリアマイルを勝ったことを思うと、ナイガシロにはできない。東京1600も2-2-0-1と得意だ。

レッツゴードンキは前走高松宮で期待した馬だ。距離1200で新味が出ると思ったけれど、出負け気味にスタートし、直線でも挟まれて、期待した新味は出なかった。ただし、最後の直線はスムーズではなかったけれど、走りそのものは悪くなかった。走る気力はあるように見えた。ならばまだナイガシロにはしたくない。

東京では5人気で16着、8着と期待を裏切っているウリウリと出負けしなくても最後方競馬をしそうなウキヨノカゼはちょっと買いにくい。
って、ちょっと待った!
そういう買いにくい馬を買わないから、毎年翻弄されて、ぐったりしているのではないのか!?(ごもっとも!)
ならば今年は………ってやっぱりこの2頭は買いにくい。とってもX指定だぞ!


う〜む…ショウナンパンドラ以外は思いのほかあっさりしてしまったな。
でもパンドラについては願望がほとんどだ。願望の贅肉を削ぎ落とせば、マジックタイムやレッツゴードンキとたいして変わらない。今は週の真ん中水曜日(掲載は木曜日だけど)、結論は急がずに3頭を均等に扱って、枠だの馬場だのお天道様だの人気だの池添だのを観察だ。

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ヴィクトリアマイル注目馬
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ショウナンパンドラ
マジックタイム
レッツゴードンキ

前走牝馬限定の重賞だった馬が1人気になると危ないけれど、今年から違う傾向になるかもしれない話や、
1600以下重賞で成績が芳しくない池江厩舎のミッキークイーンの話や、
東京のルージュバックと先行のスマートレイアーはどっちが本当か?とか、
シャルールのポテンシャルールとか、まなか、もなか、はまなか〜とか、
触れたいことはいろいろあったけど、やめた。ぜんぶ箱に詰め込んだ。

今年はX指定ではなく、R指定くらいでお願いします。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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