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うまく流れに乗ればモーリスの相手に/安田記念

  • 2016年06月04日(土) 18時00分


人気馬に劣らないマイル適性

 断然人気のモーリス(父スクリーンヒーロー)は、着地検疫の「白井→東京競馬場」への移動、慣れない滞在に不安がささやかれたが、さすがにエース級を揃える堀厩舎。慎重な調整でピタリ仕上がった。迫力あふれる馬体は、太いというより一段と力強くなった印象を与える。「マイルのチャンピオンはめったに崩れない」。金言を思い起こしたい。

 安田記念後の3連勝の時計は平凡な印象もあるが、もともと「追い込みタイプ」として育った期間があり、快速系というより総合力で抜け出す馬。やがて秋には距離を延長することになる。今回は楽に好位につけられる相手であり、崩れる危険は小さい。予測されるあまり速くない流れも、前回の香港シャティンで最後の2ハロンを「22秒03」で楽々とまとめた爆発力もあるから、死角にはならないはずだ。

 対する相手は、長所と死角を合わせ持つから、可能性の高い順に評価する組み合わせではない。

 イスラボニータを買いたい。ここ2戦は珍しく凡走だが、今回の動きはいい。本来の正攻法なら、東京巧者、かつ、本質マイラーの真価が発揮されて不思議ない。東京の1800m以下【4-0-1-0】だが、その中で1600mは2歳新馬を1着の1戦だけ。マイルでは昨秋のマイルCSを勝ったモーリスから0秒2差の3着がある。出負けして後方から直線勝負に出たこともあるが、上がり33秒0は、好位から抜けたモーリスの33秒1、後方から伸びたサトノアラジンの33秒2を上回っている。うまく流れに乗れるなら、人気のモーリス、サトノアラジンに見劣らないマイル適性があるのである。

 父フジキセキも、母の父コジーンも、祖母の父クラフティプロスペクターも、マイルのG1にぴったりの特徴を伝える種牡馬であり、一瞬の切れというより、東京向きに速い脚が長続きする。フジキセキの代表産駒の1頭ストレイトガールは、他のコースのマイルではたいしたことはないが、東京の1600mには3回だけ出走して【2-0-1-0】という特異な成績を残している。すべてヴィクトリアマイルの成績である。東京の1800m以下【4-0-1-0】のイスラボニータが、似たような特徴を持っていて不思議はない。

 京王杯SCで驚異の爆発力を発揮したサトノアラジンも有力だが、その1400mの自身の中身は、「36秒0-(11秒2)-32秒4」=1分19秒6。前半は未勝利以下、後半は超A級馬。得意のスローでも東京1600mでは脚の使いどころが難しいから、3番手評価にとどめたい。

 初の1600mになるリアルスティールは、マイルもまったく平気という可能性7割に、初めてでもあり、伸びそうで伸びない危険も3割くらいありそうなので、人気を考えると抑えだろう。

 ハナを切る可能性もあるロゴタイプ以下の人気上位馬も、モーリスからは買いにくいから、オッズを見ながらの押さえにしたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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