人気馬に劣らないマイル適性
断然人気の
モーリス(父スクリーンヒーロー)は、着地検疫の「白井→東京競馬場」への移動、慣れない滞在に不安がささやかれたが、さすがにエース級を揃える堀厩舎。慎重な調整でピタリ仕上がった。迫力あふれる馬体は、太いというより一段と力強くなった印象を与える。「マイルのチャンピオンはめったに崩れない」。金言を思い起こしたい。
安田記念後の3連勝の時計は平凡な印象もあるが、もともと「追い込みタイプ」として育った期間があり、快速系というより総合力で抜け出す馬。やがて秋には距離を延長することになる。今回は楽に好位につけられる相手であり、崩れる危険は小さい。予測されるあまり速くない流れも、前回の香港シャティンで最後の2ハロンを「22秒03」で楽々とまとめた爆発力もあるから、死角にはならないはずだ。
対する相手は、長所と死角を合わせ持つから、可能性の高い順に評価する組み合わせではない。
イスラボニータを買いたい。ここ2戦は珍しく凡走だが、今回の動きはいい。本来の正攻法なら、東京巧者、かつ、本質マイラーの真価が発揮されて不思議ない。東京の1800m以下【4-0-1-0】だが、その中で1600mは2歳新馬を1着の1戦だけ。マイルでは昨秋のマイルCSを勝ったモーリスから0秒2差の3着がある。出負けして後方から直線勝負に出たこともあるが、上がり33秒0は、好位から抜けたモーリスの33秒1、後方から伸びた
サトノアラジンの33秒2を上回っている。うまく流れに乗れるなら、人気のモーリス、サトノアラジンに見劣らないマイル適性があるのである。
父フジキセキも、母の父コジーンも、祖母の父クラフティプロスペクターも、マイルのG1にぴったりの特徴を伝える種牡馬であり、一瞬の切れというより、東京向きに速い脚が長続きする。フジキセキの代表産駒の1頭ストレイトガールは、他のコースのマイルではたいしたことはないが、東京の1600mには3回だけ出走して【2-0-1-0】という特異な成績を残している。すべてヴィクトリアマイルの成績である。東京の1800m以下【4-0-1-0】のイスラボニータが、似たような特徴を持っていて不思議はない。
京王杯SCで驚異の爆発力を発揮したサトノアラジンも有力だが、その1400mの自身の中身は、「36秒0-(11秒2)-32秒4」=1分19秒6。前半は未勝利以下、後半は超A級馬。得意のスローでも東京1600mでは脚の使いどころが難しいから、3番手評価にとどめたい。
初の1600mになる
リアルスティールは、マイルもまったく平気という可能性7割に、初めてでもあり、伸びそうで伸びない危険も3割くらいありそうなので、人気を考えると抑えだろう。
ハナを切る可能性もある
ロゴタイプ以下の人気上位馬も、モーリスからは買いにくいから、オッズを見ながらの押さえにしたい。