自ら強気にスパートして出たい
金曜日から土曜日まで、降ったり止んだりの雨が、日曜日の午後の阪神の馬場にどのくらい影響するのか。土曜日の芝コースは、1Rの2歳未勝利戦が「重馬場」でスタートし1600m「1分37秒6」。上がり37秒1だった。走りにくい重馬場とは映らず、このまま天気予報通り雨が降らないなら、日曜日の午後には「良馬場」に回復してくれるのではないか、と思われる。
期待する
トーホウジャッカル(父スペシャルウィーク)は、弾むようなフットワークで、軽く鋭いストライドが持ち味。馬場が渋ったままだとマイナスが考えられたが、これならフルにスピード能力が発揮できるだろう。8-9分と思われる状態で0秒3差の4着した昨年とは、今年は雲泥の仕上がりになった。
菊花賞3000mを日本レコードの「3分01秒0」で、のちに有馬記念を勝つゴールドアクター(3着)、2着するサウンズオブアース(2着)相手に快勝しているが、あれはスタミナ能力で押し切ったというより、豊かな中距離向きの総合力をフルに爆発させたからこその、大レコード勝ちだった。本質ステイヤータイプはああいう快時計を、高速馬場の京都で叩き出すことはできない。そんなスピードはない。
父スペシャルウィークはもちろんスタミナも兼ね備えていたから、ジャパンカップも、天皇賞・春も勝つことができたが、2000mの天皇賞・秋は当時のレコード「1分58秒0」で強烈な差し切りだった。母の父マルゼンスキー、祖母の父セントクレスピンのいいところを受け継ぎ、そこにサンデーサイレンスだから、5馬身差で引き離した日本ダービーが物語る天才タイプだったのである。
歴史的な名牝ブエナビスタや、シーザリオを送りながら、男馬の代表馬はダート巧者に限られたり、総合サイアーランキングでは5位以内に入ったことなどないから、種牡馬としてもたまに大物を輩出する少々難しい天才タイプと思われる。
トーホウジャッカルの母父はアンブライドルズソング(祖父ファピアノ)。CBC賞を制した4分の3姉トーホウアマポーラや、トーホウジャッカルにスピードを伝えた種牡馬の1頭であり、ファピアノをクロスさせて活躍馬を送り出したりしているファミリーは、本質スピード系。したがって、トーホウジャッカルは、父母両系の一番いいところを受け継いだ、とくに父スペシャルウィークに似た天才型と考えたい。でなければ、あのキャリアで菊花賞を日本レコードで勝つことなどできない。
凱旋門を展望する2冠馬
ドゥラメンテ(父キングカメハメハ)相手に勝ち負けを持ち込むとき、数少ないスペシャルウィークの後継馬となることができる。新種牡馬リーチザクラウン(スペシャルウィークの数少ない後継馬)の産駒が、7日の大井で新馬を勝ったばかり。ときに大物を送るスペシャルウィークと、その息子トーホウジャッカルの真価発揮に期待する。菊花賞と同様、自ら強気にスパートして出たい。