スマートフォン版へ

人気割れで素直にダッシングブレイズ/中京記念

  • 2016年07月23日(土) 18時00分


身体能力は驚くほど素晴らしい

 近年、連続して大波乱の結末になるもっとも難解な重賞。時期的に馬場状態に左右されやすいこと。路線から離れた位置にあるマイル戦のため、ここを使って8月14日の「関屋記念」組以外は、バラバラな過程の馬が大半であること。トップクラスが出走することはめったにないこと。中京の芝の変化は大きく、年によって大きく時計は異なり、コース巧者が探しにくいことなど、最初から波乱の要素に満ちあふれている。

 もう9年も連続して3連単の配当は「20万円超え」。荒れるのはみんな分かっているから、もう6年連続して1番人気の単勝オッズは「400円以上」。マイル戦になった12年以降の4年、1-2番人気の8頭は全滅の【0-0-0-8】である。

 一見、今年のメンバーは荒れそうもない印象を与えるが、これだけ波乱が続くと人気は予測以上に割れるだろう。逆張りというほどのこともないが、人気が割れるのだから、どのみち低配当はない。オッズは気にせず、素直に買う手が成立するかもしれない。

 人気の1頭ダッシングブレイズから入りたい。東京新聞杯で落馬のあと、6着、4着にとどまっているが、コース不向きな中山1600mと、超スローの京王杯SCを「0秒4差、0秒4差」。後遺症はなく、今回の状態は少しも悪くない。昨秋の左回り東京1600mを1分32秒9(上がり33秒2)で差し切ったレースが再現できれば、この相手なら文句なしに最有力だろう。

 人馬ともにラチに接触したその落馬だが、浜中騎手はラチの内にぶっ飛んでいる。ダッシングブレイズもラチに接触して大きくバランスを崩し、脚が交錯しかかるほど体勢を崩したが、斜めになりながら体を立て直し転倒しなかった。あの身体能力は驚くほど素晴らしい。まだまだ秘める高い能力を見せてくれそうである。

 落馬するまで距離1600mは【5-2-0-1】。着外1度も1勝馬として3戦目に挑戦した「シンザン記念」の4着であり、勝ち馬から「頭、鼻、首」の同タイム。前半スローなのに後方に置かれなければ、勝ったにも等しい惜敗だった。

 彗星のように米種牡馬界に出現して、2013年の北米チャンピオンサイアーに輝いた父キトゥンズジョイ(父エルプラド、祖父サドラーズウェルズ)は、自身も、その産駒もほとんどが「芝」での快走。北米のサイアーランキングで芝馬がトップに立つのは、父エルプラドに続いてであるが、競走体系からして至難である。

 だから、毎年リーディングの上位に君臨することはないが、それは仕方がないことでもある。ダッシングブレイズの他に輸入された競走馬は、日本ではどうも難しいサドラーズウェルズ系らしくまだパッとしないが、アメリカで全11勝のうちG1を5勝もした牝馬ステファニーキトゥンズ(7歳)は、6歳時にもG1を2勝するほどの成長力を示したタフな馬だった。15年、日本のノーザンFに繁殖牝馬として3億円を超す高額で購入され輸入されている。同じように成長するはずのダッシングブレイズから、荒れる中京記念だから手広く穴馬にも流したい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング