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自在のレース運びで/新潟2歳S

  • 2016年08月27日(土) 18時00分


評価急上昇の父ローエングリン

 スローの予測された今年の関屋記念は、意外や「45秒7-46秒1」=1分31秒8の厳しいペースの高速決着になったが、外回りの新潟1600mが緩い流れになるのはごく一般的。

 とくに2歳馬の場合は、最後の直線が約660mもあるので、ただゆったりした流れに乗って進むというより、最後の直線だけに全力投球できるように、相手のペースに合わせたりせず、最後方からの助走に徹するくらいの追走でもかまわない。

 新潟の直線660mのレースに持ち込むことに成功するとき、上がり33秒0そこそこも、ハマれば32秒台も難しくないのである。

 ただ、そうして快走した馬は衝撃的な切れ味爆発と高く評価されるが、上手く運べばどの馬だって上がり32秒台くらいの末脚は使えるのが、直線レースに転じる新潟なので、のちに思われるほど活躍しないことが珍しくない。

 自在のレースができそうな牝馬ヴゼットジョリーから入りたい。父ローエングリンはベテランになってから、時どき忘れたころに台頭したイメージが残るが、実は大違い。3歳の春までに、武豊騎手で2勝、横山典弘騎手で2勝し、早々と4勝もして宝塚記念に挑戦し0秒2差の3着に快走している。3歳馬の出走が再び可能になった1987年以降の30年間、3歳で勝ち負けしたのはローエングリンだけである。追い込みもあり、先行もありのレースセンスにあふれた注目馬だった。

 母方もレースへの順応力が素晴らしく、現5歳のオープン馬ベルルミエールは早熟ではなく最近も好走しているが、3歳の秋には古馬と互角のオープン馬になっている。

 父ローエングリン、母の父サンデーサイレンスは、ロゴタイプ、ゴットフリートと同じ配合型。やっぱり早い時期から、秘める能力全開タイプである。ヴゼットジョリーにも同じような成長過程が望める。ローエングリン産駒は、ロゴタイプ登場で評価急上昇。現2歳世代は87頭も血統登録された馬がいる。

 今回は土曜日に1900勝を達成した福永祐一騎手に代わるが、ローエングリンの新馬初戦に騎乗したのが、福永祐一だった。

 有力馬は多いが、穴馬は岩部騎手のオーバースペックの大外からの追い込み。母の父キャプテンスティーヴ。意外性にあふれている。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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