評価急上昇の父ローエングリン
スローの予測された今年の関屋記念は、意外や「45秒7-46秒1」=1分31秒8の厳しいペースの高速決着になったが、外回りの新潟1600mが緩い流れになるのはごく一般的。
とくに2歳馬の場合は、最後の直線が約660mもあるので、ただゆったりした流れに乗って進むというより、最後の直線だけに全力投球できるように、相手のペースに合わせたりせず、最後方からの助走に徹するくらいの追走でもかまわない。
新潟の直線660mのレースに持ち込むことに成功するとき、上がり33秒0そこそこも、ハマれば32秒台も難しくないのである。
ただ、そうして快走した馬は衝撃的な切れ味爆発と高く評価されるが、上手く運べばどの馬だって上がり32秒台くらいの末脚は使えるのが、直線レースに転じる新潟なので、のちに思われるほど活躍しないことが珍しくない。
自在のレースができそうな牝馬
ヴゼットジョリーから入りたい。父ローエングリンはベテランになってから、時どき忘れたころに台頭したイメージが残るが、実は大違い。3歳の春までに、武豊騎手で2勝、横山典弘騎手で2勝し、早々と4勝もして宝塚記念に挑戦し0秒2差の3着に快走している。3歳馬の出走が再び可能になった1987年以降の30年間、3歳で勝ち負けしたのはローエングリンだけである。追い込みもあり、先行もありのレースセンスにあふれた注目馬だった。
母方もレースへの順応力が素晴らしく、現5歳のオープン馬ベルルミエールは早熟ではなく最近も好走しているが、3歳の秋には古馬と互角のオープン馬になっている。
父ローエングリン、母の父サンデーサイレンスは、ロゴタイプ、ゴットフリートと同じ配合型。やっぱり早い時期から、秘める能力全開タイプである。ヴゼットジョリーにも同じような成長過程が望める。ローエングリン産駒は、ロゴタイプ登場で評価急上昇。現2歳世代は87頭も血統登録された馬がいる。
今回は土曜日に1900勝を達成した福永祐一騎手に代わるが、ローエングリンの新馬初戦に騎乗したのが、福永祐一だった。
有力馬は多いが、穴馬は岩部騎手の
オーバースペックの大外からの追い込み。母の父キャプテンスティーヴ。意外性にあふれている。