気難しさは無類の闘志につながる
中京に移った最初の2014年が、
「前半62秒3-後半48秒7-36秒5」=1分51秒0
2回目の2015年が同じ良馬場で、
「前半60秒2-後半50秒2-37秒9」=1分50秒4
絵に描いたように、2014年は「先行-好位-先行」組だけの決着になり、逆にきついペースで展開した2015年は「差し-追い込み-追い込み」馬の組み合わせ。
中京ダート1800mの高額条件で勝っているのは、
アスカノロマン「東海S-1分51秒9」と、
コパノリッキー「東海S-1分50秒9」、
サウンドトゥルー「ジュライS-1分51秒6」の3頭だけ。というより、距離を問わず中京ダートで勝ち星があるのはこの3頭だけ。中京ダートは初めての馬が6頭もいる。
レースの流れは昨年と同じようなHペースとしてもいい平均ペースと推測し、差す脚のある馬を中心にしたいが、中京ダート1800mの経験なしの馬が過半数を占めるから、不確定要素の非常に多いG1レースである。
思い切って3歳の伏兵
ラニ(父タピット)の一気の素質開花に期待したい。
アメリカで早速ゴジラのニックネームが進呈されたくらい怪しい気性の馬だが、ドバイ→アメリカ3冠レースと転戦してそれなりの結果を残したのだから、実にタフである。惚れ惚れする素晴らしい馬体の持ち主でもある。今回は2週連続して内田博幸騎手が栗東に駆けつけ、時計の出るダートのEコースとはいえ、最終追い切りなど1200mは1分12秒そこそこだから驚く。兄
アウォーディーにならって装着したブリンカーが利いている。
エンジンのかかりが遅く、12FのベルモントSで小差3着したのでスタミナ型と思われるムキもあるが、なかなか行く気にならない気性が原因で、本質は中距離スピード系。父タピットも、祖父プルピットもダート9F前後で快走し、母へヴンリーロマンスのダート1勝も1800mである。今回は、早めのエンジン全開をうながすため、強い返し馬でその気にさせる予定があるという。
アメリカ血統というだけでなく、東京、ドバイ、そしてアメリカで好走してきたように左回り巧者。前回、久しぶりだった右回りの凡走は度外視したい。
他馬をうなって威嚇したり、吠えたりの気性は大きな死角だが、苦しくなったベルモントSで伸びてきたあたり、並外れた心肺機能をもち、陣営も本物になれば半兄アウォーディー以上の大物のはずだ、との期待がある。気難しさは無類の闘志につながる。
内田騎手は、同じ芦毛の気難しいゴールドシップとのコンビで皐月賞、菊花賞など7勝もしている。2週連続の栗東での追い切り騎乗で、怪獣(悪童)ラニと、スタートから真剣に走ろう。そんな意思の疎通が芽生えたことを期待したい。