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フランケルの娘との対決/朝日杯FS

  • 2016年12月17日(土) 18時00分


フランケルの娘に土をつけることができるか

 また今週も、フランケル産駒の牝馬ミスエルテが最大の注目を集めることになった。不敗【14-0-0-0】のフランケルは種牡馬としても期待通りのスタートを切ったことが伝えられる。欧州で出走した産駒は少ないが、出走できた馬はだいたい2歳戦で半数が勝ち上がっているという。日本でも血統登録された14年生まれの産駒は11頭(海外にいる馬も含めて)に達しているが、2歳デビューを果たしたのは4頭にとどまり、勝ち上がったのは半数の2頭。勝っていない2頭の成績は、ソウルスターリングや、ミスエルテとは大きな違いがある。

 天才型のフランケルは、その優秀性を伝えることに成功しているが、もしかすると、走る産駒はたちまちステークスウイナーになるほど走るが、そうではない産駒は凡庸で出走に手間取り、その落差は大きく、平均して多くの馬が着実に走るという種牡馬ではないかもしれない。

 ミスエルテの前回はスローの1400mだったから、この牝馬の上がりは推定「12秒0-10秒8-10秒8」=33秒6である。楽々と爆発し、レースの最後に連続「10秒台」は素晴らしい。めったにない大変な記録である。現時点では、陣営も心配しているようにカリカリする気性もあって、距離延長は歓迎ではなく、流れも厳しくない方が、持ち味の切れが生きるだろう。

 牡馬ではレッドアンシェル(父マンハッタンカフェ)が、同じ京都1400mを、同じく上がり33秒6で快勝して2連勝となっている。こちらの上がりは対照的に推定「11秒2-11秒1-11秒3」=33秒6だった。こちらも素晴らしいが、爆発するというより、速い脚が長く続いた印象が濃い。

 ミスエルテの父フランケル(その父ガリレオ)がイギリスで初出走となった2歳夏のレースで小差2着したのは、のちにキングジョージVI世&クイーンエリザベスSなどを勝ったナサニエル(父ガリレオ)である。

 ナサニエルは、引退レースもフランケルと同じ4歳秋の英チャンピオンSで、全勝で引退したフランケルの3着だった。

 ナサニエルは、レッドアンシェルの母の半弟にあたる。レッドアンシェルからすると、ちょっとだけ歳上の尊敬する叔父である。場所を日本に移し、叔父の宿敵フランケルの娘との対決となったレッドアンシェルは、叔父に代わって、フランケルの娘に土をつけることができるだろうか?

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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