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先行加速型ブラックと加速装置発動型ダイヤモンドがぶつかって、弾かれる馬の間隙を突く馬はいるのか?

  • 2016年12月22日(木) 12時00分


有馬記念の1着賞金が3億円になって、ジャパンカップと並んだ。
2着でも1億2000万円。

こうなると、秋の中距離G1戦線の勝負どころが替わってきても不思議ではない。

天皇賞秋 1着賞金1億5000万円
JC    1着賞金3億円
有馬記念 1着賞金3億円

種牡馬としてスピードを証明したいと思えば天皇賞秋は欲しいタイトルだ。
種牡馬としての価値を残しつつ、同時に世界に名を轟かせたいのなら東京2400のジャパンカップは欲しいタイトルだし、賞金3億円は単純に魅力だ。
日本中の視線をあまねく浴びたいのなら有馬記念は欲しいタイトルだし、賞金3億円はやっぱり魅力だ。

将来の実を取るなら天皇賞秋は賞金が半額でも勝ちたいだろうけど、今、この瞬間の実を取るならジャパンカップか有馬記念を勝ちたいだろう。両方取れたら、大まつりだし、1つでもダイヤモンドがいくつ買えるかって話だ。

お祭りか、ダイヤモンドか……なんてことを思いながら、今年の出走メンバーを見た。

有馬記念がこの秋(9月以後)3戦目になる馬がいっぱいだ!
16頭中11頭が3戦目で有馬記念!

アドマイヤデウス 3戦目
アルバート    3戦目
キタサンブラック 3戦目
ゴールドアクター 3戦目
サウンズオブアース3戦目
サトノダイヤモンド3戦目
シュヴァルグラン 3戦目
ヒットザターゲット3戦目
マリアライト   3戦目
マルターズアポジー3戦目
ヤマカツエース  3戦目

サトノノブレス  4戦目
サムソンズプライド4戦目
ムスカテール   4戦目

デニムアンドルビー2戦目
ミッキークイーン 2戦目

しかも、
天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念というG1・3連戦の馬が今年は1頭もいない。
っていうか、そして、誰もいなくなったといった方がいいかもしれない。

天皇賞秋→マイルチャンピオン、もしくは香港。
これがこれからの主流になるかもしれないけれど、単純に天皇賞秋・JCローテでは有馬記念を勝ちにくいことも経験値として認知されているのかもしれない。

この10年で、天皇賞秋・JCローテで有馬記念を勝った馬は、ジェンティルドンナ1頭しかいない(3戦目が有馬)。
2着3着は6頭いるけれど、馬券圏内30頭中7頭では主流とは言えない。

ジャパンカップ・有馬記念の1着賞金3億円。両方勝てば、合わせて6億円。
2着も各1億2000万円あるから、1着2着でも4億2000万円。2着2着でも2億4000万円。2着2回でもその他のG1を2つ勝つのに匹敵する。
ジャパンカップと有馬記念を高い次元で走らせたくなるのももっともな話だ。

ちなみにこの10年の有馬記念1着馬は、
3戦目 7勝
2戦目 1勝
4戦目 2勝

ここでも3戦目が圧倒的優位。
「なんか→ジャパンカップ→有馬記念」、もしくは「なんか→なんか→有馬記念」。
有馬記念を3戦目に据える陣営だらけになるのも当然だ。

以下は、ジャパンカップ→有馬のローテで臨む陣営

キタサンブラック JC1着 3億円
サウンズオブアースJC2着 1億2000万円
シュヴァルグラン JC3着 7500万円
ゴールドアクター JC4着 4500万円
ーーーーーーーーーーーーー
ヒットザターゲットJC15着

JC1〜4着馬がみんな出ている。しかもみんな有馬が3戦目。

去年はJC5着までの馬が3頭だった。
2着ラストインパクト 有馬12着(天皇賞秋→JC)
3着ラブリーデイ   有馬5着(京都大賞典→天皇賞秋→JC)
5着サウンズオブアース有馬2着(京都大賞典→JC)

ラストインパクトもラブリーデイも好走が難しくなっている天皇賞秋→JCからの参戦で、ラブリーデイは秋4戦目でもあった。秋3戦目で、大賞典→JCだったサウンズオブアースが2着したのも、しごくまっとうだ。

今年は、みんな3戦目。しかも天皇賞秋→JCは1頭もいない。
それだけでJC上位馬に消耗なしとも言える。

いつもは天皇賞秋・JCの消耗を理由に、別路線組の割り込むスキあり!
と考えてワクワク、ニギニギしていたけれど、今年の上位陣はスキなしか!?
2000年の有馬記念(テイエムオペラオー・メイショウドトウ・ダイワテキサス)以来ごぶさたの前走JC組の馬券圏内独占もあるか!?

で、予想オッズを拝見
1人気 サトノダイヤモンド
2人気 キタサンブラック
3人気 ゴールドアクター
4人気 サウンズオブアース
5人気 シュヴァルグラン

上記したJC1〜4着馬がちゃんと5人気以内に入っている。
1人気がサトノダイヤモンドになっているけれど、1枠1番に入ったキタサンブラックの1人気も十分ありえる。

っていうかサトノダイヤモンドは、有馬記念に強い菊花賞を1人気で1着した有馬記念直行ホース。

菊花賞を1人気で1着して、有馬記念に直行した馬はこの10年で2頭。
オルフェーヴル 有馬記念1人気1着
ゴールドシップ 有馬記念1人気1着
この15年にするとディープインパクトも入る。
ディープインパクト 有馬記念1人気2着

これを見ると、ジャパンカップ上位馬の包装紙で、ダイヤモンドを包めば、それで完結に思えてくる! ダイヤモンドを包む。なんてゴージャスなんだ!

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サトノダイヤモンドの加速装置は有馬でも発動するか?
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今年一番多くこのコラムで触れた馬がサトノダイヤモンドだと思う。皐月賞、皐月賞の翌週、ダービー、神戸新聞杯、菊花賞。いつだってテーマは「加速装置」についてだった。

理由は、ルメールがダイヤモンドの魅力を「加速するときの脚」とインタビューで答えていたのを読んでしまったからだ。
自分はサイボーグ009の「加速装置」が大好きなので、ルメールの表現に触れた瞬間に「加速装置!」が脳内に浸食し、こびりついて剥がれなくなった。

だから皐月賞・ダービー・菊花賞とサトノダイヤモンドの加速装置にスイッチが入るか、そればかり見ていた。しかし、皐月賞・ダービーではスイッチオンしていたのかもしれないけれど、素人にもわかりやすい発動は見られなかった。しかし、菊花賞は違った。

最終の3角〜4角を楽々と上がっていくサマにダイヤモンドの加速装置の真髄をみた気がした。そう、サイボーグ009みたいにカチっと歯でスイッチを入れて、光速体勢に入るのではなく、他馬より1段階上の脚でコーナーを口笛でも吹きながら駆け上がるのがダイヤモンドの加速装置なんだと気づいたのだった。

有馬記念は、道中先行できる馬か、3角から加速できる馬のどちらかが1着するレースだ。今年は加速先行ができるキタサンブラックがいるけれど、ダイヤモンドの加速装置が秋になっていっそう磨きがかかったとなれば、ここでも通用するのではないか?

とはいえ、だが、しかしだ。
前記した過去の菊花賞1人気1着馬が勝てたのは、他の上位人気馬たちが消耗してたからかもしれない。

12年 1人気1着ゴールドシップ 前走菊花賞1着
   2人気3着ルーラーシップ 天皇賞秋→JC
   3人気4着エイシンフラッシュ 天皇賞秋→JC

11年 1人気1着オルフェーヴル 前走菊花賞1着
   2人気7着ブエナビスタ  天皇賞秋→JC
   3人気5着トーセンジョーダン 天皇賞秋→JC

05年 1人気2着ディープインパクト 前走菊花賞1着
   2人気8着ゼンノロブロイ   天皇賞秋→JC
   3人気11着デルタブルース   アルゼンチン→ステイヤーズ

2人気、3人気の馬たちは、ほぼ軒並み『天皇賞秋→JC』だった。そして人気より着順を落とした。
しかし、これまた前記したように今年は「天皇賞秋→JC」の馬がいない。上位人気馬たちにこの秋4戦目の馬もいない。みんな机上の想像ではフレッシュだ。

はたして例年よりフレッシュなはずの古馬を相手にダイヤモンドの加速は通用するのか? 口笛を吹きながら、オルフェーヴルみたいに、ゴールドシップみたいに3角から駆け上がっていけるのだろうか?

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キタサンブラックはスタートから加速していくか?
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1枠1番に入ったことよりも、マルターズアポジーが逃げそうなことが武豊にはありがたいのではないか?

キタサンブラックが今年に入って負けたレースは2つ。
武豊がテン乗りだった大阪杯2着とハイペースで逃げた宝塚記念3着。

大阪杯 36.8で逃げて2着
アンビシャスにマークされて最後の最後に交わされた。でもテン乗りでキタサンブラックを確かめたともいえる。

天皇賞春 37.5で逃げて1着

宝塚記念 34.7で逃げて3着
ハイペースで逃げて、マリアライト、ドゥラメンテにタイム差なしの3着はむしろ自信を持った3着ではなかったか。それでも前半で加速しすぎると最後に少しだけ甘くなるのもわかったかもしれない。

京都大賞典 36.5で2番手を追走し、1着
番手競馬を試せて、さらに自信を持ったのではないか?

ジャパンカップ 37.2で逃げて1着
他に行く馬がいれば2番手でもよかったのではないか?

37秒台で逃げられれば、なんの問題もないけど、なにかに絡まれてペースが上がるくらいなら2番手を追走すればいい。そこへ35秒から36秒台で逃げてきたマルターズアポジーがいる。そうなると前半から加速先行する必要がなくなる。

ふつうにスタートさえできれば、逃げるにしろ、2番手を追走するにせよ、キタサンブラックのペースで走れそう。 
つまり、それは有馬記念も加速先行しないで、マイペース先行できてしまうということだ。

あとは大阪杯のアンビシャスのような競馬で闘いに挑む馬がいるかどうか? ジャパンカップで、ムーアはそれを狙っていたふしがあった。
「ワンアンドオンリーの位置(2番手)が欲しかったけれど取れなかった」

枠的にそれをやってきそうなのは、ゴールドアクターだし、デムーロだってやってくる可能性はある。

ただその作戦が上手くいったとしても、馬券圏内確保という意味ではキタサンブラックは安定しているように思う。なかなか崩れまい。

というわけで、サトノダイヤモンドの加速装置はフレッシュ古馬相手では、未知な部分があるのに対して、キタサンブラックは加速先行してしまったとしても馬券圏内では安定しているという結論になった。なってしまった。

だからこうなる。
馬券圏内ならキタサンブラック。1着か4着でサトノダイヤモンド。まっとうだ!

今年はJC上位組がフレッシュなはずだから、ゴールドアクター・サウンズオブアース・シュヴァルグランで包めばいい。これまたまっとうだ!

1・2・3・4・5人気!
ワオ! まっとうにもほどがある!

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有馬記念注目馬
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デニムアンドルビー
ミッキークイーン

デニムとミッキーは、今回は4角10番手以後にいそうだから。

キモはサトノダイヤモンドの加速。
この馬が、いつものように3角〜4角にかけて加速していったら、それより前にいるであろう上位人気馬たちも動かざるをえないのではないか?

3億のかかったレースだ。そのためにみんな秋2戦で臨んでいる。
キタサンブラック打倒で臨んでいるはずだから気持ちは前向き、激突感満載。フレッシュであるがゆえに動きやすい。

ダイヤモンドの加速装置が、上位人気馬たちの加速装置のスイッチも入れる。
そんな想定。

ベストポジショニストの池江師のルメールへの指示は今回も道中8番手〜10番手とみた! そこから加速して、足りれば1着。足りたら後方の馬も連れて来る。連れて来られる候補がデニム&ミッキー!
足りなかったらキタサンブラックとJC上位組の決着。

馬券的見返りは、後方組のほうがありそう。だからそちらに期待しようかと思っている。
奇しくも牝馬2頭になってしまった。ならばマリアライトも入れちゃえ!とも思ったけど、予想では6人気のようだからやめた。大外16番に入って、人気が下がるようなら考えてみたい。

キタサンブラックの先行力にサトノダイヤモンドの加速装置は通用するのか? その対決の間隙を突くのはJC上位組なのか? そのあたりに注目しつつも、馬券はちょっとしたゆらぎに期待してみる。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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