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混戦の渦(え?今年って混戦なの?)

  • 2017年05月04日(木) 12時00分
混戦と唄われるレースを涼しい顔をしてカンタンに仕留める。ひとつの理想だ。

今年のNHKマイルは、なんだか混戦に見える。こういうレースをカンタンに仕留めてこそ………
って「混戦に見える」と書いている時点でアウトだな。

「え? 今年って混戦なの?(ぜんぜんそう思わなかった)」

これで半分正解だろう。で、ちゃんと当てて全問正解だ。それでハズしたら、それはそれで競馬の見えてないヤツ呼ばわりされかねない。「今年って混戦なの?」って発言するのにも覚悟がいるわけだ。

混戦に見えると書いてしまった以上、もう後戻りできない。混戦の渦の中で目を回すしかない。こういう場合は、POG指名馬がいるととても楽だ。ハズれても自分の中では整理がつくからだ。しかし今年注目していた馬はそこにはいない。皆無だ。

皐月賞をPOG指名馬だからという理由で、アルアインやペルシアンナイトやダンビュライトで馬券を取った人を何人か知っている。そういえば、レジェンド山本昌さんはアルアインの一口オーナーで馬券も仕留めたと新聞やサイトでニュースになっていた。

「応援馬券」とのコメントがあったけれど、POGとは違って、一口とはいえ身銭を切ってオーナーになるのだから、なにかしらの確信があっての指名だろう。競馬王編集部員の話では、山本昌さんは本業の野球にしろ、いくつかお持ちの趣味にしろ、やるからには研究に研究を重ね、頂点を目指す人らしい。だからアルアインも間違いなく偶然の出資ではないはず。

競馬王編集部にも山本昌さんの出資馬だからという理由で、アルアインで儲けていた部員がいた! いいなぁ〜自分もあやかりたい! 一口オーナーは無理としても、POGではあやかれるはず……なんて思いつつ、競馬王のPOG本の袋とじページを開こうとしたら、「山本昌、去年はアルアインを推奨!」のキャッチが! ワオ! ちゃんと推奨していたんだ! では今年はどの馬を推奨しているのかな? 今年は去年以上に精力的にノーザンFや社台Fを回ってる模様が掲載されているから……おっと、POGの取材中にその場で出資を決めた馬を推奨している!(そのことを包み隠さず記載していてくれてるところがさすがだ!)

その競馬王のPOGの公開ドラフトが5月21日の夜「新宿ロフトプラスワン」で開催されるようだ。出演者は競馬王でお馴染みの面々だけど(井内さんも登場!)、山本昌さんの名前はない。でも「シークレットゲスト!?」の文字が大きく書かれている。ムムム!! もしかして、もしかして、もしかするか!? シークレットゲストはわからないけれど、シークレット情報が飛び交うのは間違いない。

うむ、今年こそは、来年のクラシックに(できれば混戦のレースに)立っている逸材を探したいな。でも今年はいないので、改めて、混戦の渦に身を投じてみる。

とりゃ!

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Mデムーロとルメールの渦
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Mデムーロとルメールがいっしょに重賞に騎乗していると、どちらかは来るような気がしている。

困ったら、Mデムーロかルメール。これでいいんじゃないか?

気のせいかもしれないので、通年で1年騎乗した去年の重賞を漁ってみた。

2016年は47回いっしょに騎乗していた。
どちらか、もしくはいっしょに馬券圏内に入った回数は36回。
.765
人気馬に騎乗する機会が多いとはいえ、なかなかの数字だ。

では、どちらを選べばいいのか?

この二人の差し馬をチェックすると、
Mデムーロ  25回先着
ルメール  22回先着
ほぼほぼ互角だ。

では、人気ではどうか?
人気のある方 33回先着
人気のない方 14回先着

人気のある方が.702も先着している。

では、今年はどうか?

2017年(4月30日まで)は15回いっしょに騎乗している。
どちらか、もしくはいっしょに馬券圏内に入った回数は12回。
.800
おっと、去年以上だ。

二人の差し馬
Mデムーロ 9回先着
ルメール  6回先着
ちょっとMデムーロの方が多い。

人気のある方 12回先着
人気のない方  3回先着

人気のある方が.800先着している。これまた去年以上だ。

よし、わかった!
Mデムーロとルメール、どちらを買うか迷ったときは人気のある方を素直に選べばいいんだ。

NHKマイルで二人が騎乗する馬は、
カラクレナイ  Mデムーロ
モンドキャンノ ルメール

では、人気はどうか?

カラクレナイ  予想1人気
モンドキャンノ 予想2人気

ワオ! 予想とはいえ1・2人気。
このレベルになると、もはや人気云々ではない。実際、二人ともに1〜3人気以内のときは人気の差し馬は五分五分というデータもある。

どちらも、前走は別の騎手で、結果を残したMデムーロとルメールに戻した形だから、どちらも信頼度は上がっているはず。ならば、この二人の馬の優越を決めるより、別の馬を探して、この2頭に流したほうがいい。この2頭でワンツーすることも十分考えられるけど、1、2人気なら来られてもあきらめもつく。そもそも混戦前提なのだから、1、2人気決着は考えたくない。

実オッズでも1、2人気になるかわからないが、3人気以内にいたら、2頭ともにナイガシロにしない。これでいいだろう。うむ、当たり前だ。実に当たり前だ。

つまり、当たり前だけど、困ったら、Mデムーロ、ルメールの渦に飛び込むことはありってことだ。

とりゃ!

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展開の渦
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混戦レースは展開で解けてしまうこともある。
逃げ馬はいるかな?
人気馬の脚質は先行かな? 差しかな?

1人気が先行のときは、後方の馬に、1人気が差しの場合は前方の馬に答えがあるときが多い。実際、1人気が逃げで1着したときは、後方の馬が2着、3着するときが多い。1人気を追いかけた馬がつぶれて、後方にいた馬が間に合ってしまうパターンだ。去年も3年前も5年前も1人気で逃げた馬が1着して、差しの馬が穴をあけた。

今年の1人気は、カラクレナイでもモンドキャンノでも後方系だ。Mデムーロもルメールも突如の先行ができる騎手だけど、乗り替りで騎乗する以上は、成功体験と同じ騎乗を依頼されるのが通例だろう。だから今回は後方競馬だと見立てている。

ならば前方に答えがあると考えていい。

で、逃げそうな馬や先行しそうな馬の戦歴や騎手をじ〜〜っとみる。

逃げたくはないけど、2、3番手ならアリな馬が何頭かいる。

エトルディーニュ  柴山
タイセイスターリー 北村宏(抽選)
トラスト 柴田大
ボンセルヴィーソ  松山

タイセイスターリーが抽選に通れば、矢作厩舎の3頭出しになる。そうなれば、タイセイスターリーが厩舎作戦で逃げる可能性はある。
タイセイスターリーがこぼれても、押し出されて逃げる馬やここぞとばかりに果敢に逃げる馬が現れる可能性もある。だとしても、このメンツならば、4、5番手につけて、シメシメと走るアエロリットの姿が思い浮かんでしまう。

前走の桜花賞では差していたけど、鞍上が典さんならばそこは自由自在のはず。もしチャンスホースだと思っているのならば、NHKマイルでは、レッドスパーダ(2着)やフラムドグロワール(3着)やクラリティスカイ(1着)のときのように4、5番手につけるのではないか。

で、シメシメと追走できれば、うむ、勝ち負けだ!
前半を35秒くらいで走って、上がりを2位で走れれば、クラリティスカイと同じように1着だ。

「ペースがもっと流れてくれれば…」。上がり1位を駆使しても届かない後方の人気馬たちのコメントが想像できる。

アエロリットは全5走中3回上がり2位で走っている。クイーンCも上がり2位だった。上がり2位は得意だ。

人気はどうかな?
予想4人気。
おっと、これまた人気馬だ。

混戦の渦のはずなのにまたしても人気馬に目が行ってしまった!
でも、
典さんが先行して、抜け出して、Mデムーロかルメールが差して、2着か3着か4着するシーンがどうしても浮かんでしまう。

駄目だ、駄目だ! もっと渦で目を回さないと!

とりゃ!

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NHKマイル・注目の渦
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プラチナヴォイス 予想11人気
リエノテソーロ  予想16人気

予想1・2・4人気に注目してしまった以上、予想10人気以下の馬で目を回すしかない。

幸いなことにNHKマイルは10人気以下の馬がよく絡む。10年で7年、10頭の馬が絡んでいる。っていうか、ヒモは10人気以下全部でもいいくらいだ。でも、それだと目を回しすぎて、吐いちゃうかもしれないので、ほどほどにしてみた。

プラチナヴォイスは、ここんところずっと注目している。スプリングSでは3着してくれたけど、皐月賞は10着に負けてしまった。でも、スプリングS3着、皐月賞0.5秒差は去年のロードクエストよりマシだ(スプリングS3着、皐月賞1.2秒差)。クラリティスカイも皐月賞0.7秒差から1着した。

スプリングS3着繋がりでいえば、マイネルホウオウはスプリングS3着、ニュージーランドT0.5秒差で、NHKマイルを1着している。ローテは少し違うけど頼もしい。

直線に向くと、内ラチに突進するクセがあって、ここ数戦はずっと最後の直線をまともに走れていないし、皐月賞は距離が長かったかもしれない。ただそれはすべて右回りで、左回りならちゃんと走れる可能性がある。これで人気があったら買うのはリスキーだけど、予想11人気なら目を瞑りたく、いや目を回したくなる。

リエノテソーロは今回のメンバーで一番ミステリアスだ。芝の新馬、すずらん賞を連勝して、地方のダート重賞を連勝。前走の4着は、休み明けでハイペースの渦に巻き込まれたものだとしたら、まだわからない。すずらん賞ではタイムトリップを一蹴しており、芝でもそれなりの走りができる馬だ。これで人気があったら買うのはリスキーだけど、予想16人気ならミステリアスの渦に飛び込みたくなる。

今回は展開の渦を中心に、アエロリットの先行からの抜け出しを基軸にしてみたので、ヒモも中団よりちょいと前にいそうな2頭にしてみた。

問題は典さんが先行するかどうかだけど、先週の天皇賞春ではゴールドアクターで出遅れて見せ場なく7着に敗れた。今回の人気メンバーを見たら、Mデムーロ、ルメールだけでなく、予想3人気の田辺のアウトライアーズだって、後方にいそうだ。ならば今週は全力でスタートを決めてくれるのではないか?

とにかく「アエロリット」と「カラクレナイかモンドキャンノ」の渦の中に人気のない馬が1頭飛び込んでくれたら、それでいい。その筆頭がプラチナヴォイスやリエノテソーロだったらいいな。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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