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枠と、もしかしてと、どうぞどうぞ

  • 2017年05月11日(木) 12時00分
先週は、混戦の渦に身を投じることをテーマにしたけど、投じて正解だった。
人気サイドで重視した馬と穴サイドで期待した馬でワンツーだなんて、目が眩むにもほどがある。こういう出来事は、たまにしかないから有効に使用せねば!うは。

にしても典さんの騎乗はすごかった。スタートして、ずっとポツンと大外併走。
先行なのに「ポツン」競馬。ポツンひとり旅。

縦スクロールで見られるパトロールビデオを見るとそれがよくわかる。宝塚記念、天皇賞春のゴールドシップで1着させたときと同じように外枠からコーナーに入るまで先行して、だけど内には入れない競馬の応用版だった。ここでも何度か書いてるけど、デットーリが凱旋門賞で、外枠に入ったときに先行馬でやるポツン大外戦法と同じだ。逃げでも追い込みでもなく、先行なのに孤独感のある競馬。自分は典さんのシメシメを想定していたけれど、その先を行っていた。外枠に入った時点で考えていたのかな? やっぱり典さんは妄察しがいがある。

今週のヴィクトリアマイルではここ数年の結果から、きっと「スプリント性能」にスポットが当てられると思い、時計も速いことが予想できたので、前倒しでスプリント性能のありそうな馬(リエノテソーロ)に静かに注目していたら、それも上手くいってしまった。スポットの当たらないうちに買えてよかった。実際、陣営は何度も「スプリントの体つきになっている」とアナウンスしていた。もちろんオッズ視点でも買いのゾーンにいた。それに関しては好評発売中の「オッズテクニカル」の第3章でお願いします。

今週も先週と同じ東京マイルG1。
1人気は差し馬のミッキークイーンで間違いないはず。
ならば、先週と同様に展開の渦に身を投じることから始めるべきか。

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展開の渦・アゲイン……
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ヴィクトリアマイルは、NHKマイル以上に逃げたい馬がいない(密かにいるのかもしれないけれど、過去歴からは見つけにくい)。こういうときは、横山の典さんの渦に巻き込まれるのが有効と先週書いたけれど、その典さんの騎乗予定馬もいない。

逃げたくはないけど、逃げてもおかしくない馬は、
ソルヴェイグ
スマートレイアー
クイーンズリング
クリノラホール
オートクレール
この5頭くらいか。

ただ川田に戻した形のソルヴェイグは逃がすために川田に戻したとは思えないし(逃げ経験はMデムーロの1回のみ)、武豊では逃げたことのないスマートレイアー(逃げたのは吉田隼とMデムーロで、それぞれ1回ずつ騎乗。どちらも1着)だって、逃げるとは言い切れない。小牧騎手時代に逃げていたクリノラホールも北村友騎手になってからは逃げたことはないし、オートクレールも先行はあっても逃げたことはない。クイーンズリングだって先行はあっても逃げるとは思えない。Mデムーロは、ルメールと違って逃げをほとんど打たない。特に重賞ではめったに……………? でもソルヴェイグでもスマートレイアーでもMデムーロは逃げたと、いまさっき書いたばかりだ。

一応念のため調査してみる(通年騎乗になった15年以後)。

Mデムーロ 重賞での逃げ(3角までに先頭の馬も含む)成績 2-0-0-2

16年 阪神牝馬S スマートレイアー 1-1-1 1着2人気(2回目の逃げ)
16年 皐月賞 リオンディーズ  2-2-1-1 5着(降着)2人気(初逃げ)
17年 東京新聞杯 ブラックスピネル 1-1-1-1 1着3人気(初逃げ)
17年 シルクロードS ソルヴェイグ 1-1-1-1 6着2人気(初逃げ)

スマートレイアーは前走の東京新聞杯を吉田隼で逃げ切っての連続逃げ切りで、リオンディーズはレース中被せられるのがイヤで途中から先頭にたたざるをえない不本意な逃げだったはずで、どちらもMデムーロ独自の逃げではない。

でもブラックスピネルの逃げは、一種の確信犯的な逃げにも思える。逃げる回数は少ないけれど、だからといって逃げないとも言い切れない。めったに逃げないから逃げたときの効果が上がる場合もある。しかも人気薄では逃げていない。1人気でも逃げていない。

ブラックスピネルが東京マイルの東京新聞杯だったことも気になる。
1人気はどうみても差しの、出したとしても中団までのミッキークイーンだ。ミッキーの位置を考えると、逃げは悪くない手に思える…………。

いやいや、それでも逃げはないだろう。先行するなら、理想は府中牝馬を勝ったときの3、4番手だろう。今年のMデムーロは逃げて4-1-2-3の成績だ。回数は少ないけれど、悪くない成績だ。おっとやばいやばい。変な渦に飛び込んだ気がする。

今年もヴィクトリアマイルでときどき起こる「誰が逃げる? 誰も逃げない? なら俺が逃げる、俺が逃げる、俺が逃げる…じゃあ俺が逃げる。どうぞどうぞ」のダチョウ逃げが起こるか?

武豊が最後に手を挙げたら、いい感じでどうぞどうぞが成立しそうだけど、さあ、どうだろう? って、ますますよくわからなくなってきた!ひぃ〜!

いずれにせよ、押し出されて逃げる馬には残り目はなく、狙って逃げる馬にだけ残り目はあるのではないか? どうぞどうぞに乗せられたと見せかけて、実は狙ってました。そんな逃げを打つ馬はいるかな?

ちなみにヴィクトリアマイルは前半が34秒台だと道中1,2番手の馬が好走しやすく、33秒台だと1,2番手の馬が崩れる傾向がある。2年前のミナレットは後続を引き離して逃げたけれどそれでも前半34.3で、先行馬が残れるペースだった。そういえば、ミナレットの逃げにも意志が感じられた。

これ以上逃げの渦に飛び込むと悪い意味で目が眩む。先週のこともあるから、みんな前のめりになる可能性もある。で、先週とは真逆の結末なんてことも十分考えられる。枠も関係するかもしれないし、とりあえず、展開の渦に身を投じるのは、今はやめておこう。

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ルージュバックは、枠だけを見ればいい!?
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(ルージュバック・ウオッチャー、ルージュバッカーの間では当たり前かもしれないけれど)、

ルージュバックは多頭数競馬では外枠にかぎる!

と、決めつけていいのではないか?

15頭立て以上を多頭数と定義して、ルージュバックの成績を振り返ると以下のようになる。

桜花賞 18頭立て 4枠8番 9着
オークス 17頭立て 7枠14番 2着
エリ女 18頭立て 7枠15番 4着
有馬記念 16頭立て 7枠13番 10着
中山牝馬 16頭立て 8枠15番 2着
ヴィクトリア 18頭立て 4枠7番 5着
エプソム 18頭立て 8枠18番 1着
天皇賞秋 15頭立て 5枠9番 7着
JC 17頭立て 2枠4番 9着
金鯱賞 16頭立て 1枠1番 8着

1枠〜6枠成績 0-0-0-5
7枠〜8枠成績 1-2-0-2

有馬記念は内回りと距離が長過ぎたと仮定すると、

7枠〜8枠成績は1-2-0-1

となる。圏外1回はエリ女の4着。3歳時の成績だし、好走と見立ててもいい。特筆は、フルゲートでは一番不利と言われる東京1800のエプソムCを18番枠から1着したことだ。

7、8枠のルージュバックという見立てで、改めて、去年のヴィクトリアマイルを見ると、むしろ頑張ったように思えてくる。

ヴィクトリア 18頭 4枠7番 5着

それにしても、古馬になってからは、G1ではことごとく内枠(1〜5枠)だ。だからまだわからない。1600という距離が短すぎるとも決めつけられない。

そんな視点で、水曜日に「netkeiba ニュース」にアップされた戸崎騎手と大竹調教師のインタビューを読むと「枠が重要だ!」という思いが行間に埋め込まれているように思えるから不思議だ。

実際は、金鯱賞の1枠1番のことしか触れてない。でも「金鯱賞は内枠の渦に巻き込まれたけれど、外枠だったら、勝ち負けできていた!」と言いたかったように思えるし、ヴィクトリアマイルでは「外枠が欲しい!ぜがひでも欲しい!」、そんな叫びを押し殺していたようにも読めてしまう。

ルージュバックが何枠に入るか、楽しみだ。
ルージュバックが7枠、8枠に入れば、展開とか、ペースとか、気にしなくていいと思い込めるから、楽チンだ。

問題は、まだ多頭数では未体験の6枠に入ったときだ。6枠を外と取るか、内と取るか。それこそ外にどんな馬が入るかで変わってこよう。6枠に入ったら、長考だ。

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ヴィクトリアマイル・注目馬
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7〜8枠のルージュバック(6枠で長考)

ルージュバックが1〜5枠だった場合・デンコウアンジュ

ルージュバックが1〜5枠だったら、ミッキークイーンかレッツゴードンキのどちらかを軸にして、基本静かにしていよう。
ミッキークイーンは単勝が1倍台だったら信頼して、2倍台だったら、レッツゴードンキを信頼してみる。

にしてもレッツゴードンキは今回も馬体重が増えるのかな? デビュー450キロで、前走は506キロで、デビュー以来の最高馬体重を更新した。デビュー450キロで、最終的には500キロまで増えたオグリキャップみたいだ。

でももういい加減、止まってもいいのではないか? 今回は、マイナス10キロ〜プラス4キロくらいだったら信頼して、10キロ以上増えてたら、慎重になろう。

で、デンコウアンジュを引っ掛ける。
デンコウアンジュの鞍上が蛯名なのがどうにもこうにも引っかかる。

蛯名は、2走前の阪神牝馬Sに騎乗しに行った。翌日の桜花賞には騎乗馬がいなかったから、ついでの騎乗には思えない。わざわざ騎乗しに行った(ように見える)。

しかし、前走の福島牝馬Sには騎乗しに行かなかった。なぜだろう? 休み明け2戦目で、状態もアップして、それゆえに4着したように思える。レース運びも強引な競馬だった。

ミドルペースのレースで、位置は12-9-2-2。

1着ウキヨノカゼ 12-12-11-11
2着フロンテアクイーン 8-9-9-7
3着クインズミラーグロ 14-14-13-11
4着デンコウアンジュ 12-9-2-2

クビ+クビ差で3着に敗れた武豊が「もうワンテンポ、追い出しを遅らせてもよかったかも」とコメントするようなレースだった。つまり、デンコウアンジュの仕掛けは明らかに早かったことになる。

ただ、馬が走りに前向きであることもわかった。もし、本気で3戦目でヴィクトリアマイルを狙っていたとしたら、前走もまだまだ調整中で、それゆえに蛯名も騎乗しに行かなかったともいえる。G2の阪神牝馬Sは体験を兼ねて騎乗し、G3の福島牝馬Sは秋山に任せ、そしてG1のここで再び騎乗するというのなら、「もしかしたら」の可能性も見いだせなくはない。

東京で、蛯名が空いているから依頼しただけ。それだけの可能性もなくはないけれど、自分は阪神牝馬Sで騎乗したことを重視したい系だ。だから気になってしょうがない。

東京1600実績(アルテミスS1着)、前向きさが垣間見えた前走、人気薄(予想11,12人気)なども加味すると、十分、引っ掛けられる。

というわけで、今年のヴィクトリアマイルは「ルージュバックの枠」と「どうぞどうぞ」と「レッツゴードンキの馬体重」と「デンコウアンジュのもしかして」を気にしてみたい。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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