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ひと回り馬体が成長し、バランスが良くなったスワーヴリチャード/金鯱賞

  • 2018年03月12日(月) 18時00分


◆大阪杯がミルコの「気分のいい日」であることを期待

 古馬の金鯱賞2000mは2分01秒6「63秒0-58秒6」の超のつくスロー。一方、桜花賞の伏兵の揃ったフィリーズレビュー1400mは、人気馬の競走中止(落馬)も関係した激しい流れで1分21秒5「33秒7-(11秒7)-36秒1」。

 ともに次のGIと結びつけるのは難しいうえ、3歳牝馬のFR組は「1分21秒5」で差し切ったリバティハイツのほか、1分21秒6のアンコールプリュ、同じく1分21秒6のデルニエオールの3頭が優先出走権を得た。と同時に、獲得賞金額からすると「4着アンヴァル(1分21秒6)、10着モルトアレグロ(1分22秒1)、15着コーディエライト(1分22秒5)、さらには落馬したアマルフィコースト」まで、計7頭がこのあとなにもなければ本番の桜花賞に駒を進めることが可能な状況にある。道中で大きな不利の生じた馬もいた。

 今回のタイムを重視するなら、上位4着まではほぼ横一線の伏兵(候補)としても不思議はないが、4頭もそろってチューリップ賞1〜3着馬(阪神JFでも同じ)や、アーモンドアイに接近した可能性は、実際にはかなり低い。フィリーズレビュー組の評価は、もう少し候補がはっきりしてからの本番直前としていいだろう。

 金鯱賞の4歳馬スワーヴリチャード(父ハーツクライ)は、ひと回り馬体が成長したと同時に、身体全体のバランスが良くなったように思える。

重賞レース回顧

金鯱賞を快勝したスワーヴリチャード(撮影:高橋正和)


 スローになるのはどの人馬も織り込み済みであり、M.デムーロのスワーヴリチャードは向こう正面に入って早めに2番手確保。そのわりに、超スロー(前後半の1000mの差4秒4)でリードしていたサトノノブレス(父ディープインパクト)を交わすのにモタついた印象はあったが、後半3ハロンは「11秒4-11秒2-11秒6」=34秒2の高速決着。切れ味勝負型というのではないスワーヴリチャードとすれば上々だろう。

 外に出したくないM.デムーロ騎手は、アルゼンチン共和国杯と同じように4コーナーでラチ沿いに入った。右回り、左回りに関係なく、カーブのフットワークがちょっとスムーズではない印象もあったが、これはJRAのなかでも新潟と同様の小回りであり(だから直線は長い)、他場に比べて中京コースのコーナーからの出口はカーブがきついからかもしれない。

 有馬記念の直線で内にもたれたのは強引なスパートで脚いろが鈍っただけで、「右回りだからではない(デムーロ騎手)」という見解はその通りだと思える。このあと大阪杯を出発とする春のビッグレースはみんな右回りだが、もし右回りが死角とされるなら、スワーヴリチャードには過度な人気になることのない利が生じる。予定する大阪杯の日が、ミルコの気の乗らない日ではなく、まとめ勝ちできる「朝から気分のいい日」であることを期待したい。

 サトノノブレスは、人気の圏外に置かれたが、大不振の真っただ中で11着だった昨年の金鯱賞を別にすると、これで金鯱賞【0-2-2-0】である。スローを読み果敢にハナを切った、テン乗り幸騎手のファインプレーだった。早め2番手のM.デムーロ騎手も別にサトノノブレスをマークしていたわけではないから、実際には単騎の超スロー。粘り込まれて仕方がない下地があったということか。

 サトノダイヤモンド(父ディープインパクト)は「のどを気にするところがあったのかもしれない(池江調教師)」という凱旋門賞15着のあと、5カ月ぶりの実戦。精神的な面を合わせ、なんとしても手ごたえをつかみ、復調を確かなものにしたい一戦だから、慎重に大事に乗ったのであり、ここで負担をかけては元も子もなくなってしまうと考えたC.ルメール騎手の立場になれば、道中であまり動かなかったのは十分に理解できる。

 金鯱賞はビッグレースの前哨戦として再三時期の変更を求められてきたレースであり、現在はGI大阪杯へのステップを図ろうとする馬の一戦。「もっと早く動いてくれれば…」そんなファンも多かったが、サトノダイヤモンドの抱えるテーマを考えれば、これで今後のビッグレースへの展望が再び大きく広がったのである。

 逆にヤマカツエース(父キングカメハメハ)は、こういうレースこそが狙いだが、今回は有馬記念以来であり、522キロは自己最高の馬体重をだいぶ上回っていた。動けなかったのはその影響もあったろう。

 この超スローペース(前半1000m通過63秒0)で、人気のスワーヴリチャードが2番手で先行しているのに、それを見ながら積極的にスパートできなかった他の伏兵はちょっと情けなかったが、ムリしたくないサトノダイヤモンド以外、スローペースだからこそ最後に各馬の能力差が明確に出てしまった、と振り返ることができる。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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