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【阪神JF】名伯楽に送られ出世街道を躍進、次なるマトは桜花賞

  • 2021年12月13日(月) 18時00分

この勝利で未来は大きく広がったはず


重賞レース回顧

サークルオブライフが世代最初のGIホースになった(C)netkeiba.com


 この世代初のGI阪神ジュベナイルFを制したのは接戦を切り抜けた人気の1頭サークルオブライフ(父エピファネイア)だった。

 サークルオブライフは、10月の東京の出世レース「アルテミスS1600m」1着に続く重賞連覇で【3-0-1-0】となり、この世代の牝馬をリードすることになった。

 アルテミスSが創設されたのは2012年から。「アルテミスS→阪神JF」をともに連対(1-2着)したのは、「2014年レッツゴードンキ、2015年メジャーエンブレム、2016年リスグラシュー、2017年ラッキーライラック、2020年ソダシ」。史上5頭。みんな3歳以降に桜花賞などのGIを勝っている。各馬の評価や成長度はまだこれから大きく変化するが、これでサークルオブライフの未来が大きく広がったことは間違いない。

 名牝を送り続ける国枝調教師の管理馬らしく、ここまでムリのないローテーションで初遠征ながらまったく馬体減もなし。マトを桜花賞に絞ることになった。

 勝利騎手インタビューで、嬉しいM.デムーロ騎手はサークルオブライフを誉める言葉として「ジリジリ伸びる…」を多用していたが、あれはわたしたちが用いるジリ脚というニュアンスではなく、決してバテないで伸びる素晴らしい馬、という意味である。

 ビリーヴなどと同じファミリーで、輸入牝馬の3代母スターマイライフ(父Storm Cat)は、米の歴史的名牝Lady's Secretレディーズシークレット(父Secretariat。マルシュロレーヌが制したBCディスタフなどG1・11勝)の半妹。エピファネイア産駒なので当然のようにサンデーサイレンスの「4×3」。マイラーにとどまらないかもしれない。

 ペースは前後半「46秒4-47秒4」=1分33秒8。一見きつい流れのように映るが、先行2頭が飛ばしたもので、3番手から3着したウォーターナビレラ(父シルバーステート)は「59秒5-34秒5」=1分34秒0。レース全体はどの馬も能力を発揮しやすい平均ペースだった。その結果、上位8着までを一ケタ人気の馬だけが占めた。

 巧みに流れに乗ったウォーターナビレラは、最後のもうひと押しが利かなかったが、0秒2差の3着なら現時点の能力は出し切っている。春への手応えはあった。

 1分33秒9で半馬身差2着のラブリイユアアイズ(父ロゴタイプ)は、初の関西遠征とあってマイナス10キロの428キロ。ちょっと心配されたが、気配は良かった。GIで通用したと同時に賞金加算に成功したので、春はムリのない日程を組める。関東馬の1着、2着独占は2015年メジャーエンブレムの年以来だった。

 人気急上昇の1番人気ナミュール(父ハービンジャー)は地元戦なのに10キロ減っていたが、ビシッと仕上げたもので細くはない。敗因はスタートで3-4馬身の出遅れ。外から追い上げるわけにもいかず、勝負どころからはインを狙うよりなかった。とくに詰まることなく勝ち馬から0秒2差の4着に突っ込んでいる。明らかに馬場の内よりはタフなコンディションなのに、4コーナーで最後方から上がり最速の33秒6で差を詰め、たしかな能力は示した。ただ、条件賞金は900万のまま。ひと息いれる必要があるので、春のローテーションの組み方は簡単ではなくなった。

 2番人気のステルナティーア(父ロードカナロア)は、素早く好位につけたが、そこで挟まれ後退した不利が痛かった。10キロ減の馬体は細くなかったが、リズムを崩したうえに終始もまれる展開はきびしい。この路線は一度大きく負けると苦しいが、7着とはいえ差は0秒6だけ。巻き返してくれるだろう。

 8着のスタティスティクス(父ハーツクライ)は、最終4コーナーではナミュールと並んで最後方。一番外に回って0秒6差まで伸びたフットワークは光った。上がりは3位の34秒0。こちらは桜花賞というより、オークス向きと思える。成長力を発揮したい。

 アルテミスSをサークルオブライフのクビ差2着だったベルクレスタ(父ドゥラメンテ)は、あまり速くない流れを読んで早めのスパート。一旦は先頭に並びかける場面もあったが、最後に苦しくなって6着。未勝利戦は逃げ切り、前回は先行策。今回の内容で差す形を身につけたのは今後に大きなプラスとなるはずだ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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