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【きさらぎ賞】昨年より中身のある時計で、クラシック候補選抜に合格

  • 2022年02月07日(月) 18時00分

今年の牡馬陣は年が明けて一段と混戦模様


重賞レース回顧

接戦を制したマテンロウレオ(C)netkeiba.com


 新星の台頭が期待された中京2000mの「きさらぎ賞」を勝ったのはマテンロウレオ(父ハーツクライ)だった。「寺田オーナー、昆貢調教師、横山典弘騎手」のトリオによる今年の3歳重賞勝ちは、1月の「シンザン記念」を制したマテンロウオリオン(父ダイワメジャー)とまったく同じだった。

 関西に拠点を移している横山典弘騎手(53)は、関西馬のキングオブコージ(安田翔伍厩舎) のAJCC、マテンロウオリオン、マテンロウレオ(ともに昆貢厩舎)で、早くも今年3重賞制覇となった。

 牡馬の春のクラシック路線は、ホープフルSのキラーアビリティ、東京スポーツ杯2歳Sのイクイノックスが2歳戦からのぶっつけになる可能性が高い。13日には、最近10年間で、5頭もが直行して皐月賞馬となっている「共同通信杯」が行われる。そこで候補の勢力図が見えてきそうだが、マテンロウレオはどんな位置になるのだろう(マテンロウオリオンはマイル路線になる可能性が高い)。

 同じ中京2000mの昨年は、良馬場で「61秒2-59秒8」=2分01秒0(上がり35秒6) の決着。1着ラーゴム、2着ヨーホーレイク(今年の2着馬ダンテスヴューの半兄)の一騎討ち。ラーゴムは春の2冠「13、12着」。ヨーホーレイクは「5、7」着だった。

 今年は雪の影響が残る稍重で、「60秒6-59秒9」=2分00秒5(上がり35秒9)。微妙な馬場差も考慮すると、ゴール前で昨年と同じようなマッチレースになったマテンロウレオとダンテスヴューのレベルは、昨年より一枚上だったと思える。近年は2016年の春2冠「3着、2着」のサトノダイヤモンド(きさらぎ賞1着)が出走していたくらいで、主要路線ともいえない位置になっていた「きさらぎ賞」組だが、昨年より中身のある時計であり、クラシック候補選抜に合格ラインだったとしたい。

 マテンロウレオは、現8歳マイスタイルといとこの関係で、父は同じハーツクライ。逃げ=先行型のマイスタイルは、やっぱり「寺田オーナー、昆調教師、横山典弘騎手」のトリオで、3歳春は弥生賞2着、皐月賞16着。だが、14番人気の日本ダービーではレイデオロから0秒3差の4着に粘っている。

 ハーツクライ産駒のクラシック候補らしい迫力はもう一歩だが、スケールというよりスラッとみせる身体なので、完成度は高い。ホープフルSは6着(0秒5差)だが、2000mの時計を3戦連続、確実に短縮したことになった。日本ダービーの距離向きかもしれない。

 2着のダンテスヴュー(父キングカメハメハ)は、11月の東京スポーツ杯2歳Sの内容から、タイプとすると昨年のこのレース2着の半兄ヨーホーレイクというより、ボレアス、カミノタサハラ、ベルキャニオンに似たタイプかと思えたが、やはりちょっと切れ味不足だった。ジリなどということはないが、鋭さ一歩が死角としてつきまとう危険がある。

 しかし、20年ストーンリッジ、21年ヨーホーレイクに続いて3兄弟そろって「きさらぎ賞」2着。順に「クビ差、クビ差、ハナ差」。上のカミノタサハラ、ベルキャニオン、ヨーホーレイク、牝馬ラベンダーヴァレイが春のクラシックに出走しているが、そこそこの成績止まりが気になる。ダンテスヴューは詰めの甘さを解消できるだろうか。

 メイショウゲキリン(父キズナ)の作ったペースは遅くはなく、かといって速くもなく、この時期の3歳馬がもっとも能力を発揮しやすい平均ペースと思える。となると、才能、スケールが問われたともいえる。

 すると、5戦1勝のメイショウゲキリンを交わせずに4着のアスクワイルドモア(父キズナ)は、重賞2着はあってもちょっと伸び悩み。父のように春後半に一気に開花するか心配が生じた。

 ストロングウィル(父シルバーステート)は好調教、好気配が目立ったが、この流れに乗って差のある5着は、2戦目ならともかく、3戦目だけに高い評価はできない。「最終週の芝に脚をとられる感じがあった(松山騎手)」というあたり、ちょっと非力だった。

 エアアネモイ(父Point of Entryポイントオブエントリー)は全兄エアサージュよりスケールがあるのではないかと注目したが、ちょっとがっかり。「のどの疾患が出てしまった」という。休んで立て直すしかない。

 5番人気のフォースクエア(父エピファネイア)は、気難しさを出して馬群を離れたショウナンマグマ(父ザファクター)に、1コーナーで接触されリズムが崩れる不利。

 今年の牡馬陣は年が明けて一段と混戦模様とされるが、もし共同通信杯が終了しても同じような様相だと、遅れて3月くらいに評価を上げるレースをした馬が、一気に主役に躍り出る年かもしれない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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