【天皇賞・秋】3歳馬トリオが古馬の壁へ挑む 今後の秋盾の行方は如何に
新しい時代の到来を実感させられた昨年
坂を駆け上がってようやくムチが入り、エフフォーリアのエンジンが点火。意表を突く先行策を取ったグランアレグリアを一瞬にして追い抜き、追いすがるコントレイルを一馬身振り切って頂点に立ち、3歳馬19年ぶりに快挙を成し遂げた昨年の秋の天皇賞は、後世に語り継がれる名勝負だった。
無敗の三冠馬でその後の2度の敗戦から復権をかけたコントレイル、1200、1600米のGI5勝の牝馬グランアレグリアの3階級制覇の夢を砕いたのが、4戦全勝で皐月賞を勝ちダービーがハナ差の2着だった3歳馬エフフォーリアだっただけに、新しい時代の到来を実感させられたシーンだった。
あれから一年、今年も春の二冠で存在を示していた3歳馬が出走してきた。菊花賞ではなく、古馬相手の2000米に目標を立てた馬が3頭もいたことは、今後に与える影響が、結果次第で大きくなる。
3歳馬が秋の天皇賞に出られるようになったのが1987年。これまでの35年で36頭の3歳馬が出走し、1着3回、2着5回。この10年は、12頭が登場して1、2着が1回ずつだから、古馬の壁は厚かった。
初めて天皇賞馬になった3歳馬は、バブルガムフェローで1996年のことだった。最優秀2歳牡馬で3歳の春はスプリングSを勝っていざクラシックという直前に右後脚を骨折、秋の目標を天皇賞に切り換え、毎日王冠で手応えをつかんで桧舞台に登場していた。
2002年のシンボリクリスエス、そして昨年のエフフォーリアがこれに続いたのだが、この2頭はいずれも春のダービーは2着だったという共通点がある。
このダービー2着馬のこの10年の天皇賞での出走歴を見ると、他に2012年のフェノーメノ、2014年のイスラボニータがおり、どちらも秋はセントライト記念を勝って天皇賞に進み、2着と3着に好走していた。
春のクラシックの実績は、やはり重く受け止めるべきだろう。それと、若馬の成長力、背負う斤量56キロも天皇賞出走の後押しになっていた。
今年は、皐月賞、ダービーとも2着だったイクイノックスがひと夏越して背が伸び、パワーアップしているが、距離を考えると皐月賞馬ジオグリフにもチャンスがありそうだ。ダービーは枠が外で、はじかれたりして位置取りが悪すぎた。
もう一頭の3歳馬ダノンベルーガは、春二冠は4着と4着。体調を見てここへ直行となっていた。共同通信杯の勝ちっぷりは強烈だった。これら3歳馬トリオは、今後の天皇賞の行方を左右する存在だ。
昨年のダービー馬シャフリヤールは、今年は海外でGIを勝ち、その時手綱を取ったC.デムーロが来日して乗る。東京では安定して走るので頼り甲斐があるコンビと言える。
同じ4歳世代のジャックドールは、札幌記念でソダシを破った実績があり、落鉄で5着に終った大阪杯のばん回を期待してみたい。
「信頼の 王者の走り 目の当たり」