【マイルCS予想】伸び悩みの期間を経て本物になるハーツクライ産駒
強力な成長力を受け継いだ可能性に期待
2年間も物足りない善戦止まりだった5歳サリオス(父ハーツクライ)が、この秋の毎日王冠を2020年に続いて制覇した。東京1800mをコースレコードの1分44秒1。包まれて抜け出せないように見えたが、ゴール寸前、不振時とは一変の爆発力だった。
種牡馬ハーツクライの代表産駒は、5歳後半になってGIを3連勝したリスグラシュー。4歳秋から5歳にかけて4連勝(うちGI3勝)したジャスタウェイ。5歳スワーヴリチャードと、5歳シュヴァルグランは、頂点のジャパンCを制した。物足りない伸び悩みの期間を経て、競走生活の後半に本物になったケースが多い。
サリオスの一変の快走もたまたまではないかもしれない。この中間も迫力ある鋭い動きを示している。ハーツクライ(20歳の2021年で種牡馬引退)の伝えた強力な成長力を受け継いだ可能性がある。リスグラシュー、ジャスタウェイなどと同じように、5歳時の覚醒が生じたのではないか、と期待したい。
サリオスと、強敵シュネルマイスター(父Kingmanキングマン)は同じドイツを代表する名門シュバルツゴルト(1937)系一族。2頭の祖母は1歳違いの姉妹になる。
タフな底力を備えるドイツ牝系は、近年、とくに異系統を探す必要の生じた世界に広がった。欧州ではノーザンダンサー系種牡馬、日本ではサンデーサイレンス系種牡馬のスピード能力を味方につけて発展している。輸入されたケンタッキーダービー馬アニマルキングダム(来年の新種牡馬)も、その母方にはドイツ色が濃い。
中〜長距離向きではないかと思われても、総合力の必要なレベルの高いマイルを歓迎する馬が多いのが特徴のひとつ。サリオスも、シュネルマイスターもこのパターン。
サリオスは2000m以上では未勝利。1800m以下で全5勝。今回のR.ムーア騎手とのコンビで、朝日杯FSを完勝している。緩い流れなら早めにスパートする。天候の崩れは心配だが、少し渋るくらいなら気にしないはずだ。4分の3同血の姉サラキア(父ディープインパクト)は5歳秋に重馬場の府中牝馬Sを3馬身差で快勝している。