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【スプリングS】着差以上の完勝を見せたベラジオオペラ

  • 2023年03月20日(月) 18時00分

遅れて台頭の新星が出現


重賞レース回顧

スプリングSを勝利したベラジオオペラ(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 今年の牡馬クラシック路線は、当初のランキング上位のドゥラエレーデ、ドルチェモアなどが別路線予定なので、明確な勢力図が描けなかったが、このスプリングSでは遅れて台頭の新星が出現した。

 例年通り、共同通信杯組、弥生賞組などが一応のトップグループを形成するが、朝日杯FS、ホープフルS、きさらぎ賞、京成杯をステップにするグループもほとんど差はなく、これにスプリングSの上位馬も加わってきた。戦歴2戦2勝だけで挑戦したベラジオオペラ(父ロードカナロア)、ホウオウビスケッツ(父マインドユアビスケッツ)が、渋った馬場が影響したとはいえ1番人気のセブンマジシャン(不利があった京成杯3着)、4番人気のオールパルフェ(朝日杯FSを0秒5差)を完封してみせたからだ。

 重馬場のため、1分48秒9「前半1000m59秒4-上がり49秒5-37秒2」の勝ち時計は目立たなかったが、ここまでの2戦と異なり、離れた中団に近い位置でレースを進めたベラジオオペラは、4コーナーから外に回り上がり最速タイの「35秒7」。逃げて0秒4差4着に粘ったグラニット(父ダノンバラード)の上がり37秒6を、「1秒9」も上回る末脚だった。他の上位陣はみんな「36-37秒台」だけに着差以上の完勝として光った。

 トップサイアーのロードカナロア産駒で、輸入牝馬アイドリームアドリームから発展するファミリー出身。一族には二冠馬エアシャカール(皐月賞、菊花賞)を筆頭に、エアデジャヴー、エアメサイア、エアスピネル、エアソミュール…などビッグレースの勝ち馬が数多く並んでいる。初重賞制覇となった上村調教師は「心配なのは本番で横山武史騎手(京成杯のソールオリエンスに騎乗予定)が乗れないことです」と鞍上探しを口にしたが、「重馬場でこれですから、良馬場ならまた違った(もっと切れた)と思います」と、改めてたしかな能力確認を喜んだ。

 3コーナー過ぎから手が動き、4コーナーでは怪しい脚さばきになりかけたホウオウビスケッツが、最後まで失速することなく0秒2差の2着。馬場を考え最初から強気に攻める騎乗だったので、勝ち馬と印象は大きく違ったが、こちらも今回が3走目。この粘り腰があれば、少なくとも中距離まではスタミナ不安はないだろう。

 ただ、陣営は「皐月賞だと厳しいレースをした後の中3週。賞金加算ができたので、日本ダービー直行も含め、これから考えたい」と、日程には慎重だった。

 3着メタルスピード(父シルバーステート)の鋭い伸び脚も光った。こちらは今回が7戦目。豊富なキャリアを活かしたのは確かだが、前日の「若葉S(稍重)」を勝ったショウナンバシット。「ファルコンS(重)」を2着したカルロヴェローチェなど、2世代目のシルバーステート産駒は軽快なスピード型だけでなく、たくましい産駒が目立ってきた。タフなコンディションも平気なメタルスピードは皐月賞に挑戦する。

 今年の牡馬クラシック路線は、最終便になる25日の「毎日杯」にはホープフルS小差3着のキングズレイン(父ルーラーシップ)の登録もあるので、候補乱立の難しい皐月賞からスタートすることになりそうだ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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