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体はもちろん気持ちの維持も…現役引退の松田大作騎手について「よう一緒に汗取りをやってた」

  • 2023年12月19日(火) 18時01分
太論

▲まずは先週の振り返りから(撮影:桂伸也)


土曜日の中京3Rに出走したグレアミラージュは、16頭立ての14番人気という低評価を覆し、3着馬とハナ差の4着に入る大健闘!「3着ほしかったなぁ」と悔しさを滲ませる小牧騎手ですが、改めて可能性を感じたようです。

そのほか、今週の『太論』では、ヤルキゲンキフトシのレース回顧とユーザー質問を2つピックアップ。質問に答える形で、松田大作騎手の引退について語ってくれました。

(取材・文=不破由妃子)

「気づかんかった…」18年前に生まれたグレアミラージュとの縁


──土曜日中京3R(3歳上1勝クラス・ダ1400m)のグレアミラージュは4着(14番人気)。馬券圏内まであと一歩でしたね。

小牧 頑張ってくれたね。まぁ乗りづらいのは相変わらずで、今回も口向きが悪くてフラフラしてしまって。4コーナーでは、前の馬に乗り掛かりそうになった。接触はなかったけど、危なかったよ。ようわからんわ、あの馬(苦笑)。

──小牧さんがわからなければ、誰もわからない(笑)。それにしても、前走5着から今回は4着。1年前は2桁着順が続いていたことを思うと、すっかり安定してきましたね。

小牧 ホンマやね。でも、あそこまでいったら3着ほしかったなぁ。もうちょいやった。やっぱり力はあるんやろうし、今回のように内ラチ沿いに入れたらまだ乗りやすいね。

──常に枠順がカギになる馬。

小牧 そうそう。やっぱり今回のような展開がいいかもね。とりあえず、また権利(優先出走権)が獲れて次につながったのがよかった。

──グレアミラージュに関連して、こんな質問が。「グレアミラージュのお母さんの新馬戦は小牧さんが乗っていたんですね。2005年なのでだーいぶ前ですが、薄っすらとでも記憶にあったりしますか?」。

小牧 いや……今、初めて知ったわ(苦笑)。お母さんはマジックミラージュやったっけ? どこの厩舎?

──大久保龍志厩舎です。

小牧 そうかぁ。なんかの縁やねぇ。たぶん周りの人、誰も気づいてないわ。笹田さんも絶対に気づいてないと思う。覚えてないのが残念やけど、なんせ1万回以上乗っているし、2005年といえば中央に移籍してきたばかりの頃やからねぇ。初めて知ったけど、今となっては縁を感じるわ。質問をくれた人、よく調べてくれたね。競馬って、こういうのがあるからおもしろいわ。

──ホントですね。先週はもう1頭、ヤルキゲンキフトシが2戦目を迎えましたが、初戦同様に後方のまま伸び切れず(15着)。

小牧 ヤルキゲンキねぇ。やっぱり坂路である程度時計が出る馬じゃないと結果につながらんね。みんなそうやもんね、結局は。CWでは、すごくよく感じるんですわ。でも、坂路に行ったら動かんもんね。今回の最終追い切りでやっと終い13秒を切ったけど、見たら12.9。ギリギリや。重賞に出ているような馬の追い切りを見ていたら、持ったまま12秒台で上がってくるもんね。

──ですね。時計がすべてではありませんが、やはりどういう手応えでその数字を出したのかは大事になってくる。

小牧 そうそう。グレアミラージュやワンダーブレットも、馬なりで12秒台で上がってくる。坂路で動けない現状では、やっぱりレースに行っても厳しいわ。

──それって、まだトモに力が付き切っていないということですか?

小牧 その通り。まだ2歳やから、もちろんこれから力が付いてくる可能性はあるけどね。やっぱり、もっと鍛えなアカンのやろうね。

──初戦が芝で2戦目がダート。現状ではどちらの走りがいいですか?

小牧 今の時点では芝のほうがよかったかも。今回のダートでは、そんなに無理していないのに、後ろの馬にかわされてしまったから。今回は前に行こうと思ってスタートからけっこう押っ付けていったのに、行かんもんね。一生懸命走っているけどね。やっぱりもうちょっと鍛えなアカンわ。なんとか頑張ってもらいたいね。

──さて、今週は12月24日阪神9Rのクリスマスエルフ賞にワンダーブレットが登録していますね。中1週が続きますが、状態はいかがですか?

小牧 前回頑張ってくれたから見えない疲れが心配やけど、この前乗ったぶんにはどうもなかったよ。明日の追い切りは、55〜56秒くらいで十分かなと思ってる。たぶんワンダーブレットが今年最後の騎乗になるやろうから、精一杯乗ってきますわ。

──最後にもうひとつ質問を。「昔からずっと『太論』を読んでいます。松田大作騎手が引退を発表しましたが、大作騎手といえば、『太論』でも何度かお名前が出てきたような…。仲がよかったんでしたっけ? 引退理由のひとつとして減量の厳しさを上げていましたが、そのあたりのつらさを共有されていたとか?」

小牧 まぁ僕も体重はあるほうやけど、彼は僕の上を行くからね。背も高いし、骨格もしっかりしていて、大きいですもん。風呂で体を見ても、もう削るところがないくらいの体や。

──頑張っている姿を近くで見てこられたんですね。

小牧 汗取りはよう一緒にやってたよ。あとは一時期、淨閑さんのトレーニングジムにも通っていたしね。

──そうでしたね。報道されたコメントでは、「メンタルを維持できなくなった」とも。

小牧 数を乗れんようになると、苦しい汗取りに意味を見出せなくなるからね。乗っているからこそ運動もするし、体を鍛えるんであって。

──体の維持もそうですが、気持ちの維持が難しい。

小牧 まぁ僕の場合は、趣味と実益を兼ねてみたいになっているけど(笑)。それに今となっては、1頭だけでも乗れるのがうれしい。人間はどうしたって老いていくものやけど、いかにそのスピードを止めるか。それが今の僕のモチベーションになってるわ。

(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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