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引退した名手O.ペリエ騎手に「僕が教えたんやで(笑)」共に頑張った汗取りの思い出

  • 2024年04月30日(火) 18時02分
太論

▲O.ペリエ騎手について「苦労してた姿を真っ先に思い出す」(撮影:桂伸也)


先週は、京都と新潟で4鞍に騎乗。なかでもグレアミラージュは僅差の4着で、見ているほうもついつい力が入りました。「あの馬、本当に難しいわ」と改めてその難しさに言及するいっぽうで、「自分自身にもガックリきた」と自省の弁。

今回は臨場感たっぷりにレースを振り返るとともに、土曜日の最終レースで騎乗したカッコヨカへの期待値、そして、先日鞭を置いたペリエ騎手との思い出を語ってくれました。

(取材・文=不破由妃子)

イメージと全然違ったカッコヨカ「次は突っ込んでくるかもしれんよ」


──先週は、ヤルキゲンキフトシが3カ月ぶりに実戦復帰。結果は8着でしたが、行きっぷりが改善されていたような。

小牧 頑張ったね。4コーナーを回るときは、「これなら着はあるわ」と思ったくらい。ただ、バテてはいないんやけど、最後まで同じペースで走っている感じで。まぁ休み明けでプラス6キロやったし、もうちょっと絞れれば次はもっと走れると思うわ。ローカルの長い距離がいいね。

──先週日曜日のグレアミラージュ(新潟12R・4歳上1勝クラス・ダ1200m)は、勝ち馬からコンマ4秒差の4着。最後は力が入りました。

小牧 いやぁ、今回はメンバー的にホンマにチャンスだったのにねぇ。絶対にいいところやと思っていたんやけど…。やっぱり今回も変な癖が出たね。難しいわ。

──直線では口向きの難しさを見せていましたね。

小牧 ゲートの出はもうひとつやったけど、4コーナーの手前までは上手いこと乗れたんやけどね。あそこまでうまく運べていたのに、前の馬が外にきたときにちょっと構えたら、外にグーっと行きかけたでしょ。あれ以上は行かれへんから、また内に入れて。で、ああなったらもうハミがなかなか掛からんもんね。

──それは見ていてわかりました。

小牧 ホンマに真っすぐ走らん。ただ、僕も反省してんねん。あそこでもうひとつ辛抱しとけばよかったなって。

──4コーナーですか?

小牧 うん。手応えがいいから、ついつい動いてしまった。あそこで動かずにそのまま中に入っていたら…。もっといい勝負してたね、きっと。もったいなかったわ。ずっと乗ってきたのに、なんであそこで仕掛けるか…。まぁ手応えがよかったからなんやけど、なんか自分にガックリきた。それにしても、ホンマに難しいわ、あの馬。直線は伸びてきたけど、真剣に走ってないもんね。力はあるんやけどなぁ。まぁ、とりあえず権利は取れたから。

──そうですね。次は好きなところを使える。

小牧 そうやね、どこでも使える。これは自分にやけど、とにかくもう外に出したらアカン。前々回の競馬のように、中を突いて行きますわ。あとは、そこから馬が真剣に真っすぐ走るかどうか。

──グレアミラージュ、どうか真剣に走って(笑)!

小牧 ホンマやで(苦笑)。次もまた新潟に行ったほうがいいね。ヤルキゲンキフトシも新潟を狙っていきますわ。どちらの馬も、新潟のほうがメンバー的にチャンスがあると思うから。

──先週はそのほか、カッコヨカ、ブリリアントスピカ、ラッキードラゴンに騎乗。

小牧 カッコヨカはね、次、見ててくださいよ。1200mやったら、もっといい競馬ができると思うわ。

──レースで騎乗するのは初めてでしたが、調教には以前から乗ってらっしゃった馬ですよね。

小牧 そう、ずーっと乗ってた。調教ではおとなしくて心配になるくらいやったんやけど、イメージと全然違ったわ。追い切りでも動き出したし、ひょっとしたら突っ込んでくるかもしれんよ。先週は最低人気やったけど、4コーナーで一瞬、くるんかと思ったもん。だから外に出したんですわ。

──道中は馬群の切れ目をロスなく進んで、小牧さん、完璧だなと思いながら見てましたよ。

小牧 行きっぷりが本当によくて、なんせ持ったまま。調教に乗った感じだと、2勝クラスではちょっと難しいのかなぁなんて思っていたのもあって、こんなに行ける馬なんやと意外に思いながら乗ってたわ。だから、「次は1200mを使ってください」って頼んだんです。また人気はないやろうけど、面白いかもしれんよ。

──それは楽しみですねぇ。さて、今週の予定は?

小牧 今週は今のところなさそうやね。それに、来週は僕、とうとう試験やから。

──そうか、来週の土曜日でしたね。私が緊張してきた…。

小牧 電車のなかとか、必ずプリントを見ながら勉強してるんやけど、なんせ試験を受けたのは40年近く前やからね。だいぶ忘れてるわ(苦笑)。

──先週は土曜日が京都、日曜日が新潟だったから、移動のあいだは勉強してるんだろうなと思ってましたよ。

小牧 京都から東京に向かう新幹線では、あっという間に着いたというくらい集中して勉強してた。東京から新潟に向けて乗り換えてからは、さすがにやめた。疲れた(苦笑)。

──残り約10日間。追い込みですね。

小牧 そうやね。でも、体を動かしておきたいから、仕事はきっちり出るよ。馬には乗っておきたいからね。

──では、最後に質問をひとつ。「オリビエ・ペリエ騎手が引退されました。小牧騎手が地方から乗りにきている頃、そして中央に移籍以降も数年は一緒に乗る機会があったかと思いますが、ペリエ騎手とはどんな思い出がありますか?」。

小牧 ペリエとはね、一緒に汗取りばっかりしてたわ。外国人は湯舟に浸かる習慣がないから、風呂場にくるとすぐサウナに入るねん。だから、「最初に熱くて苦しくなるまで湯舟に浸かったほうがいいよ。それから外に出て汗取りをしたほうが汗が出るよ」ってペリエに言うてん。それ以来、よう湯舟に入り出したよ。僕が教えたんやで(笑)。

──そうでしたか(笑)。ペリエさんも減量が大変そうでしたからね。

小牧 僕より大変だったと思う。何度も同じレースにも乗ったけど、ペリエとの思い出といえば“汗取り”。苦労してた姿を真っ先に思い出すね。

(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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