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うらかわ馬フェスタ2006開催

  • 2006年08月01日(火) 23時49分
 相変わらず外れっぱなしの週間天気予報のせいで、見事に「晴天」となった7月29、30日の土日、浦河にあるJRA日高育成牧場内特設会場を舞台に「うらかわ馬フェスタ2006」が開催された。今年より、従来別個に開催されていた「エンデュランス」「シンザンフェスティバル」「浦河競馬祭」の3つがこの両日に同時開催されることになり、今年はその第1回目として再スタートしたのである。

 私事ながら、実行委員として関わる「シンザンフェスティバル」は今年で21回目。昭和61年に始まり、以降毎年8月の第1土日に開催してきた。5冠馬シンザンの功績を称えて、生誕の地・浦河で「馬にこだわったお祭りをやろう」という有志の呼びかけでスタートしたこのイベントも、年々厳しくなる予算獲得とマンネリ化に悩まされてきたのだが、同じ“悩み”を持つ他のイベントとの合体により、共有できる部分は費用が節約できることと、スタッフの有効活用も期待できることからそれぞれが「歩み寄り」をしてこの7月末の開催にまで漕ぎ着けたのである。

 29日は「シンザンフェスティバル」の前夜祭で開幕した。会場内に詰め掛けた観客を前にこの日の呼び物でもある「馬上結婚式」とJRAのスポンサーによる「南部駒踊り」などが行われ、客席はジンギスカンとビールのパーティーで盛り上がった。

南部駒踊り


 昨年までは「優駿ビレッジ・アエル」にほど近い会場で実施していたのだが、近隣牧場への騒音公害?が解消できず、それが大きな難点であった。今年、前述のように3つのイベントが合体したことから、思い切って会場を移転し、JRA日高育成牧場内のダートコース(1600m)横のやや傾斜のある草地を拝借することができた。この場所の最大の利点は、草競馬の馬場と隣り合っていることである。しかも道路を挟んだ指呼の距離にフェスティバル会場と馬場の観客席があり、来場者は両方の会場を簡単に行ったり来たりすることができる。会場配置図としては理想的とも思える位置関係なのだ。

 翌30日は「浦河競馬祭」と「エンデュランス」も同時開催となり、冒頭でも触れたように好天にも恵まれてまずは無事に終了した。

浦河競馬ポニーレース ポニーパドック


 反省点は今後いろいろ出てくることと思われるが、まずはそれぞれの“伝統行事”(浦河競馬祭は40年も続いている)をいかに存続させるか、が今回の最大のテーマだった。単独開催は実際問題としてかなり厳しくなっており、こうしたイベントは始めることよりも「続ける」ことの方がより難しいという現実に直面したのである。そこで、「合体説」が浮上し、今年の同時開催となったのだが、来年以降もこの時期に定着するために、改めなければならない点が様々に出てくるだろう。

 もっとも割りを食った形になったのは、浦河競馬祭かも知れない。日高を中心に分布する育成牧場はこの時期、草競馬に馬を出走させるのが難しく、出走依頼の文書を送っても「とても出せない」と回答される牧場が多かったという。サマーセールを8月下旬に控えて、コンサイナー業を兼務する育成牧場も少なくないし、例年、秋には一定数の「3歳未勝利馬」(登録抹消済み)が出走してくるのだが、さすがに7月ではまだそうした馬はほとんどおらず、結果的に軽種馬の出走頭数が揃わなかった。来年以降、どのように出走馬を確保して行くかが大きな課題になるだろう。

 もう一つは、会場が離れてしまったことで、ほとんど、他の二つのイベントとは別路線の道を歩むことになった「エンデュランス」の盛り上げ方をどうするか、である。こちらは「乗馬マラソン」とも言うべき競技で、浦河では20キロ、40キロ、60キロの3コースに分かれて争われた。スタートもゴールも、まったく離れた場所で行われるため、他の二つと接点がないまま終わってしまった。これも今後の課題として浮上してくるはずだ。

 なお余談だが、今年の馬上結婚式に選ばれたカップルは、北海道稚内市在住の石川順一さんと智子さん。そして三重県在住の水谷佳史さんと祐子さんの二組。石川さんは小学校教諭でこの春まで浦河に在住していたことから多くの父兄と教え子が会場に集まった。おそらく評判の先生だったのだろう。大変な声援を浴びて幸せ一杯の笑顔が印象的だった。

石川夫妻,馬車で入場


 もう一組の水谷さんご夫妻は、ご主人の競馬好き、日高好きが当選のポイントとなった。どのくらい競馬が好きか、というのはこの馬上結婚式終了後にたちどころに判明した。何とこの新郎は、新婦をホテルに帰したまま、午後11時まで私たちスタッフと共に会場に残り、歓談していたのである。「いいんですか、奥さんを放ったらかしにして」と何度も“確認”したのだが、本人は「楽しい、楽しい」と連発して私たちの輪に加わっていた。もちろん?このコラムもお読みいただいている由。競馬の持つ魔力?を改めて見せつけられた思いである。

水谷夫妻

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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