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日高の情報を日高から発信する

  • 2006年11月14日(火) 18時50分
 例年になく暖かな11月(と、昨年も書いたような気がするが)である。いつもならそろそろ初雪の便りが聞かれ、本気でタイヤ交換を考えなければならない時期だが、まだまだ放牧地は緑色を保持しており、地面の凍結もない。この季節になると地球温暖化が着々と進行していることを実感せざるを得ない。かつてはもっとも寒さの身にしみる月が11月だった。なぜか? 1月や2月の方が格段に気温は低いはずなのに、なぜ11月なのか? という疑問が返ってくることだろう。

 確かに平均気温は年明けから2月にかけてもっとも低下するのだが、11月は冬の寒さにまだ体が慣れていないため、ことさら寒く感じるのである。日照時間の短さもある。毎年のこととはいえ、晩秋から初冬のこの季節がもっとも気の滅入る時期なのだ。

 さて、今回は「日高ん坊タイムズ、秋・冬号」をご紹介する。今春、当コラムにて本誌春号の刊行について触れたが、このほど待望の秋・冬号が発刊となった。当初の予定では7、8月の観光シーズンに間に合わせて次号を出す予定だったのだが、専従の編集部員が実質的に1人しかおらず、予定が延びに延びて、ついに10月中旬までずれ込んでしまった。

日高ん坊タイムズ、秋・冬号

 以前紹介したように、同誌はフリーペーパーとして、これまでNPO法人「日高ネットワーク」から発行されてきた。しかし、資金難からフリーペーパー発刊継続が困難となり、前号の春号よりクーポン誌としての生き残りを図ることになった。

 今回刊行された秋・冬号は、前号よりさらにボリュームアップし、全52頁。「日高のいいもの・うまいもの満載」の内容である。本誌に今回広告を掲載しているのは全部で120余店。協力店はえりもから日高町(旧・日高町を含む)まで、日高全域に及ぶ。

 本誌の制作にあたって営業から編集までをほとんど1人で担当してきたのは、埼玉県出身のフリーライター小栗康之氏。本業は競馬関連のライターだが、肝心のライター稼業を犠牲にしながら、現在も日高ん坊タイムズに全力投球である。

日高ん坊タイムズ編集部員(後列左が編集長の小栗康之氏)

 とはいいながら、小栗氏によれば「自分の人件費も出ない状態」のこのフリーペーパーをなにゆえ続けようとしているのか。それは彼の日高を愛する熱い思いが根底にある。

 馬や競馬が好きな人は日高と聞いただけである種の牧歌的なイメージを持たれるであろう。しかし、実際にここを訪れたことのある人でも、日高は意外に広く、また多様な顔を持つ土地でもあることは案外知られていない。農産物や海産物に加え、個性的なお店やお土産屋さんもまだまだ未知のものがたくさんある。そんな日高の魅力を徹底的に紹介していこうと本誌が誕生した。

 号を重ねるごとに内容は充実しており、今回の秋・冬号は観光シーズンを外れてしまったものの、来春以降でも旅の友として十分に活用できる。私事ながら、この秋・冬号にはほんの少しお手伝いさせていただいた経緯もあり、ぜひ当コラムを閲覧しておられる方々にもお読みいただきたいと考えている。(そしてクーポンを使っていただきたいのだが、それは時期的にやや厳しいか?)

 この雑誌のもっとも大きな特長は「日高から情報発信する」ことをテーマとしていることだ。従来、行政などが手がけてきた観光案内パンフレットの類は、主として札幌などの広告代理店や編集プロダクションに仕事を丸投げし、制作されてきた。つまり「儲けを吸い取られてきた」(小栗康之氏)わけである。その点、本誌はスタッフが基本的に日高管内に在住し、仕事を分担して作る(必ずしもそれがうまく進んでいるとは言えないのだが)ことが基本スタンスである。まだまだ改善すべき課題や乗り越えなければならない障害が多々あるものの、小栗編集長は「来春、さらにサプライズの春号を出します」と断言している。「地域活性化」という言葉は、ひところ全国的に至る所で一種の流行語のように多用されたが、本誌の目指すのもそこにある。競馬を通じて日高という土地に関心を抱いている方々にぜひお勧めしたいと思う。

※「日高ん坊タイムズ、秋・冬号」の入手方法は以下の通り。
送料として郵便切手300円を同封下さい。また創刊号〜本号まで(計4冊)ご希望の方は切手500円分を同封の上、下記住所まで。

〒059-2403
北海道新冠郡新冠町北星町1番地
優駿インベストメント内「日高ん坊タイムズ」編集部

お問い合わせの電話番号は0146-47-3520(担当、神谷)です。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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