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種牡馬展示会始まる

  • 2007年02月13日(火) 23時49分
 2007年の交配シーズンを控え、今年もいよいよ各種馬場の種牡馬展示会がスタートした。昨年同様、トップを切ってまず2月12日(月)、日高町富浜にある「ダーレージャパン」が展示会を行なった。配布された資料によれば、正確には「THE DARLEY STALLION PARADE '07」と表記されている。開場が午前10時、展示開始が午前11時というスケジュールで、この一時間の間に来場者は特設会場の中でここの繋養種牡馬に関するプロモーションビデオなど見ながら、まず飲食のサービスを受けるという趣向だ。特設会場は二箇所用意されており、一箇所は交配事業を行なうエリア、そしてもう一箇所はわざわざこの展示会のために設置した大型テントである。

 テントというといかにも間に合わせの印象を払拭できないのだが、ここで用意されたテントは、ほとんど小さな学校の体育館ほどもある大型で、造りはかなり堅牢である。さながらサーカスの巡業などで使うような耐久性のある仮設テント、と言ったら近いだろうか。

 中は暖房と飲食のブースが並び、続々と訪れる牧場関係者がまずここで腹ごしらえをする。もちろん、これが目的で来場する関係者はあまりいないだろうが、メニューも豊富なことにまず圧倒されてしまった。せいぜいが日高では肉まんと天ぷらそば、缶コーヒーくらいが関の山だったのだが、ここでは格段に上質の内容なのだ。

展示場を取り囲む来場者たち

 さて、午前11時。海外競馬に詳しい合田直弘氏の司会により、いよいよ展示会が始まった。会場を埋め尽くした入場者は、主催者発表によれば約1200人。生産者のみならず、マスコミ関係者やファンと思しき人々もかなりの数に上った。カメラ持参の人が多いのも、社台スタリオンとともにここの展示会の大きな特徴かも知れない。

 まず、トップバッターの「ダージー」が登場した。周知のようにドバイミレニアムの全弟である。種付け料は受胎確認後の50万円。続いて「マリエンバード」そして「グランデラ」「ムーンバラッド」と登場。ここまでが、日高の各地に預託されている種牡馬たちである。マリエンバードは浦河(イーストスタッド)に、他の3頭は新冠(優駿スタリオン)にそれぞれ繋養されており、種付け料もマリエンバード200万円、グランデラ150万円、ムーンバラッド200万円(それぞれ受胎確認後の支払い条件)と手ごろだ。

 5番目に登場したのが、昨年より交配開始の「アルカセット」。2005年のJC優勝馬で、初年度の昨年は計183頭の交配を行なった。今年の種付け料は受胎確認後の250万円。

 そして、いよいよこれより新種牡馬の登場である。まず、キングマンボ産駒、英国セントレジャー優勝馬の「ルールオブロー」。最後に登場したのが「ファンタスティックライト」である。ファンタスティックライトは25戦12勝でGI・6勝の実績を持つ。今年、日本で供用される新種牡馬の中でも屈指の注目馬で、種付け料は350万円と決して高くない。

ファンタスティックライト1 ファンタスティックライト2

 主に日高の各地より集まった牧場関係者が一番見たかったのはこの馬ということになるだろう。日本ではことの他、新種牡馬の人気が高くなりがちで、それが水準以上の競走成績と血統背景を持ち、なおかつ価格が手頃な場合には初年度に配合申し込みが殺到するという傾向が著しかった。昨年のアルカセット同様に、今年はこのファンタスティックライトがダーレーの「目玉商品」となるに違いない。

 それにしても、日高の真ん中に位置する新日高町静内を境界線にして、西と東では種牡馬の分布図がひどく偏り始めている。日本で最大の種馬場は言うまでもなく社台スタリオンだが、それに引きずられるように、日高の中でも多くの種牡馬が西半分(静内〜門別)に集まっているのだ。昨年のダーレー開業により、その傾向がさらに顕著になった感がある。浦河に住む私が、家業に従事し始めた昭和50年代半ばの頃、サラブレッドの種牡馬は浦河〜静内あたりに集中していた。ダーレーのある門別がもっとも遠い場所で、社台スタリオンなどどこにあるのかさえ知らない生産者ばかりであった。以来20数年が経過し、その変貌に驚くばかりだ。今や社台スタリオン抜きに日本の競馬は語れなくなってしまった。隔世の感がある。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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