スマートフォン版へ

三年目を迎えたポニー競馬

  • 2007年05月08日(火) 20時10分
 大型連休が終わり、日高もようやく桜の開花する季節を迎えた。今日(5月8日)現在、静内の二十間道路の桜並木は見た感じで言うと3分咲きというところか。おそらく今週末あたりが満開なのではあるまいか。しかし、もうすでに見物客がかなり集まってきているようで、交通量は確実に増えている。なお浦河のJRA日高育成牧場に通ずる桜並木も今週末あたりが見ごろのはず。ただ、今の季節、牧場関係者は多忙を極める時期で、ゆっくりと花見を楽しむ余裕がないのだが…。

 さて、今年の大型連休は(北海道に限っては)かなり天候に恵まれたと言えるだろう。概ね晴天でしかも暖かく、そのおかげで各地の観光地や行楽地は多くの来場者で賑わったようだ。

 日高では道営門別競馬が4月18日より始まっており、大型連休に開催を重ねられなかったのがやや残念だが、週の半ばに日程が組まれているためそれもやむを得ないところ。5月2日(水)と3日(木)の二日間が連休中の開催となり、とりわけ3日は多くのファンで賑わった。

待機中のポニーと騎手

 この日、浦河の「ポニー乗馬少年団」が8頭の馬とともに門別競馬場に遠征し、昼休みの時間帯にポニー競馬を披露した。今年で3年目となるこのポニー競馬は、一昨年の8月に旭川へ、そして昨年は今年と同じく5月の連休に札幌へ、はるばる浦河から駆けつけレースを行なった。

 今年は門別競馬場への遠征となり、これで道営ホッカイドウ競馬が開催されている競馬場は“全場制覇”したことになる。

 浦河ポニー少年団は1998年に発足し、小学生を中心に現在、団員は20数名を数える。毎週金曜日の夜に町の乗馬公園にある覆馬場で練習を行っており、年に何回かこうした競馬への遠征が行事として組み込まれている。地元の浦河で開催される「浦河競馬祭」(7月下旬)や道東方面などで秋に開催される各地の草競馬とともに、道営ホッカイドウ競馬への出張もまた団員たちの大きな刺激になっているのだ。

コースの説明を受ける

 今回レースに参加したのは小学校2年生から中学校1年生までの計8人。朝9時に浦河を出発し、馬運車とバスで一路門別競馬場へ。連休とあってやや交通量が増えている日高路を約1時間半かけて走り、無事、門別競馬場に到着した。待機場所として指定されたのは3〜4コーナーの外側に位置する臨時の駐車場のようなスペース。そこで馬運車を止め、馬を降ろし、馬装をして出番を待った。

 ポニー少年団の出番は第4レース終了後の12時15分頃。時間が取れないためパドックでの周回はなく、場内アナウンスが流れた後にすぐスタートが切られた。距離は直線300m。前日に雨が降ったせいで馬場はかなり水を含んでいて重い。それでも全馬落馬することなく無事次々にゴールインし、スタンドを埋めた多くのファンから拍手が送られた。優勝は5番「ガンバレタロウクン」に騎乗した広瀬楓さん(小学校4年生)。2着は7番「メルモちゃん」騎乗の木村和志君(小学校2年生)、3着は4番「珀(ハク)」騎乗の富菜美咲さん(小学校5年生)。

勝利したバンバレタロウクンと広瀬さん 2着のメルモちゃんと木村君

 レース後はパドックで表彰式が行われ、折から日高入りしていた橋本聖子・参議院議員や道営の人気騎手・五十嵐冬樹さんなどから8人のジョッキーにトロフィーや記念品などが授与された。

報道人に囲まれる広瀬さん 記念撮影

 浦河ポニー乗馬少年団は、小学校1年生から団員を受け入れている。今年も6人の新1年生が入団し、現在調馬索を使っての基礎訓練の真っ最中だ。概ね夏から秋には“単独騎乗”ができるようになり、部班運動で軽速歩程度まで十分にこなせるようになる。乗馬はできるだけ早い時期から始めるのが理想と言われており、「理屈」ではなく「体」で覚えるには小学校1年生くらいから乗り始めるのがやはりベストなのだろう。

 もちろんそれから実際に競馬への道のりはかなり遠いのだが、この少年団の子供たちを見ていると将来がとても楽しみになる。なお、ポニー少年団の第1期生が今春高校を卒業し、1人は青山学院大学に進学(馬術部)、もう1人はアイルランドへ武者修行に出発した。まさしく「継続こそ力なり」と思う。全国的に見ても、これほど小さなうちから少年団単位で乗馬訓練を実施している例はまずほとんどないだろう。言うまでもなく、こうした活動を支えているのはそれぞれの親たちで、馬を用意し子供たちに提供することや乗馬指導もみんな父母の献身的な協力があればこそ、なのである。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング