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宝塚記念

  • 2007年06月23日(土) 12時50分
 3歳ウオッカが、型破りのローテーションを組み、古馬のトップクラスにあえて挑戦する。GIを勝ちまくるダイワメジャー、世界のビッグレースで通用したアドマイヤムーン(今回のデキは素晴らしい)、同様に凱旋門賞を展望するメイショウサムソンなど、国内でこれ以上の相手との対戦はありえないほどの強敵だ。

 だが、牝馬は大事に大事に育て上げていけば、秋になり、さらには4歳になり、もっと強くなるというものでもない。才能が爆発しかかっている今こそ、危険も、大きなダメージを受けるリスクも承知で「もっと強い相手と対戦したい」。「可能性に挑戦したい」。この冒険に注目したい。ウオッカの展望にこちら側も乗りたい。

 山のように死角はある。ローテーションも、展開も、相手も厳しい。だが、可能性に賭けたくなる利点もある。ダービーを男馬相手に55kgで圧勝(上がり33.0秒は史上NO1)した同馬は、性齢の規定で51kgで挑戦者になれるのである。カワカミプリンセスの昨年のオークスは2分26秒2。メイショウサムソンのダービーは2分27秒9。もちろん流れの差はあるが、ウオッカは2分24秒5で圧勝だった。そのカワカミは56kg。メイショウは58kg。挑戦者ウオッカは51kgだ。

 父タニノギムレットもそうだったが、ブライアンズタイム系の最大の長所は、3歳の春か、もしくは秋。一気に上昇カーブに乗ったときに頂点に登りつめる「成長」を示すことだ。凱旋門賞に挑戦しようとするウオッカは、考えられる犠牲はすべて受け入れなければならない。3歳の今シーズンのいま、頂点を極めようというなら、失うものがいっぱいあっても納得だろう。もしここで古馬のトップホースとこのキャリアで勝ち負けできるなら、凱旋門賞での好走も決して夢ではない。従来の常識や定説を破ろうとするウオッカの側に回りたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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