前日に準OPの芝1800mが組まれたため格下からの挑戦馬は少なく、珍しく落ち着いた頭数になったうえ、先行型不在。ステップの巴賞よりスローの公算も大きい。
53kgのハンデに恵まれた3歳ナムラマースに期待する。もう少し差のない好勝負に持ち込めると考えた春のクラシックは完敗に終わったが、差は0.9秒と、1.1秒。特にダービーなど、ウオッカ、ドリームジャーニーに続くNO3の上がり33.5秒を記録しているのだから、伏兵らしくもう少し早めに動けなかったか…という気がする。ただ、これは乗っていた藤岡佑介騎手が弱気だったというより、多頭数の中央場所の高速レースでは流れに乗れなかったのだろう。
ナムラマースは函館と札幌の洋芝のコースは[3-3-0-1]。特に1800mに延びてからは1、1、1着だった。函館記念は、1995年に函館独特の洋芝になって以降、サンデーサイレンスは別格として、目下2連勝のエリモハリアーを送るジェネラスを筆頭に、クリエイター、ペンタイア、フレンチグローリー、デインヒル、コマンダーインチーフ、トニービン、シアトルダンサーII…など欧州型種牡馬の産駒が大活躍している。こういう洋芝型は、高速の他場向きではないのだった。だから、逆輸出馬が続出している。ラムタラも同じだったろう。
ナムラマースには、函館記念を2回も連対したクラフトマンシップの父フレンチグローリー(母の父)の影響が確実にある。パンチの利いたストライドはいかにも洋芝向き。毎日杯でこなしたように渋った馬場も下手ではない。父チーフベアハートもウッドバインでの重賞5勝が示すように、どちらかといえばタフな芝向きともいえる。先行馬が少ない53kgの3歳の挑戦者らしく、コスモス賞(札幌)1800mをレコード勝ちし、ローブデコルテを完封したときのように早めに自分からスパートする形に持ち込みたい。